男子、齢十(よわいじゅう)にして戦地へ赴かんとす:ファンタジーアース体験入国奮闘記:渡る世界は敵や味方やモンスターばかり(その2)(2/3 ページ)
さて。そんな決意を胸に入りせしはネツァワル王国の首都ベインワット。岩壁に囲まれた要塞のごとき街のなかにはすでにほかのプレーヤーがひしめきあっている。初めてのマップでまったく土地勘がないので、まずは観光がてらぐるりと回ることに。内部が入り組んでいたり岩壁の外にショップがあったりして、街の巡回だけでけっこう時間を割いてしまった。周りのプレーヤーたちのなかには派手な武器や防具を装備し、一目で「おぬし、やりこんでおるな」と分かるいでたちの方もちらほら。それに引き換えkirianの格好の何と質素で貧相なことか。早く自分も強力な装備を身にまといたいと思わされた。
このとき意外だったのが、ワイルドな王のビジュアルから「ウォリアーが多いんじゃないか」と踏んでいたネツァワルにおいて、スカウトの姿が目立ったこと。たまたまそのとき見かけただけなのかもしれないが、弓をたずさえたキャラがやたらと多かったように思った。各国のクラスごとの人数がどこかで確認できたら面白いな、と思ったのだが、確認のすべはないだろうか。気になるところである。
一通り観光を終えた筆者は宿屋の前にいるトレーナーからいくつかのブックをもらい、しかしろくすっぽ読みもせずに突然フィールドアウト。「レベル10まではモンスターを狩って狩って狩り続けるんじゃい!」と鼻息も荒く、荒野に飛び出していったのだった。
クモ、クモ、大グモ、クモ、ときどきゴブリン
初期装備のみ、無一文、経験値ゼロのkirianではあったが、幸いなことに筆者自身の今作に対する経験値は少しだけあったので、特に迷うことなく行動できた。基本知識として「首都から近いフィールドほどモンスターが弱い」という点を知っていた筆者は、大陸マップをつぶさに観察する。パッと見て首都の隣にあるフィールドは「セントルイデア山麓」、「ソルダッド遺跡」、「ロックシャンク山麓」、「セントエルデ山麓」、「フィラデア盆地」の計5つ。地名からもビクトリオン大陸がいかに山がちな風土なのかを推し量ることができるだろう。
どこでもいいや、えい、と筆者が最初に降り立ったのはセントルイデア山麓。ここでまずベノモス(venomous)と呼ばれるクモ型モンスターを倒し続けた。ベノモスの動きは非常に単純で攻撃を避けるのは容易だ。こちらが攻撃をすると一直線に飛ぶ波動のようなものを出してくるので、左右に移動して回避すればよい。キーによる移動とマウスによる視点移動の感覚に慣れさえすれば、危なげなく倒すことができるだろう。ただし最初はこちらもかなり弱いので、油断すればあっという間に死んでしまうこともある。死んだ場合は若干の経験値とお金が減ってしまうので、なるべく死なないようにアップルや肉片で回復をしたり、こまめに宿屋に泊まったりしながら、慎重にモンスターを倒していくといい。
筆者がモンスターを倒しているあいだに、他のプレーヤーもそれぞれレベルアップのための戦闘にいそしんでいる。すれ違いざまに見ると筆者と同じ初期装備の方だったりして親しみが湧く。声をかけようかとも思うが、それどころではなさそうだ。クモを相手にとにかく経験値を稼いでレベルアップしたい人たちが、セントルイデア山麓などの首都近郊のフィールドに集まっていた。
3月某日
先日のプレイでちゃっちゃっちゃとレベル3まで上がったkirian。「早いとこレベル10まであげねば」と思い、この日もひたすらクモ狩り。時々軽いピンチに陥りながらも倒し続けているとベノモスから「シーヴズガントレット」というアイテムが手に入った。よく見るとレベル4から装備できるスカウトの腕装備ではないか。「次のレベルで装備できるアイテムだ。ラッキー」と気分も高らかにレベルアップ。さっそくシーヴズガンドレットを装備し、さらにクモ狩りロードを突き進もうとしていたkirianに突然の災厄が襲いかかる。クモを狩りすぎた罰だろうか、グレートベノモスというベノモスの親玉のようなモンスターに遭遇してしまったのだ。ベノモスの4、5倍はあるであろうその巨大な体躯から繰り出される攻撃はベノモスのそれの比ではない。強敵を目の前にkirianは逃げる余裕もなく死んでしまった。
「あいつとの戦闘はまだ厳しいな」という反省もむなしく、移動しているとまたもやグレートベノモスに遭遇。瀕死になって逃げたり、逃げ遅れて死んだりすること数回。少し心が折れそうな状態になった。しかしその後レベル5から6くらいになるとグレートベノモスとも何とか渡り合えるようになってきた。というのもこのあたりのレベルで装備できる防具がいくつかあり、明らかにこちらの防御力があがってきたからである。またレベル6で装備できる弓やナイフも強力だ。加えて大クモとの戦いにも慣れてきたというのもあり、いつの間にか格好の獲物になっていた。“レベルアップによる自分の成長が感じられるバランス”というのは、ともすればソフトによってあっけなく崩れたりするケースもあるが、今作においてはほどよくバランスがとれているという印象を持った。
グレートベノモスを何とか倒せるようになったころに立ちはだかるのは人型モンスターのゴブリン。レベル6くらいまでは明らかに強敵だった。クモだけを相手にしたいのにゴブリンが横から出てきて瞬殺されたこともあった。放射線状に飛ぶ飛び道具、ベノモスと同様の直線的な波動、あたると痛い魔法の玉など、種類によってさまざまな攻撃を仕掛けてくる。またゴブリンが厄介なのはHPが少なくなるとあたりかまわず逃げ惑う点だ。逃げるゴブリンを追っているあいだに別のゴブリンに攻撃されることもあり、慣れないうちは手を焼く存在だ。そんなゴブリンもkirianのレベルが7になったあたりから倒しやすいモンスターへと変わっていった。
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提供:スクウェア・エニックス
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年4月30日