夏といえば怖い話。とても古い時代から続く夏の風物詩で、もともとは「お盆に現世へと帰ってきた、少なからずいる浮かばれない霊へ対する鎮魂」という意味を持っていたそうです。
そこで今年は「ねとらぼ怖い話特集・2023年」として、読者やライターが実際に体験した怖い話を、5夜連続で皆様にお届けします。過酷な暑さが続いていますが、ほんの少しでも涼を取っていただければ幸いです。
さて、最後となる第5夜は、筆者(たけしな竜美)の体験談で締めさせていただきます。

近づく音
何年も前の5〜6月ごろ、心霊スポットの本を作っていたときのお話です。
時間はお昼過ぎぐらいだったかと思います。その日は100カ所以上の心霊スポットを巡り終えた後で、自室にて取材で撮影した写真などのデータをまとめていました。黙々と作業を進めていたところ、窓の方から「ちりん、ちりん」と、風鈴のような音がかすかに聞こえてきました。
夏も近づいてきたし、きっとお隣さんが風鈴を吊るしたのだろうな、と特に気にもせず、引き続き作業を続けていたのですが……風鈴の音がだんだん大きくなってきたのです。
風が強くなってきたのかな、と思ったのですが……しばらく後、どうにも様子がおかしいと気がつきました。風鈴の音がだんだんと大きくなり、窓に近づいてきているのです。音が聞こえている側の窓の前には隣の家が建っており、その間には人ひとりがやっと通れる程度の隙間しかありません。ですがその音は隣の家の向こうから、まっすぐに聞こえてきていたのです。

しかもよくよく聞いてみれば、その音は絶対に風鈴ではなく……お坊さんが持っている錫杖を思わせる「しゃりん、しゃりん」という音でした。この音はどうやって近づいてきているのか、どこからやってきているのか。そんなことを考えているうちにも、どんどん音は大きくなり続けていて……つまりその音を鳴らしている「何か」が、部屋へ近づいてきているのです。
本能的に「ここにいてはいけない」と察した私は部屋を飛び出し、家の外へと一目散に逃げ出しました。
家の外に出て一息ついたところで、不思議なことに気がつきました。部屋の中では大きくはっきりと聞こえていた「しゃりん、しゃりん」という音が、家の外ではまったく聞こえてこないのです。
しばらく後、来てもらった友人と一緒に部屋へ戻りました。家具の配置など中の様子はまったく変わっていなかったのですが……床に置いてあったペットボトルのお茶が倒れており、その水たまりから水の筋が伸びてぐるぐると、部屋の中で円を書いていたのです。
記事:たけしな竜美(@t23_tksn)
ねとらぼ怖い話特集・2023年
- 第1夜:墓園で目撃したおじさんが……
- 第2夜:とつぜん妻の顔が真っ青に……
- 第3夜:金縛りを引き起こしたものは……?
- 第4夜:部屋の外から自分を呼ぶ誰かの声が……
- 第5夜:窓の方から「ちりん、ちりん」、音がだんだん大きく……
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