
連載:美しいだけの国 ――東京レッドライン
小説家・鏡征爾による小説とSNSで注目を集めている被写体とのコラボ連載。超環境型人工知能とテクノ人間主義者が世界を操る近未来の東京を舞台に、失われた感情を取り戻そうとするアンドロイドを描く物語。6月の誕生石「アレキサンドライト」から生みだされた擬人化モデルは近衛りこ。
次回
序
雪が色を失った、透明な雨が降りてきた。
1月。酷く寒い冬の日に、私は1件の着信を受け取った。
「心配するな」
静かな声だった。静寂に音が吸い込まれるようだった。失われた人間の言葉が雨とともに放物線を描いて降りてきた。
「どこにも行きはしない」
それが最後の言葉だった。直後、爆発音が聞こえた。
遺体は結局、見つからなかった。今ではその名前も思いだせない。

I
物語には始まりも終わりもない。気持ちに終わりも始まりもないように、それはある一定の永続性をともなって進む。惑星の引力のようなものだと思う。互いに引かれあいながら遠ざかる。遠ざかりながら引かれあう。問題は何を対象に語るかだ。
物事はせんじ詰めると、死を如何に語り継ぐかという問題に突きあたる。
これは死を扱った物語だ。サイボーグ化された身体を扱った物語だ。機械化によってあらゆる欲望を可能にした人間の悲劇を扱った物語だ。
だが同時にこれは、〈失われた愛〉を扱った物語でもある。失われた愛を求めて砕け散った存在の物語でもある。
一体、僕は何を言いたいのか?
僕は彼女の生きた証を語り継ぎたいのだ。死を語り継ぐことは、その人物が生き続けることでもある。
そしてわれわれの犯した過ちを語り継ぐことにもつながる。
お願いだ。未来を変えてくれ。
美しい宝石の結晶から生みだされたアンドロイド。
人格を移植されたその心からは大切な感情が抜け落ちていた。

コメントランキング
「ほぼ東京なんだよな」 永住したい“千葉県の街”上位に「都内までスイスイ」「色々ちょうど良い」「引っ越す予定はない」の声(6/7) | 千葉県 ねとらぼリサーチ:6ページ目
演技力がすごいと思う「韓国の男性俳優」は?【人気投票実施中】【2026年版・人気投票実施中】(投票結果) | 芸能人 ねとらぼリサーチ
「ちいかわ」で好きなキャラクターは?【2026年版・人気投票実施中】(投票結果) | 漫画 ねとらぼリサーチ
「ほぼ東京なんだよな」 永住したい“千葉県の街”上位に「都内までスイスイ」「色々ちょうど良い」「引っ越す予定はない」の声(コメント一覧) | 千葉県 ねとらぼリサーチ
「入るのに苦労したが、何倍もの恩恵がかえってくる」 “入学してみたい国立大学”といえば? 女性が選ぶ上位に「目指す価値はある」「毎日良い刺激を受けます」の声(5/6) | 大学 ねとらぼリサーチ:5ページ目