レビュー
» 2006年07月24日 14時43分 公開

現代社会に潜む“IT犯罪”を任天堂×レッド・エンタテインメントのコンビが描く「プロジェクトハッカー 覚醒」レビュー(1/2 ページ)

分からないことがあったらネットで調べるのがIT社会の常識。「プロジェクトハッカー 覚醒」はそのエッセンスをゲームに取り込んでしまった。IT捜査官としてネットで情報を収集し、時にはハッキングをして事件を解決しよう。

[立花裕壱,ITmedia]

ネットを駆使する新感覚アドベンチャー

photo 主人公のサトルはそのハッキングの腕を買われ、IT捜査組織からスカウトを受けることに

 「プロジェクトハッカー 覚醒」は、任天堂とレッド・エンタテインメントのコラボレーションによって生まれた作品だ。レッド・エンタテインメントは「天外魔境」や「サクラ大戦」を企画制作している会社で、魅力的なキャラクター作りには定評がある。

 本作でも、主人公が所属するIT専門の捜査組織「GIS」には個性的なメンバーがそろっている。にぎやかなキャラクター同士のかけ合い、新機軸のIT犯罪というモチーフ、ハッキングを表現したサイバーなミニゲーム、いくつもの要素が合わさって新鮮なタイトルがニンテンドーDSに現れた。

多彩なWebサイトをネットサーフィン

photo サーバダウン、コンピュータウィルスなど、ネットユーザーには身近な話題も多い。従来のアドベンチャーとは一線を画す

 ゲームジャンルはコマンド式アドベンチャーだ。「話す」、「移動」といったコマンドを選択してゲームを進める、昔ながらのスタイルを取っている。

 本作で最も感心したのは、ゲーム内に作られた架空のWebサイトの数々。企業のホームページあり、通販サイトあり、個人のブログあり……。疑似インターネットの世界に、いかにもなWebサイトがそろっている。こうしたWebサイトからうまく情報を集めるのが、捜査のポイントだ。

 例えば新しい場所へ行くときは企業のWebサイトを開き、周辺地図をチェックする。捜査する相手がどんな人物かも、ネットを調べれば分かってしまう。一見関係ないようなページが実は事件とリンクしていることだってある。このシステムこそが、本作の命だろう。実は、あまりにWebサイトが良くできているため、ゲーム攻略とは関係なく読んでいるだけでも楽しい。そのほんの一部を紹介しよう。

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リボンの武士公式HP

 “娘の死で復讐の鬼と化した哀しき武士の生きざま。武士とはいったい何なのか……”というシリアス系時代劇マンガの公式HP。シリアスという割にはマゲにリボン(娘の形見)を結びつけたビジュアルが笑える。ほかにも、アメコミ風ヒーロー「キャプテンペッパー」や「まんぷく戦隊カレ〜んジャー」のWebサイトもあり、「まんぷく戦隊」には子どもからの“これからもがんばってね。おうえんしてるよ”というお便りが掲載されていてほほえましい。


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虫占い

 ネットといえば占い系サイトも定番。虫占いは“1000年以上の歴史を誇り、人々から信頼されてきた東洋の占いをベースに作成”された占い。生まれた年の数字をすべて足し、誕生月の数字をかけ算し、その答えから生まれた日の数字を引き算する。そうして導き出された答えの下一桁があなたの数字だ。ちなみに筆者は4のカマキリ。表現能力に優れているが、金銭への執着が強い。適職は作家、翻訳家……だそうだ。当たっているかも!? これ、試してみたくありませんか?


 これ以外にも、カツカレー食べ歩きマップ、バンドのブログ、匿名掲示板、製品情報が並んだPCメーカーのWebサイト、デザインTシャツのネットショップと、総数は100を越える。ポータルサイトから登録サイトへ行く形式なので、さすがに検索はできないが、リアリティは高く、あちこちを見て回っているうちに本当にネットサーフィンをしている感覚に陥ってしまう。

photo イタリアのサッカー選手のファンサイト。女の子っぽい雰囲気がかわいい。試合情報も本物っぽい
photo こちらはゾンビ映画のファンのブログ「ゾンビマニア」。「LivingDead Boy2」は前作に比べて駄作とか。こういうブログありそう〜!
photo 気になる情報は「メモ」コマンドで下画面に手書きで残せる。何度もPCを見直すのは面倒なので、重要そうな単語は片っ端からメモだ

パスワードの謎を解け!

 他人のPCに入り込むために必要な認証パスワードの割り出しも、ネットの情報から推理する。例えば部屋の内装をチェスでそろえている人なら、チェス関連のページを調べ、パスワードになりそうな用語を探す。天体観測とSFアニメが趣味の人だったら、2つのWebサイトに共通のワードがパスワードになっている可能性が高い……といった具合だ。中には、内緒で意外なブログを書いている人もいる。趣味からブログを割り出して、そこに張られたリンクをたどり、パスワードを探すこともある。

 こうした情報集めにはメモが必須。プロジェクトハッカーでは、ゲーム内で手書きメモが残せる。「メモ」コマンドを押すと下画面がメモ用紙代わりになるので、タッチペンで書き込もう。パスワードには大文字・小文字の区別もあるため、きちんとメモしておいたほうがいい。デジタル時代でも、やっぱり捜査にはメモが欠かせないということか。

 アドベンチャーゲームのパスワード当てというと、大概ヒントがたくさんあってすぐに答えが連想できるものが多い。だが、本作は驚くほどシビアだ。きちんとその人の趣味や好みを把握し、推理力を働かせないと答えにたどり着かない。しかも、この手強い謎がどの章にも待ち受けるのだ。プレイヤーに叩き付けられた挑戦状、あなたは解けるか!

ネット社会が生み出した現代的な犯罪

photo 調べる際はタッチではなくコマンドを選ぶ方式。この辺は懐かしいコマンド式アドベンチャーのにおいがする

 物語は、普通の学生だったサトルとリナが1本のCD-Rを入手したことから始まる。彼らの前に突然現れた黒服の男たちは“盗んだCD-Rを返せ!”と迫る。スキをついて逃げ出したサトルとリナ。その中身は、通信障害を起こすコンピュータウィルスだった……。ケータイ会社の競争から始まったこのコンピュータウィルス事件を、苦労の末解決したサトルとリナは、IT犯罪の捜査にあたる国際組織GISにスカウトされる。

 病院でのカルテ改ざん、IT社長の息子の誘拐事件など、身近な事件に始まり、ラストはとんでもなく大がかりな国際問題へと発展する。一見バラバラに見えたすべての事件がつながっていく様子はかなり見事だ。重大事件の割には登場人物の行動や会話がちょっと軽いのがミスマッチな気もするが、ゲームであまり深刻になっても仕方がない。始めのうちは気になったが、最後にはこのノリにハマってしまった。

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