甘酸っぱい思い出を胸に、新たな気持ちでプレイ――「タイトーメモリーズ 上巻」

1978年〜1997年までに業務用として稼動した、タイトーの珠玉のタイトルを集めた本作。上巻下巻に分かれたこの2本には、合わせて50本ものタイトルが収められている。今回は7月28日に発売された上巻から「バブルボブル」に焦点を合わせて紹介しよう。

» 2005年08月02日 08時31分 公開
[桜山憂太,ITmedia]

奇抜なアイディアと絶妙なバランス

 1986年に業務用として「バブルボブル」が稼動し始めた時、自分は中学1年生。当時通っていた学校はゲームセンターへの出入りが禁止だったため、業務用のゲームを遊ぶのはもっぱら当時から入り浸っていた駄菓子屋だった。

 初めてバブルボブルをプレイした感想は「いまいちわっかんねぇ」という、開発者が聞いたら憤慨しそうな失敬なもの。当時のゲームは、単純明快なアクションゲームが多く、説明書などはあまり読まなくても、だいたいがジャンプと攻撃という2つのボタンを使用していた。だが、バブルボブルの攻撃ボタンにあたるのは「泡」ボタン。プレイヤーキャラのバブルンの口から、もわっと「泡」が出てくるもの――よくあるアクションゲームなら、この泡を当てて敵を倒していくのだが、バブルボブルは敵を一度泡に閉じ込めなければ倒す事ができない。

 その仕様自体、当時のタイトルとしては、奇抜なもので、さらに横スクロールが隆盛を極めし時に、前衛的とも言える一画面固定。これらの要素を踏まえて前述の「いまいちわっかんねぇ」という言葉が出てしまったのだろう。

遊ぶたびに新たな発見があるのも、バブルボブルの特徴。他人のプレイを見て、勉強したりもして。とにかくうまくなることが、肌に感じられるゲームでもある

 しかし、当時のゲーム仲間と2Pプレイをしてみた事から状況は一変した。1人でプレイする事で、難易度の高かったステージなどが、お互いの役割を作る事で簡単になっていく。さらに、泡がどのように流れて行くかの「気流」や、出現するアイテムの効果的な使い道、敵の行動パターンを覚える事で、どんどん深みが増していったのだ。

 つまり、泡を吐いて敵を倒す一画面の単調なゲームと思っていたものが、その場の状況を臨機応変に捉え、2Pとの協調性が重要視されるゲームなのだと理解。逆に言えば1人プレイだと中盤以降の難易度が急激に上がる、かなりバランスの考えられたゲームとなっているのだ。

アイテムの杖を取ってから、最後の敵を倒すと巨大な食べ物が降ってくる。その時点で泡だったものは、すべて食べ物に変化するので、泡を吐きまくってから倒すのが常套手段。通常の面では、スコアの百と千の桁を合わせる事で泡が食べ物になる
薬を取ると、その面自体がボーナスステージに変化する。足場の少ない面では、極端に難易度の高いボーナスステージになることもある

ゲームそのものを楽しみつつ、長く長く遊ぶ

 懐かしさとともにプレイをする事で、あの頃の思い出も蘇ってくるものである。当時は、だいたい1プレイ50円の世界。最近の人たちにとっては、「50円で遊べるなら安いじゃん」と思われるかもしれないが、我々の(当時子供だった)世代のこづかいなどは、それはもう悲惨なもので、50円がどれほどの価値があっただろうか(もちろん貧富の差で経済価値は変わるだろうが)……。

 だからこそ、1プレイでどれだけ楽しめるかが焦点になっていた。臨時収入があった時などは、脱衣麻雀などに手を出したりして、ブルジョワっぷりを堪能したりするが、刹那的に終わってしまうようなゲームとは真逆に、バブルボブルは上達して2Pでの協力プレイが確立されれば長く遊んでいられる。100面あることを知った時には、最初は愕然としたものだが、よくよく考えれば続けることさえできれば、恐ろしいほどのコストパフォーマンスである。当然、当時のプレイスタイルは、長く遊ぶためのものを突き詰めたものだった。

  • ワープパラソルは取らない
  • 20、30、40面のシークレットルームは、2人で半分ずつ分ける
  • EXTENDでの1upは、残機が少ない方に譲る
  • 100面をクリアする時は、ジャンケンで負けた方がわざとミスる
  • 隠しコマンド(ORIGINAL GAME・POWER UP)を入れる
ワープパラソルは取る事で、難易度の高い面を飛ばすことも可能。戦略性に長けたアイテムだが、シークレットルームの前では絶対に取らないことが重要

