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2018年は「eスポーツ元年」といわれており、「eスポーツ」は「2018ユーキャン新語・流行語大賞」でもトップテン入り。このころに爆発的なブームを起こし、「次世代のeスポーツ」とまで言われたゲームタイトルを覚えていますか?
「どうぶつタワーバトル」です。

アプリ起動画面より抜粋
本記事はあのブームから約2年たった今、改めてどうぶつタワーバトルの可能性を考える連載企画。
今回は同作のeスポーツを広めるために活動しているというだずんさん(@dazun_dtb)に、「現在のトッププレイヤーが使用している戦略、テクニック」を伺いました。
シリーズ「このeマイナースポーツがスゴい:どうぶつタワーバトル(DTB)」
“現代DTB”の戦い方
DTBとは、どのようなゲームなのか。全く知らない人でも「動物(D)をタワー(T)のように積んでいくバトル(B)。崩した方が負け」と聞けばだいたい理解できるはず。もっと言えば、そんな説明なしに5分くらいプレイした方がより理解できることでしょう。
それくらい分かりやすいタイトルではありますが、勝敗にはプレイヤーの腕が関わり、ブーム期の“ガチ勢”たちは「殺意のカメ立ち」「守りの2キリン」といったテクニックを駆使して戦っていました。
では、現代のトップDTBプレイヤーはどのようにプレイしているのでしょうか。「どうぶつタワーバトルのeスポーツシーンを広めるために活動している」というだずんさん(@dazun_dtb)に話を伺いました。
だずんさん「そもそも初心者同士で戦う場合は、『いかにして乗せるか』を考えがちだと思うのですが、上級者同士では『いかにして相手に動物を落とさせるか』をメインに考えるようになります。そのための方法はさまざまで、1つには「崩壊」を使う方法が。タワーを積み上げていくとどこかで動物が滑って全体が崩壊することがあり、そのトリガーを意図的に作って相手に起動してもらって勝つというやり方です」
「置き方のテクニックは今も増えていて、僕が知ってる限りでは『ZANTO』『TSURUGI』『上弦の月』『下弦の月』などがあります」
ZANTO
TSURUGI
下弦の月
上弦の月
新たに登場したDTBテクニック
- ZANTO:細いしっぽを接地面にして象を立てる。名前の由来は「魔王軍残党さんが実戦で使った」こと
- TSURUGI:キリンを後ろ足一本で、斜めに立たせる。上方に向かって真っすぐ伸びた首が剣のように見える
- 上弦の月:フタコブラクダを逆さにし、前コブだけで置く
- 下弦の月:「上弦の月」に類似。こちらは後ろコブだけで置く
など。プレイ動画は記事後半のツイートまとめからご確認ください。
相手の思惑を読み合うDTBトッププレイヤーの戦い
これらはいかにもスゴ技といった感じがしますが、“曲芸”的であったり、不確定要素が多かったりするため、だずんさんは「実戦では使いにくい」という認識。同氏が制作したDTBのプレイ解説動画では、「盤面論」「ディレイ」というまた別の手法も解説されています。
盤面論は、ざっくり言うと「自分に有利な盤面(動物の配置)を作り出すための考え方」。そのためには将棋のように相手の先の手を読んだり、コントロールしたりする必要が。「画面には動物がただ映ってるだけなのにそれを見るとお互いの思惑が手に取るように分かるので、いかにしてそれを阻止して自分のやりたいことを通すか」が腕の見せ所だといいます。
解説動画の1つに収録されている対戦を見てみましょう。ここでは、だずんさんは盤面論に基づき、自分が“どうぶつを安全に置ける場所をつぶす一手”を打てるようにゲーム展開を逆算。アジアゾウの鼻先にできた小さな安全地帯を、不安定な姿勢のトナカイで消費して“どうぶつを安全に置ける場所”をなくした状態で、相手に手番を回しています。

「相手が緑枠内に置く→自分が赤枠内に置く→安全に置ける場所がなくなり、相手が手に困る」と先読みして、アジアゾウを置いたところ


読み通りの展開になり「これはもう返せないはず」
0.03秒が勝敗を左右する緻密なテクニック
戦略通りの局面になり、相手はもはや打つ手なし。しめしめ……と一筋縄にはいかないのが、トッププレイヤー同士の戦い。
DTBでは「回転」ボタンを押すと動物が45度ずつ回り、動物を落下させる角度が変えられるのですが、その回転途中で動物を落下させると、より細かな角度変更ができます。これが「ディレイ」というテクニック。動画内の対戦では、相手が「ホワイトタイガーをディレイさせて0.03秒だけ回し、不安定な斜面にピタリと着地させる」ことに成功し、ゲームは終わらず。

そこにホワイトタイガーを置く……だと!? 0.03秒のディレイによって成立した一手
動物を1体ずつタワーのように載せていく展開が続くのですが、そこでも要所要所でディレイを使う場面が登場。素人目には分かりにくいのですが、このように動物の角度を微調整することが、DTBトッププレイヤーのあいだでは当たり前になっていることが伺えます。

その後はいわゆる“ブレーメン”、互いに動物を積み上げていく力戦型に
ちなみに、この対戦は結果的にだずんさんが敗北。序盤のピンチを0.03秒のディレイで切り抜けた相手側がものにしています。
次回:DTBがeスポーツになれないのは“ゲームとして優秀過ぎるから”かもしれない
- 回る動物、積み上がるタワー。最善手を求め続けるトッププレイヤーは今日も動物を落とす
- ゆるくもガチでも楽しめるDTBの魅力を振り返り、“衝撃のあの日”からをトレスする
- eスポーツファンたちが、動物を見れば心が騒ぐ。いつか本当に、そんな日が来るかもしれない
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