「タコってこんなに可愛いんだ」――もらったタコの美しさに驚くも、飼育は難しく、おろすのもためらわれて……。「命を頂くこと」の重さを描いたエッセイ漫画が、Xで約30万回(記事執筆時点)表示されて反響を呼びました。感動の声が多数寄せられました。

 漫画を投稿したのは、小学生の息子を育てながら漫画を描く皆生桜子(@KaikeSakurako)さん。今回紹介するのは、息子さんと海釣りに行った日のエピソードを描いた漫画「タコが可愛くて辛かった話」です。

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釣りに行った浜辺で出会ったのは……

 息子さんと海釣りに行った日のこと。皆生さんが浜辺で釣り針にエサをつけていると、息子さんが「タコもらった」とバケツを持って駆け寄ってきました。

駆け寄ってきた息子さんのバケツに入っていたものは……

 息子さんは他の釣り人に「何釣っているんですか」と話しかけて仲良くなり、タコをもらったそうです。バケツの中のタコは、指で触るごとに次々に色が変わり、その美しさに皆生さんは「タコってこんなに可愛いんだ」と思わず感動。

くるくる色を変えるタコの美しさに魅了されますが……

 海釣りを終え、息子さんとタコの入ったバケツを車に乗せ、自宅に向かって車を走らせる皆生さん。 ――「(タコを)自宅に持ち帰るということは、食べるという覚悟がいるということ」。その思いが気持ちを重くします。

家に持ち帰るということは、タコが今まで生きていた海から引き離すということ

 一度はスマートフォンでタコの飼育について検索してみたものの、脱走が得意なことや、生きたエサが必要なこと、頻繁な水替えが必要なことなど、飼育難易度の高さを突きつけられてしまいます。しかし、いざさばこうとすると、まな板の上のタコと目があった気がして、ためらってしまいます。

自宅で飼育することも難しく、命を絶ってしまうことにもためらいが

 「できない!」と立ちつくす皆生さん。その様子を見た息子さんが「ぼく おろそうか」と、動画を参考にタコをおろして唐揚げにしてくれました。

 その日の出来事を「私は美しくて可愛い生きているものから、命を頂いて今日も生きてる」と胸に刻む皆生さんでした。

タコは息子さんがおろして唐揚げに。「命をいただく」を体感する出来事が完結
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「学びのある漫画」「共感した」

 作品には「子供の成長と生き物を食べる切なさがかみ合った素敵な作品」「タコかわいいし息子くんもたくましい」「すごく共感した… 自分で釣った魚を初めて捌いた時、命の重みを感じてボロボロ涙を流しながら捌いた」「すごい…息子さん立派だ! 学びのある漫画でした」「『いただきます』の背後に広がっているものをじんわりと感じさせられました…」などの声が寄せられていました。

 多くの人の心を動かした「タコが可愛くて辛かった話」。この出来事についての思いを皆生さんに聞いてみました。

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「物語で悪役」「おいしい食べ物」からイメージ一転

 まず、今回の出来事を漫画に描こうと思った理由について、皆生さんは次のように語りました。「タコという生物の美しさと尊さにとても感動したので、日記のような感じで記録に残したかったからです。きっと知らない人も多いだろうと思い、その感動を伝えたかったことも理由にあります」

 作品の中で「タコってこんなに可愛いんだ」と、その美しさに驚くシーンがありますが、生きたタコと触れ合うまで、皆生さんは真逆の印象を持っていたようです。

 「ぶっきらぼうで、怖いイメージでした。物語で悪役になったりするし、テレビで見るイメージはなんとなく海の重鎮感がありました。実際は切られて売られているものを食べてるだけで、おいしい食べ物としか思ってなかったです」(皆生さん)

 「おろそうか?」と申し出た息子さんには、作品を読んだ人から「立派だ」「たくましい」などの声が寄せられました。息子さんはもともと魚に興味があり、料理教室に通ったり、海で釣った魚をさばいてくれたりしていたそうです。魚介や包丁は扱い慣れていたようで、タコをさばく様子も落ち着いたものだったとのこと。

 「タコに対しても、騒ぐことなく、きちんと急所を押さえてから調理してくれました。長く苦しまずに済んだのではないかと思います」(皆生さん)

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しっかり食べる責任を感じるように

 皆生さんは今回の出来事を通した自身の変化について、「スーパーで見る食べ物として売られる生き物について、しっかり食べる責任を感じるようになりました」と語ってくれました。また、「フードロスはとても重いことだと思います」と、食べられる食品が捨てられてしまう問題についてあらためて認識したようです。

 作品への反響については「たくさんの方に見ていただけて、自分の感動を追体験してもらえたなら、本当に嬉しいです」とコメント。「海の話は他にもあるので、また描けたらいいなと思います」と今後についても語りました。

 皆生さんはこのほかにも、日々の生活の中で感じたことや思ったことなどを描いた漫画をXに投稿しています。

作品提供:皆生桜子(@KaikeSakurako)さん