保護施設でほとんど声を出さなかったアメリカン・ブルドッグ――。そんな数カ月ものあいだ静かだった犬が本来の明るい性格を取り戻していく様子に、SNSで反響が集まっています。

「吠えすぎる犬」として沈黙を強いられた過去
2025年、アメリカン・ブルドッグのピーティーは、犬に噛まれたと主張する男性によってワイオミング州の保護施設へ連れてこられました。
男性は子どもがいるため犬を預かってほしいと申し出ましたが、正式な引き取りには至りませんでした。その後、まもなくピーティーは路上をさまよっているところを発見され、結果的に野良犬として施設に収容されることになりました。
保護施設では、ピーティーに強い吠え癖があることが判明。声帯の振動に反応して音や振動を与える「バークカラー」が使用され、吠えないように訓練されました。
吠える行動を抑えるための一般的なトレーニング器具ではありますが、その結果、ピーティーはほとんど声を発さなくなっていきました。
ボランティアのエリン・バトラーさんは、そんなピーティーの境遇に心を動かされました。そして2025年9月、正式にピーティーを引き取ることを決めました。
ある日のドライブ中に突然、ピーティーに訪れた変化
新しい家に迎えられたピーティーは、甘えん坊で愛情深い性格を見せたものの、やはりほとんど声を発しませんでした。バトラーさんはそれがピーティーの性格だと思っていました。
しかし、もしかしたら過去の経験から感情を抑え込んでいたのかもしれません。環境が変わってもすぐに本来の姿を出せるわけではなく、安心できるまで時間が必要だったのかもしれません。
ピーティーに変化が訪れたのは、12月のドライブ中でした。
実家へ向かう車の後部座席で、ピーティーは突然、遠吠えを始めました。それまで静かだった犬とは思えないほど、歌うような声を出し続けたのです。バトラーさんはこの瞬間を「羽目を外したみたいだった」と振り返っています。
それ以降、ピーティーは車の中でたびたび歌うようになり、自宅でも“コンサート”を開くようになりました。音楽が流れていなくても関係なく、気分が乗るとパフォーマンスを披露するそうです。
バトラーさんは、その変化をこう語っています。
「ピーティーは、ようやく安心して声を出せるようになったと感じました。今では自信に満ち、表現豊かで、パフォーマンス好きな性格がはっきり表れるようになったんです」
そんなピーティーの様子がTikTokアカウントで公開されると、多くの人がピーティーの“歌声”に注目するように。楽しそうに遠吠えするピーティーの姿を見た人からは、たくさんのコメントが寄せられています。
「毎日見ていても飽きないよ!」
「心の叫び、って感じだね」
「ソウルメイトとのデュエットね! 素敵だわ」
「一生懸命歌っている姿がなんとも愛らしい」
「バトラーさんに引き取られてピーティーも幸せだね」
ただ誤解されていただけのピーティー
バトラーさんは、ピーティーの変化が一つの大切なことを示していると話しています。吠える行動も問題ではなく、コミュニケーションの一つだった可能性があるというのです。
環境が合わなかったり、ストレスが重なったりすると、犬は誤解されやすい行動を取ることがあります。しかし、安心できる家庭と時間、そして理解があれば、本来の性格が表れるケースも少なくありません。
長年保護施設で活動してきたバトラーさんは、多くの犬が新しい家庭を待っているといいます。中にはピーティーのように、思いがけない個性を持つ犬もいるかもしれません。
数カ月間沈黙していた保護犬が、今では歌うように声を響かせる存在に。安心できる場所を得て本来の自分を取り戻したピーティーの姿は、保護動物にもう一度チャンスを与えることの大切さを改めて感じさせてくれます。

