甘酸っぱい思い出を胸に、新たな気持ちでプレイ――「タイトーメモリーズ 上巻」
1978年〜1997年までに業務用として稼動した、タイトーの珠玉のタイトルを集めた本作。上巻下巻に分かれたこの2本には、合わせて50本ものタイトルが収められている。今回は7月28日に発売された上巻から「バブルボブル」に焦点を合わせて紹介しよう。
奇抜なアイディアと絶妙なバランス
1986年に業務用として「バブルボブル」が稼動し始めた時、自分は中学1年生。当時通っていた学校はゲームセンターへの出入りが禁止だったため、業務用のゲームを遊ぶのはもっぱら当時から入り浸っていた駄菓子屋だった。
初めてバブルボブルをプレイした感想は「いまいちわっかんねぇ」という、開発者が聞いたら憤慨しそうな失敬なもの。当時のゲームは、単純明快なアクションゲームが多く、説明書などはあまり読まなくても、だいたいがジャンプと攻撃という2つのボタンを使用していた。だが、バブルボブルの攻撃ボタンにあたるのは「泡」ボタン。プレイヤーキャラのバブルンの口から、もわっと「泡」が出てくるもの――よくあるアクションゲームなら、この泡を当てて敵を倒していくのだが、バブルボブルは敵を一度泡に閉じ込めなければ倒す事ができない。
その仕様自体、当時のタイトルとしては、奇抜なもので、さらに横スクロールが隆盛を極めし時に、前衛的とも言える一画面固定。これらの要素を踏まえて前述の「いまいちわっかんねぇ」という言葉が出てしまったのだろう。
しかし、当時のゲーム仲間と2Pプレイをしてみた事から状況は一変した。1人でプレイする事で、難易度の高かったステージなどが、お互いの役割を作る事で簡単になっていく。さらに、泡がどのように流れて行くかの「気流」や、出現するアイテムの効果的な使い道、敵の行動パターンを覚える事で、どんどん深みが増していったのだ。
つまり、泡を吐いて敵を倒す一画面の単調なゲームと思っていたものが、その場の状況を臨機応変に捉え、2Pとの協調性が重要視されるゲームなのだと理解。逆に言えば1人プレイだと中盤以降の難易度が急激に上がる、かなりバランスの考えられたゲームとなっているのだ。
ゲームそのものを楽しみつつ、長く長く遊ぶ
懐かしさとともにプレイをする事で、あの頃の思い出も蘇ってくるものである。当時は、だいたい1プレイ50円の世界。最近の人たちにとっては、「50円で遊べるなら安いじゃん」と思われるかもしれないが、我々の(当時子供だった)世代のこづかいなどは、それはもう悲惨なもので、50円がどれほどの価値があっただろうか(もちろん貧富の差で経済価値は変わるだろうが)……。
だからこそ、1プレイでどれだけ楽しめるかが焦点になっていた。臨時収入があった時などは、脱衣麻雀などに手を出したりして、ブルジョワっぷりを堪能したりするが、刹那的に終わってしまうようなゲームとは真逆に、バブルボブルは上達して2Pでの協力プレイが確立されれば長く遊んでいられる。100面あることを知った時には、最初は愕然としたものだが、よくよく考えれば続けることさえできれば、恐ろしいほどのコストパフォーマンスである。当然、当時のプレイスタイルは、長く遊ぶためのものを突き詰めたものだった。
- ワープパラソルは取らない
- 20、30、40面のシークレットルームは、2人で半分ずつ分ける
- EXTENDでの1upは、残機が少ない方に譲る
- 100面をクリアする時は、ジャンケンで負けた方がわざとミスる
- 隠しコマンド(ORIGINAL GAME・POWER UP)を入れる
特に下の2つは必須。まず、100面でわざとミスるのは、1P、2Pとも生き残っている状態で、クリアしてしまうとエンディングに行ってしまうからである。つまり、その時点でゲームは終了。残機がいくら残っていても、ゲームは終わってしまうのだ。これは、悲しい。せっかく増やしたのに意味がなくなってしまうなんて。
前述した通り、長く遊びたい我々は、ラスボスのスーパードランクをもう少しで倒せそうな所までは協力してダメージを与えておく。そして、頃合いを見計らってじゃんけんをし、負けた方はわざとミスってゲームオーバーにするのだ。生き残ったプレイヤーはスーパードランクを倒して、ZAPPINGする(50面以降に飛ばされる)ことでさらにゲームを続けられるといった寸法だ。上達すれば、ここからさらに100面を目指し、さらにZAPPINGすることも可能。駄菓子屋から筐体が消える頃にはやりこみは相当なもので、ZAPPINGした時点でギャラリーの子供に残りをやらせるなんて、ちょっとした自己満足感を得たりもしていた。
当時は、隠しコマンドを邪道とする流れもあったが、1プレイを大事にする我々は、ストイックにハイスコアを狙う遊び方よりも、純粋にゲームを楽しむためにコマンドを使用していた。やはりミスをしてしまって、パワーダウンしたり、シークレットルームに入れないのはストレスになる。
今回のタイトーメモリーズに入っているバブルボブルにも、隠しコマンドは存在するので、使いたい人は入れてみるといいだろう。余談ではあるが、当時はコマンドを入れる者と、ジュースを買ったりトイレに行ったりする人間に分担するという分業制が流行っていたものだ。
- スーパー(裏面)
コイン投入前にタイトル画面でSTART 、×、□、←、→、×、START、→ボタンを入力するとタイトル画面に「Super」と表示され、裏面をプレイすることができる。ただし、一度に1つのコマンドしか入力できないため、複数の効果をいかしたい時はデモをループさせないと駄目(※コマンド受付は、コントローラ1側のみ)。
- オリジナル(隠し面)
