インタビュー
» 2020年02月04日 20時00分 公開

このeマイナースポーツがスゴい:ブームから2年越しに考える、なぜ「どうぶつタワーバトル」は“次世代eスポーツ”と呼ばれたのか (1/2)

今なお続くトッププレイヤーたちの戦い。

[ねとらぼ]

 2017年末に大ブームを巻き起こし、「どう森(どうぶつの森)を超える神ゲー」「次世代のeスポーツタイトル」などと注目を集めたゲーム、覚えていますか?

 スマートフォン向けの対戦ゲームで、動物を積み上げていくだけのシンプルなゲーム性。変な姿勢のヤギやゾウ、シロクマなどが重なるシュールな絵面。そして、一度始めるとなかなか辞められない中毒性の高さ……。

 そう、「どうぶつタワーバトル」です。


アプリ起動画面より抜粋

 本記事は、改めてどうぶつタワーバトルの可能性を考える連載企画。今回は基礎編として、2年前のブームから現在までの流れを振り返ります。

シリーズ「このeマイナースポーツがスゴい:どうぶつタワーバトル(DTB)

「どう森(どうぶつの森)を超える神ゲー」と呼ばれた理由

 どうぶつタワーバトル(略称:DTB)から離れてしまった読者もいると思われるので、まずは同作のブームを振り返ってみましょう。

 制作者・Yuta Yabuzakiさん(@planet12app)のブログ記事によれば、バージョン1.0が登場したのは2017年3月30日末。大学中退、「ニート・ひきこもりのような生活」を経て制作した個人開発ゲームで、初期は「昼間でも誰も対戦相手がいないというのは普通」「(オンライン対戦ゲームなのに)友達としかマッチングしない」ほどプレイヤーが少なかったといいます。

 DTBのブームが起こったのは、登場から半年以上たった2017年11月末のこと。それまで日の目を見なかった同作に、突如としてネット上の注目が集まった理由を、Yabuzakiさんは「任天堂さんの『どうぶつの森 ポケットキャンプ』のリリースに伴いアプリストア内の『どうぶつ』関連のワードの検索数が上がった」と推測しています。

 このような事情も手伝ってか、ネット上では「どうぶつタワーバトルはどうぶつの森を超える神ゲー」と評されたことも。初めはネット民にありがちな大げさな冗談だったのかもしれませんが、DTBの人気はあまりにも爆発的なものでした。

 同年12月4日、どうぶつタワーバトルは「どうぶつの森」を押さえて、App Storeの「無料総合ランキング」1位に。瞬間風速とはいえ、半年近く人気のなかった個人開発ゲームが、本当に任天堂のビッグタイトルを超えてしまったのです。

 それから約2年たった現在。ブームは落ち着いたものの、人気は一過性のものではありませんでした。

 例えば、2019年10月末からは「シーズン2」がスタートしたのですが、同期間における筆者の記録をランキングページで見てみると、最高レート(1712)は約5万位、最高連勝数は(5回)12万位台にランクイン(執筆時点)。


最高レートランキング。筆者(ねとらぼ編集部員)の上に5万人くらいいるもよう


最高連勝数ランキング。12万位という数字を見たとき、「“市”みたいな規模で、自分より強い人がいるのか……」と思いました(感想)

 アプリをダウンロードしただけでは、筆者の成績を上回ることはできません。シーズン2が始まってから数カ月のあいだに、10万を超えるプレイヤーの記録が現れているのです。

「どうぶつタワーバトル」は本当に“次世代のeスポーツタイトル”だったのか

 ブーム当時、DTBやり込んでいたをやり込んでいた人なら、「殺意のカメ立ち」「ラムセウム・テンティリス」「守りの2キリン」といったフレーズに聞き覚えがあるはず。にわかに攻略Wikiが現れ、DTBのテクニックが広まっていきました。

ブーム期に登場したテクニック

  • 殺意のカメ立ち:亀を回転させて、ヒレと頭で立つように落下させる。上に動物を積むのが難しい、攻撃的な置き方
  • ラムセウム・テンティリス:「△」に近い形をしたシロクマの上に、逆さにしたシロクマを重ねる。バランスが悪く、さらに重ねるのが困難
  • 守りの2キリン:数字は回転ボタンを押す回数に対応。キリンは2度回転させてから置くと安定性が高かった
  • 崖掛け:「崖つかみ」「崖フック」などとも。ステージの左右の端に、動物を引っ掛ける。失敗すると即落下(敗北)のリスクがあるが、極めるまでやり込む人もいる

など

 あれから2年、“DTBガチ勢”もまた消えてしまったわけではなく、プレイヤー主導でさまざまな大会が行われています。2018年3月から続く「DTB獣王杯」などの運営に関わるだずんさん(@dazun_dtb)は、「このゲーム(DTB)の上位層がやってることは、完全にeスポーツ」だといいます。

 同氏によれば、カジュアル層の「どうぶつタワーバトル = 気軽に遊べる、シュールなゲーム」という認識に反して、プレイヤー同士の読みと、緻密なテクニックとがぶつかり合う“実力ゲー”として楽しまれているとのこと。

 また、トッププレイヤーたちの戦いの中で新たなテクニックも生まれているようです。

 例えば、かつてアジアゾウを逆さにして落とす「5象(5.5象とも)」と呼ばれる置き方が存在。地面についている背中は丸く不安定で、上に動物を載せようものなら巴投げのように投げ飛ばしてしまうことから、強力な技として知られていました(その後、アップデートでやりにくくなったといわれる)。

 しかし、現在はこれ以上に不安定な状態を作り出す「ZANTO」というテクニックがあり、それはなんと“アジアゾウをしっぽの先だけで立たせる”というもの。フレーム単位でのタイミング調整を行うと可能……らしいのですが、素人目には一体何が起こっているのかさっぱり分からないはず。だって、アジアゾウがしっぽの先だけで立っているんですから。

次回予告:“現代DTB”トッププレイヤーの戦い方(2月11日公開予定)

「どうぶつタワー」バトルの上級者は何を考え、どのように戦っているのかをトッププレイヤーにインタビュー。

  • DTBプレイヤーの運命をつかさどるのは、神や偶然ではなく、「盤面論」「ディレイ」といった戦略やテクニック
  • タワーに不安定な要素を仕込む「崩壊」を使う技もあるが、最も危険なワナ、それは不発弾
  • 自爆、誘爆、御用心

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