なぜゲームは愛されるのか――次世代ゲーム機までのミッシングリンク(1/3 ページ)

E3で発表された次世代ゲーム機――ここまで来てしまったハイスペックなハードの後ろには、脈々と繋がるゲームの血脈が存在する。KENTIAホールで見る海外ゲーマーの「愛」を“History of Video Games”で振り返る

» 2005年05月27日 20時33分 公開
[小林仁,ITmedia]

 次世代ハードの発表からはじまり、嵐のように過ぎ去っていった北米ロサンゼルスのE3取材。そんな中、ITmedia Gamesでは期間中に掲載できなかったモノや出来事をいくつかレポートしてみることにする。ゲーム機の歴史を振り返ることで、今回の次世代ゲーム機への繋がりが見えてくる。

E3では、日本のモーターショーやゲームショウではおなじみのレースクイーンやコスプレイヤーたちの姿を見かけることはあまりない。とは言えまったくいないわけではなく、よーく探せばこのようにアダルトな感じでブースに華を添えているお姉様もちらほら(THQブースではWWEのディーヴァ、ステイシーが来ていたそうな)。当然周囲は人だかり

 E3はゲーム業界で世界最大規模のトレードショーと言われるだけあり、その展示スペースはとにかく広大だ。とは言え出展している各メーカーのブースはある程度カテゴライズされているため、実はその“法則”さえ知っておくと実はE3巡りもだいぶ楽になる。おそらく来年もこの法則は通じるので、来年のE3を楽しむうえでもぜひこちらを一読してほしい。

 E3は大別すると、SCEと任天堂という2大コンシューマゲームメーカーが陣取る「WEST」ホール、マイクロソフトを含むPCゲームメーカーが軒を連ねる「SOUTH」ホール、そして中小ゲームベンチャー企業が集まる「KENTIA」(ケンティア)ホールの3ホールに分かれている。ところがWESTとSOUTHをつなぐ「CONCORSEホース」とWESTホール周辺に数十あるコンパートメントにあらゆるゲーム関係のメーカーが出展しているため、結果としてそのすべてを3日間で把握するのはほとんど不可能に近い。

 結果として、E3を訪れた人の多くはハードまわりの情報や新作タイトルが集中するWEST、SOUTHに出展された主要メーカーを重点的に見ることになる。そして、3日間ではその2ホールをまわりきるのがせいぜいで、第3のブースであるKENTIAホールを見逃す人は結構多い。

 ところがこのKENTIAこそ、実は日米のゲームカルチャーの違いを感じ取れると言う意味で、かなり貴重な場所だったりするのだからE3は侮れない。北米の「ゲームシーンを知る」だけならWESTとSOUTHで事足りるが、北米の「ゲーマーカルチャーに触れたい」のであればやはり、ここKENTIAは一度は訪れておきたい場所なのである。

巨大なブース設営が目を引くWESTやSOUTHに比べると、混沌とした感じなのが否めないKENTIAホール。PCゲーム系の周辺機器メーカーも出展しているため、ここを全部見ようと思うだけで1日はかかってしまう

 KENTIAホールに出展しているのは、周辺機器や中小ソフトハウス、エレクトロトイ関連のメーカーたちだ。もちろんドイツ最大の周辺機器メーカー「CHプロダクツ」をはじめ海外の大手もブースを出展しているのだが、大半が2コマか3コマのスペースでブースを開き、アメリカンドリームを狙うベンチャー企業であふれている。誰もが初めて足を踏み入れた時は「ここはE3のカオス空間だ!」といった印象を受けるだろう。

 ただ、こうした各ブースのレポートよりも先に今年もやっぱりKENTIAで目をひいてしまったのが“History of Video Games”(展)だ。これは昨年、E3開催10周年を記念して開催された“The History of Videogames Museum”と同様のもので、1970年〜90年代というビデオゲームの歴史を当時のアーケードやコンシューマゲーム機の“実機”とともにつづる貴重な展示会場だ。おそらく昨年の人気があまりに高かったため、今年も引き続き開催されたものと思われる。

