なぜゲームは愛されるのか――次世代ゲーム機までのミッシングリンク(2/3 ページ)
コンシューマーの“鏡”となった80年代のアーケードゲーム
こうした歴代の家庭用ゲーム機だけでなく、History of Video Games会場では通路を隔てて、アーケードゲーム黄金期でもある1980年代前半の筐体が数多く展示されていた。こちらはナムコや任天堂、タイトー、セガといった日本のアーケードゲーム黎明期にも活躍した作品が多かった昨年と比べ、ATARIやMIDWAY、Williamsといった海外本来のアーケード御三家の作品が多く出展されており、舶来感がさらにアップした印象だ。ちなみに昨年はきちんと1プレイするのに1クォーターを投入しなければならなかったが(これはこれでいいのだが)、今回は全台フリープレイとなっていた。
ところで、こうした展示を歴史順に追っていくと、実は非常に面白いことが見えてくる。先ほども述べたように、北米は一度ビデオゲーム業界の繁栄と衰退を一度体験している。1983年に起きた北米ビデオゲーム業界の氷河期として知られる“アタリショック”は「ゲームソフトの粗製濫造によって消費者がゲームに興味を持たなくなり市場が崩壊した」とよく言われているが、その氷河期時代(NESが登場する1986年までの間)のアーケードゲームは「ドンキーコング」「ゼビウス」「マリオブラザース」「グラディウス」などなど、日本のアーケードゲーム文化がまさに華開いた時期にあたる。
そして、実際にそうした1980年代前半のアーケードゲームが海外のユーザーでも熱狂的に支持されているのを見ると、「本当にビデオゲームが飽きられたのだろうか?」という疑問がふつふつとわいてくる。
当時の海外用ゲームコンソール(とのそのパッケージ)を時代順に調べてみると、日本のゲーマーと同様に北米のゲーマーたちも「自宅でアーケードクオリティのゲームが遊べる」ことが重要だったことは想像に難くない。しかしながら、1982年に発表されたコレコビジョンのヒット以降、海外メーカーは「コモドール64」をはじめ“ゲームもPCも遊べる”ホームコンピュータ路線にシフトしてしまった(かつて日本でもPC-6001シリーズやMSXが台頭してきたように)。
この結果、ハイエンド/ミドルエンドユーザーはその後PC(IBM PCは1981年に登場した)に流れていくが、カジュアルユーザーの多くがローエンドゲーム機にとどまらざるを得ず「アーケードのようなゲームを遊びたいのに自分のゲーム機では遊べない(しかもソフトの価格は暴落してクソゲーばかり)」状況になっていた、と思われる。
つまり“アタリショック”とは「最新アーケードゲームの急激な進化に従来の家庭用ゲームコンソールが追いつけなかった、もしくはメーカー側が消費者が求めるゲームコンソールを出さなくなった」ことが引き起こしたのではないか、という見方ができるわけだ。
さらにこういう見方をすることによって、北米でなぜこれだけマリオが、任天堂が長年にわたって愛されているのかもなんとなく理解できてくる。なぜなら彼らゲーム好きにとって、NintendoはアタリVCS〜コレコビジョンで途絶えた「アーケードクオリティのゲームがまた手軽に遊べるゲームマシン」を再び提供してくれた“救世主”だっ たのだから。質のいいタイトルを出し続けてきたブランドに対する信頼も含め、任天堂がこれだけ高い求心力を持っているのは、なるほどこうした“歴史”を持つからこそなのかもしれない。
日本じゃ見られない周辺機器もずらり。KENTIAは今年も元気
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