コイン投入前にタイトル画面で□、×、□、×、□、×、→、STARTボタンを入力すると、ノーミスでクリアしないと出現しないシルバードアとゴールドドアが出現し、隠し面に入ることができる。入力成功時はタイトル画面左下に青文字が出ればOK。ただし、一度に1つのコマンドしか入力できないため、複数の効果をいかしたい時はデモをループさせないと駄目(※コマンド受付は、コントローラ1側のみ)。
- パワーアップ
コイン投入前にタイトル画面で←、×、←、START、←、□、←、STARTボタンを入力すると最初から連射、くつを持った状態でプレイできる。入力成功時はタイトル画面左下に赤文字が出ればOK。ただし、一度に1つのコマンドしか入力できないため、複数の効果をいかしたい時はデモをループさせないと駄目(※コマンド受付は、コントローラ1側のみ)。
温故知新の意味を如実に体感できるこの1本
もちろん、タイトーメモリーズはバブルボブルだけでなく、25本ものタイトルが遊べる。ジャンルもアクション・シューティング・パズルなど、様々なものが入っており、お得感は非常に強い。昔のタイトルと侮ることなかれ。単純さの中の奥深さは、最近のゲームが忘れている何かを思い出させてくれるだろう。リアルタイムで遊んでいない人は新たな発見を、当時お金を注ぎ込みまくった人は、懐かしさを思い出して堪能してほしい。30代以上の人間なら、間違いなく鼻の奥がつーんとしてくるはず。ちなみに、バブルボブル以外でのオススメは「マジェスティックトゥエルブ」。ぜひ“キャトられて”、腹を抱えて笑ってほしい。
関連記事
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
サイゼリヤで請求が4万円? なぜかガーリックトーストを185個食べたことになった伝票が100度見必至 投稿者に取材「脳がバグった」
-
雑草だらけだった庭→酷暑の中、便利屋さんが“14時間”雑草対策をしたら…… 見事なビフォーアフターが20万再生 「すごい」「立派」
-
息子のため約7500円払って撮影したら…… いやいや→予想外の仕上がりに「超笑える!」「一生楽しめるよ」の声【海外】
-
自宅の犬小屋に住み着いた野良猫が、1年後…… まさかまさかの“現在”に「うわあ!よかったねえ!」「お幸せに」と100万表示
-
大量のハギレがあっという間に…… マネしたくなる“リメイクアイデア”に「天才」「布も喜んでいる」と称賛の声
-
「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた
-
「別人?」 ロング女性が“ボーイッシュヘア”に大変身→“驚きの激変”が740万再生 「信じられない」【伊】
-
「凄すぎ!!!」 アラジンの仮装でディズニーシーに行ったら…… “まさかの奇跡”が376万再生 「こんなん惚れる」
-
たった築8年で“ぶっ壊れた”マイホームのリアル おそろしい戸建て事情に「声出た」「我が家もそうでした」
-
土の中から拾った石 → 磨いたら……? 息をのむ美しさに思わず絶句! 宝石の“まさかの正体”に「なんという変化」「真の芸術」【海外】
- 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
- 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
- 「Snow Man」の映像が中国で物議→公開停止 所属会社「歴史的事象に対する配慮に欠けた」と中国語と日本語で謝罪
- 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
- 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
- 「かわいいってこういうこと」 生後1カ月の子猫が暖をとる場所は……幸せしかない姿に「この角度から見るのが最幸」
- ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
- 「ボットン便所を簡易水洗にしたい」→「どれどれ……」 建設会社スタッフが驚がくした“歴史的遺物”に大反響 「相当貴重なもの」
- 「その手があったか!」 ほぼ卵焼きだけの弁当?→“まさかのサプライズ”が800万再生 「天才すぎて泣いた」
- 飛行機で傷口が感染し「身体の一部を切除」 133万フォロワーの元アイドル「痛みで涙が止まらない」悲痛の現状報告
- “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
- 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
- 友人に「100円でもいらない」と酷評されたビーズ作家、再会して言われたのは…… 批判を糧にした作品が「もはや芸術品」と490万再生
- 高校3年生で出会った2人が、15年後…… 世界中が感動した姿に「泣いてしまった」「幸せを分けてくださりありがとう」【タイ】
- 「ま、まじか!!」 68歳島田紳助、驚きの最新姿 上地雄輔が2ショット公開 「確実に若返ってる」とネット衝撃
- 荒れ放題の庭を、3年間ひたすら草刈りし続けたら…… 感動のビフォーアフターに「劇的に変わってる」「素晴らしい」
- 食べた桃の種を土に植え、4年育てたら…… 想像を超える成長→果実を大収穫する様子に「感動しました」「素晴らしい記録」
- 「天才!」 人気料理研究家による“目玉焼きの作り方”が目からウロコ 今すぐ試したいライフハックに「初めて知りました!」
- 「エグいもん売られてた」 ホビーオフに1万1000円で売られていた“まさかの商品”に「めちゃくちゃ欲しい」
- 義母「お米を送りました」→思わず二度見な“手紙”に11万いいね 「憧れる」「こういう大人になりたい」と感嘆の声