昨年に引き続き貴重な“History of Video Games”展

1982年に発表されたATARI 800 HOME COMPUTER。ゲームもPCも遊べるホームコンピュータとして、Apple IIのライバルとして登場した

 この“History of Video Games”、何がすごいかと言えば歴代アタリのVCSシリーズからNES(Nintendo Entartainment System:初代ファミコン)に至るまで、ビデオゲームの歴史を作ってきた1970〜90年代の家庭用ゲーム機、携帯ゲーム機、アーケードゲームたちが直にさわれて遊べてしまう(カセットを入れ替えて遊ぶこともできる)展示スタイルとなっていることだ。そして、会場を訪れている人々を見て痛感したのが、こうしたオールドゲームに対する“文化の深さ”だった。

見よこの無造作な展示っぷり。日本で言えば保存状態の良い「カセットビジョン」や「ぴゅう太」が対応カセットとともにむき出しで置かれ「さあみなさん、好きなゲームを遊んでいいですよ」というフリープレイ状態に近い(年増の人にしかわからなくてすいません、でも日本ならガラス張りのショーケースに入れられそうなものだ)。あまりに無造作なのでセキュリティの人は大変そうでした

 知っての通り、ビデオゲームの歴史(と文化)は日本よりも北米のほうが5〜10年先行している。アーケードゲームの世界では1971年に世界初の商用アーケード「COMPUTER SPACE」、1980年代に「スペースインベーダー」と「パックマン」で大ブームが起き、家庭用ゲーム機の世界も1972年の「オデッセイ」の登場から1977年の「アタリ2600」(VCS=Video Computer System、いわゆるカートリッジ交換型のゲーム機)で空前のビデオゲームブームが到来している。

 のちに海外では1983年の“アタリショック”でゲーム市場が崩壊し、現在のゲーム史につながるNES(日本では1983年発表、北米では1986年発表)の時代が始まるが、この“ファミコン前史のゲーム文化を持つ”ことこそが日本と北米の違い、ゲーム文化の成熟度にも通じている。

 日本でもこうした歴代ゲームの展覧会が昨年「テレビゲームとデジタル科学展」として開かれたが、日本はこうしたことをアカデミックにまとめがちなのに対し、こちらではあくまでゲームは遊んでナンボ、触ってナンボのエンターテインメントに徹しており(ゲーム好きにとっては素直に)うれしい。まあ、単純に土地柄と言うのもあるかもしれないが。

 なお会場の規模的には、去年のほうが世界初の商用ビデオゲーム第1号「COMPUTER SPACE」、第2号「PONG」のプレイアブル筐体などもあったため、今年はややおとなしめ。その代わり、昨年にはなかったコンソールも登場しているので、そうしたレアなものを中心にこちらで紹介しておこう。

今年のレアもの第一弾は「ATARI VIDEO MUSIC」(1976年)。ステレオサウンドを通すことでちょっとサイケなCG映像をテレビ出力するアタリのビジュアルエフェクターで、ゲインをいじることでドット絵がリアルタイムに変化する。ディスコやサイケデリック世代を意識し、1970年代ならではのデバイス。翌年1977年にはアタリ初のビデオゲーム「ATARI 2600」が発表される
おそらく民生品のゲーム機史上最強のプレミアものと言えるのが、ゲームカートリッジ交換式のモニタ一体型ゲームマシン「ADVENTURE VISION」(1982年)の現物品。同年に発売された「Vectrex System」(高速船)はベクタースキャンモニタを採用していたが、こちらはなんとFL(LED)モニタを採用し、まさにエレクトロトイの芸術とも言える造り。こちらだけはさすがにショーケース入り。残念!
家庭用ゲームコンソール史を語るうえで欠かせないVCSこと「ATARI 2600」(1977年)。会場では「Odyssey Console」(1972年)、「Coleco Vision System」(1982年)などのVCS前後の世代と、「Turbo Grafix」(PCエンジン)や「Sega Genesis」(メガドライブ)を含めた「Nintendo Entertainment System」(1986年)以降のブースに分かれて設置されていた。当時のアメリカのリビングに合うよう、VCS世代はウッドパネルが多用されたデザインなのが面白い

