次世代機については「すべてを肯定している」状態――スクエニ和田社長

8月3日に開催された記者懇談会の席上、スクウェア・エニックスの和田社長は、現在公開されている次世代プラットフォームの概要から、今後の展開について語った。

» 2005年08月04日 16時25分 公開
[今藤弘一,ITmedia]

 「これまでの20年は“1強皆弱”だった」と和田社長。「ファミリーコンピュータ」が登場して以来、1つのプラットフォームが市場を支配し、世代交代してきたのがこれまでのゲーム機の姿であった。世代交代が行われるたびに、ハードウェアのスペックも進化し、それにつれてソフトウェアの表現力も向上。ユーザーもそれを支持して同じ方向に進んできたのがこの20年であったと和田社長は語る。

画像 スクウェア・エニックス代表取締役社長 和田洋一氏

 しかし次世代機では、果たしてこの論理で進むのだろうかと疑問を投げかける。

 「現状では“これまでよりいかに能力が向上したか”という点が強調されているが、ハイエンドなマシンを求めている人と、必要としない人は存在するし、すべての人がハイスペックを求めているわけではない」と和田氏。

 現状ではゲームを遊べる端末は、プレイステーション 2やニンテンドーゲームキューブ、Xboxといったコンシューマー機だけでなく、携帯電話も携帯ゲーム機も存在する。このため、ユーザーのニーズは分散化していると話す。

 同社の調べによると、プレイステーション 2とXboxについて言えば、日本でのシェアはPS2は79%、Xboxは7%。アメリカではPS2 60%に対して、Xboxは22%だという。しかし、直近1年の数字を見るとアメリカでは拮抗しており、ほぼ同じ程度の出荷量だという。

 このため、ワールドワイドで考えると、それぞれの地域ごとにシェアも異なるし、今後は地域的な住み分けが進むのではないか、と和田氏。このため「現状では“すべてを肯定する状態”」であり、コスト回収という点から言っても、マルチプラットフォームでの展開は十分にあり得るそうだ。ただし、「ドラゴンクエスト」シリーズや「ファイナルファンタジー」シリーズについては、「F1のようなもので究極までチューンして発表している作品なので、現状ではマルチプラットフォームはあり得ない」とのことだ。

 また、次世代機の開発について和田氏は、今後はミドルウェアが重要になってくると語る。「これまではねじ1本まで自分で作って家を建て、すべてが終わったあとは家を壊し、また建てていた状態。しかし次世代機のようなスペックになってくるとこれは無理。ミドルウェアを活用しつつ開発することが大事になる」(和田氏)。

 ただし「自社でミドルウェアを供給するメーカーを抱え込むことはない」とも。和田氏はエレクトロニック・アーツがクライテリオン・ソフトウェアを買収した点について触れ、「自社で抱え込んでしまうと、事例を多くこなすことができないし、技術も向上していかないだろう。また技術を向上させるだけのタイトルを出し続けることにも無理がある」として、ミドルウェアメーカーの買収などを行うつもりはない、とした。

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