 特に下の2つは必須。まず、100面でわざとミスるのは、1P、2Pとも生き残っている状態で、クリアしてしまうとエンディングに行ってしまうからである。つまり、その時点でゲームは終了。残機がいくら残っていても、ゲームは終わってしまうのだ。これは、悲しい。せっかく増やしたのに意味がなくなってしまうなんて。

 前述した通り、長く遊びたい我々は、ラスボスのスーパードランクをもう少しで倒せそうな所までは協力してダメージを与えておく。そして、頃合いを見計らってじゃんけんをし、負けた方はわざとミスってゲームオーバーにするのだ。生き残ったプレイヤーはスーパードランクを倒して、ZAPPINGする(50面以降に飛ばされる)ことでさらにゲームを続けられるといった寸法だ。上達すれば、ここからさらに100面を目指し、さらにZAPPINGすることも可能。駄菓子屋から筐体が消える頃にはやりこみは相当なもので、ZAPPINGした時点でギャラリーの子供に残りをやらせるなんて、ちょっとした自己満足感を得たりもしていた。

 当時は、隠しコマンドを邪道とする流れもあったが、1プレイを大事にする我々は、ストイックにハイスコアを狙う遊び方よりも、純粋にゲームを楽しむためにコマンドを使用していた。やはりミスをしてしまって、パワーダウンしたり、シークレットルームに入れないのはストレスになる。

 今回のタイトーメモリーズに入っているバブルボブルにも、隠しコマンドは存在するので、使いたい人は入れてみるといいだろう。余談ではあるが、当時はコマンドを入れる者と、ジュースを買ったりトイレに行ったりする人間に分担するという分業制が流行っていたものだ。

  • スーパー(裏面)

コイン投入前にタイトル画面でSTART 、×、□、←、→、×、START、→ボタンを入力するとタイトル画面に「Super」と表示され、裏面をプレイすることができる。ただし、一度に1つのコマンドしか入力できないため、複数の効果をいかしたい時はデモをループさせないと駄目(※コマンド受付は、コントローラ1側のみ)。

  • オリジナル(隠し面)

コイン投入前にタイトル画面で□、×、□、×、□、×、→、STARTボタンを入力すると、ノーミスでクリアしないと出現しないシルバードアとゴールドドアが出現し、隠し面に入ることができる。入力成功時はタイトル画面左下に青文字が出ればOK。ただし、一度に1つのコマンドしか入力できないため、複数の効果をいかしたい時はデモをループさせないと駄目(※コマンド受付は、コントローラ1側のみ)。

  • パワーアップ

コイン投入前にタイトル画面で←、×、←、START、←、□、←、STARTボタンを入力すると最初から連射、くつを持った状態でプレイできる。入力成功時はタイトル画面左下に赤文字が出ればOK。ただし、一度に1つのコマンドしか入力できないため、複数の効果をいかしたい時はデモをループさせないと駄目(※コマンド受付は、コントローラ1側のみ)。

懐かしのタイトル画面。ここでコマンドを入れて、成功すれば左下に文字が表示される。複数のコマンドを入れたい時は、そのままデモを流し続けて、次に同じ画面になった時に別のコマンドを入れればよい

温故知新の意味を如実に体感できるこの1本

 もちろん、タイトーメモリーズはバブルボブルだけでなく、25本ものタイトルが遊べる。ジャンルもアクション・シューティング・パズルなど、様々なものが入っており、お得感は非常に強い。昔のタイトルと侮ることなかれ。単純さの中の奥深さは、最近のゲームが忘れている何かを思い出させてくれるだろう。リアルタイムで遊んでいない人は新たな発見を、当時お金を注ぎ込みまくった人は、懐かしさを思い出して堪能してほしい。30代以上の人間なら、間違いなく鼻の奥がつーんとしてくるはず。ちなみに、バブルボブル以外でのオススメは「マジェスティックトゥエルブ」。ぜひ“キャトられて”、腹を抱えて笑ってほしい。

EXTENDでの1upは、ひとときの休憩タイム。画面左下の残機表示は最大5つまで。それ以上増やしても表示はされないが、ストックはしっかりされている
隠しコマンドをいれずに、1人でプレイをした結果、41面でゲームオーバー……。当時の自分が後ろで見てたら、嘲笑でしょうな

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