コンシューマーの“鏡”となった80年代のアーケードゲーム

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2406/24/news076.jpg 18÷0=? 小3の算数プリントが不可解な出題で物議「割れませんよね?」「“答えなし”では?」
  2. /nl/articles/2406/24/news018.jpg 定年退職の日、妻に感謝のライン→返ってきた“言葉”が193万表示 「不覚にもウルッとした」「自分も精進します」と反響多数
  3. /nl/articles/2406/23/news022.jpg あずきバーに砲弾を撃ち込む様子が“そんなわけなさ過ぎる結果”で爆笑 ツッコミが不可避の投稿はどのように生まれたのか聞いてみた
  4. /nl/articles/2406/21/news154.jpg 「死ぬほど笑ったw」 “ほろよい”限定デザイン → 人気ゲームの“例のロゴ”に見えると話題に まさかの公式も反応「ほろよい うま」
  5. /nl/articles/2406/23/news014.jpg 「やばすぎ」 ブックオフに10万円で売られていた“衝撃の商品”に仰天 「これもう文化財」「お宝すぎる」
  6. /nl/articles/2406/22/news028.jpg いつも遊びに来る野良猫がケガ→治療するもひどく威嚇され…… 「嫌われた」と思った翌日の光景に「涙が出ました」
  7. /nl/articles/2406/24/news020.jpg 「行政に連絡しやなあかんやろ」街頭で遭遇した“危険生物”が477万表示 “経験者”から「足速いから気を付けて」「近付かないほうが」
  8. /nl/articles/2406/22/news082.jpg “英語”で書かれた商品説明をよく見ると…… 「日本人にしか読めない」遊び心あふれるパッケージに9万いいね
  9. /nl/articles/2406/24/news038.jpg “大好きなチーズを離さないハムスター”に見えて、実は…… 目を疑う正体に「天才」「本物かと思った…」
  10. /nl/articles/2406/24/news041.jpg ご飯中に眠すぎる赤ちゃん、ぐでんぐでんになっていき…… 100万再生の“世界一かわいい寝落ち”に「この時期しか見られない」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「最初から最後まで全ての瞬間がアウト」 Mrs. GREEN APPLE、コカ・コーラとのタイアップ曲に物議 「誰かこれを止める人いなかったのか」
  2. 「値段を三度見くらいした」 ハードオフに38万5000円で売っていた“予想外の商品”に思わず目を疑う
  3. 「え?」 “ごみだらけの道”を掃除したら…… あらわになった“まさかの正体”に世界中が驚き 「信じられない」【海外】
  4. 185センチ木村沙織、生放送で櫻坂46メンバーの横に立つと……朝8時51分に驚きの光景 「あれ? 子供が混じってる?」「親子すぎる」
  5. 「この家おかしい」と投稿された“家の図面”が111万表示 本当ならばおそろしい“状態”に「パッと見だと気付けない」「なにこれ……」
  6. 【今日の計算】「8−8÷8+8」を計算せよ
  7. フジ「アンメット」、池脇千鶴のサプライス姿が激変しすぎて“最も衝撃” イメージ覆す“肉づきたるみ顔”に「わからんかった」「びっくりして夜中に声出た」
  8. 「これどうやって使うの?」→「考えた人マジ天才」 セリア新商品の便利な使い方に「これ100円でいいんですか!?」
  9. 「この子はきっと豆柴サイズ」と言われた子柴犬、4年たつと…… 衝撃のビフォーアフターに「愛情詰まりすぎてw」「爆笑しました」の声
  10. 飼い主のことが好きすぎる超大型犬、最後は勢い余って…… 直視できないレベルの一撃に「何回見ても笑っちゃう」「襲われてる人がいます!!」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「今までなんで使わなかったのか」 ワークマンの「アルミ帽子」が暑さ対策に最強だった 「めっちゃ涼しー」
  2. 「現場を知らなすぎ」 政府広報が投稿「令和の給食」写真に批判続出…… 識者が指摘した“学校給食の問題点”
  3. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 同情せざるを得ない衝撃の光景に「私でも笑ってしまう」「こんなん見たら仕事できない」
  4. 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 「二度と酒飲まん」 酔った勢いで通販で購入 → 後日届いた“予想外”の商品に「これ売ってるんだwww」
  7. 幼稚園の「名札」を社会人が大量購入→その理由は…… 斜め上のキュートな活用術に「超ナイスアイデア」「こういうの大好きだ!」
  8. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  9. JR東のネット銀行「JRE BANK」、申し込み殺到でメール遅延、初日分の申込受付を終了
  10. サーティワンが“よくばりフェス”の「カップの品切れ」謝罪…… 連日大人気で「予想を大幅に上回る販売」