桃太郎で行っとけ!「桃太郎活劇」:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(2/2 ページ)
誰でもクリアーできるゲームにするための工夫
各ステージの最初には村がある。桃太郎はここで刀や防具、道具を買ったり、宿で体力を回復したりできる。
村を出るといよいよ、鬼たちとの戦いになるわけだが、簡単だからといっても、決して単調なわけではなく、ステージの構成も、出てくる鬼たちも、バラエティーに富んでいる。
「桃太郎伝説」からの伝統で、ちょっと遊び心の入った敵キャラクターが多い。
ラインダンスする鬼や、入れ歯を飛ばす鬼。転がってくる金太郎飴。
新体操をする鬼。シンクロナイズドスイミングをする鬼。傘でマスを回す太神楽の鬼。
ステージの途中、区切りとなる場所に、地蔵が立っている。
地蔵に話しかけると、「一曲聴いてもらえんか?」と言われるが、この“曲”というのがパスワード。一度ゲームをやめても、再プレーのときにその位置からスタートできる。
ステージ中盤には仙人の家がある。
ここに立ち寄ると、“仙術”が使えるようになるのだが、ただ立ち寄るだけでは仙人も術を教えてくれない。
仙人の出す昔話クイズに答えたり、仙人と「あっちむいてホイ」をやったりして、新しい術を覚えていくのだ。
仙術のうち、最初のステージで覚える「ももひえん」は特に重要だ。
ももひえんは、今まで立ち寄った村に戻る術。これを使えば、ステージの途中でピンチになっても、村に引き返して、宿に泊まることができる。
宿に泊まった後、もう一度ももひえんを使えば、最後に立ち寄った地蔵の所へ戻れるのだ。
繰り返し、敵を倒してお金を貯めれば、強い刀や防具を買える。
RPGのように、敵を倒してピンチになったら宿に帰るというプレーが可能になっているわけだ。
ちなみに「GENJI」も、途中で前のステージに戻って、主人公を強化できる。
「GENJI」にある経験値とレベルアップが「桃太郎活劇」にはないなど、両者のシステムには違いがあるので、「GENJI」が直接「桃太郎活劇」を参考にしたなんてことはもちろんない。
だが、アクションの苦手な人でも、主人公の強化によって、先へ進めるようになっているという点で、「桃太郎活劇」と「GENJI」は似ていると言える(無理やりだが)。
テレビゲームにおいて、「難易度」はきわめて大きな要素である。
私もゲームを買う上で、そのゲームの難易度がとても気になる。だが、買う前に難易度の分かるゲームは、ほとんどない。
買ってから「難しくてクリアーできなかった」では嫌なので、難しそうに見えるゲームはついつい敬遠してしまうのだ。
だから「桃太郎活劇」のように、難易度を売りにしてくれるゲームはありがたい。
冒頭でも書いたが、難易度が低いというのはそれだけで、ゲームに興味があるけどやらない人(新規期待顧客)や、昔ゲームをやっていたけど今は離れた人(休眠顧客)にとって、大きな売り文句の一つとなるのではないだろうか。
「2005 CESAゲーム白書」によると、新規期待顧客・休眠顧客は、合わせて約2000万人存在すると見られる。その全員がゲームの難易度でためらっているわけではないが、難度が低くて、操作が簡単なゲームは、こうした人々をゲームに呼び戻す可能性があると思う(もちろん、難度が低くて操作が簡単なことを、広告などで積極的にアピールしなければ意味がないけれど)。
「桃太郎活劇」のような取っつきやすいゲームが、今のゲーム界に、もっともっと増えてくれば、ゲームを愛好する人々も増えてくるだろうし、テレビゲームに偏見を持つ人も減るだろう。
そう考えると、谷中の貧乏神の像も、ゲーム業界の進むべき道を照らし出す、福の神に見えてくるのであった。
……と、ここまで書いたところで気づいたが、実は「桃太郎活劇」に、貧乏神は出てこない。
何のために谷中まで行ったのだ私は。
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