失敗したらゲームデザインをやめる――ピーター・モリニュー氏が相応の覚悟を持って臨む「Fable2」X06

「X06」2日目には、体験試遊会のほか、いくつかのタイトルに関するプレゼンテーションが行われた。ここでは「Fable2」のゲームデザイナー、ピーター・モリニュー氏によるプレゼンテーションの模様をお伝えする。

» 2006年09月29日 15時32分 公開
[遠藤学,ITmedia]
photo

 スペイン・バルセロナにて開催中のXbox 360イベント「X06」。その2日目には、先に紹介している体験試遊会のほか、いくつかのタイトルに関するプレゼンテーションが行われた。その中のひとつとして、現在、Xbox 360向けに開発が進められている「Fable2」のゲームデザイナーであるピーター・モリニュー氏に話をうかがう機会を得たので、その模様をお伝えしていこう。

 ほとんど情報が公開されていない「Fable2」だけに、モリニュー氏が語ってくれたのは、どのようなビジョンを持って「Fable2」を開発しているかということ。「(『Fable2』には)3つの重要な要素がある」として、3つの要素――「世界観」、「キャラクター」、「戦闘」という3つのトピックを交えながら、ゲームの紹介を行ってくれた。


photo 実際に動くものはまだないのか、コンセプトアートなどを見ながらのプレゼンテーションとなった

 前作「Fable」は、操作するキャラクターを、プレーヤーの裁量ひとつで善人にも悪人にもすることができたが、これは本作でもそのまま踏襲している。異なる点としては、メインキャラクターに男女どちらも選べるようになったことと、「結婚できるようになった」(モリニュー氏)ことが挙げられた。

 前作でも異性と付き合うことはできたため、正直に言えばそれほどの驚きはなかった。だが、続けて発せられたモリニュー氏の言葉に、記者は愕然としてしまう。「結婚すれば、子どもを作ることができる。ここでは避妊をするかどうかを選ぶことも可能だ。ヒーローであったとしても、女性キャラクターであれば妊娠することができるからだ」

 結婚ができるのならば、子どもができたとしても確かにおかしくはない。だがそれを実践してくるとは……これはまさに“人生シミュレーター”とも言える「Fable」シリーズならではだろう。ちなみに、生まれた子どもは当然のことながら、プレーヤーキャラクターの人格を受け継ぐという。例えばプレーヤーキャラクターが悪人ならば、入れ墨を入れたり、学校での素行も悪くなるとのこと。

 また、家族は自発的に行動をしないため、食べものなどはプレーヤーが提供することになるだが、これは決して義務ではない。例えばプレーヤーが食べものを持っており、子どもがお腹を空かせていた場合、残忍な自分になりたければ、子どもの前でアップルパイを食べてしまうことも可能だという。モリニュー氏は「非常に残酷でひどいことだが、どんな自分にでもなれる。それがロールプレイというもの。これが革新的な部分のひとつとなる」と語った。


photo 身ぶり手ぶりを交えながら、「Fable2」について熱く語るモリニュー氏

 前作同様、プレーヤーキャラクターの一生を追うことがメインとなるであろう「Fable2」。本作ではその人生を楽しむうえで、「ダイナミックリージョン」が大きな特徴となるとモリニュー氏は語る。「例えば、ある森林の中にキャンプがあったとして、そこで起こした行動によりどのような効果が生まれるのか? ということ。キャンプの人たちを助け、親切にすれば10年後には村に、さらに10年後には街に発展するかもしれません。一方で、キャンプの人たちを皆殺しにするという選択肢もある。この場合、10年後にそこに行ったとしても、ただ林が広がっているだけ。自分が起こした小さな変化が、10年後、20年後、30年後には大きな変化となっていることを見届けることができる」

 続いて紹介されたのは、城や牢屋など、目に見えるものは何でも所有することができるというシステム。城ならば城主、教会であれば司教といった感じで、富を築いていくことができるほか、施設によってはお金を取ることも可能だという。「本当にいろいろなものを所有できる。また、自分が司教で教会で戦いが起こった場合、当然これを制圧しなければならない。所有することで、それに応じたコンテンツが楽しめるようになっている。普通にゲームを進めることもできるが、すべてを所有しようと思ったら数百時間はかかるだろう」(モリニュー氏)。


photo

 最後にモリニュー氏は、「ライオンヘッドスタジオを設立したのは、今までにないことをしたかった、皆さんを驚かせたかったから。『Fable』は成功と呼べるものではなかったが、本作は成功すると確信している。もし失敗したらゲームデザインをやめるべきとさえ思っている」と、「Fable2」への絶対の自信を示すとともに、相応の覚悟を持って臨んでいることを語ってくれた。

 ちなみに、これ以外にもまだ非常にユニークな新しい要素を用意しているそうだが、それはまだ話せる段階には到達していないとのこと。2007年3月ごろ(GDC?)には明らかにするそうなので、ファンは楽しみに待っていてもらえればと思う。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2410/05/news022.jpg 「クレオパトラみたい」と言われ傷ついた55歳女性→カット&パーマで大変身! 「本当にびっくり」「素敵なマダムに」
  2. /nl/articles/2410/05/news040.jpg 伝説の不倫ドラマ「金曜日の妻たちへ」放送から41年、キャストの現在→75歳近影が「とても見えません」と話題
  3. /nl/articles/2410/02/news116.jpg 余りがちなクリアファイル、“じゃないほう”の使い方で食器棚がまさかのスッキリ 「目からウロコ」「思いつかなかった!」と反響
  4. /nl/articles/2410/05/news023.jpg 七五三で刀を持っていた少年→20年後には…… “まさかの進化”に「好きなもの突き進んでかっこいい!」
  5. /nl/articles/2410/05/news018.jpg 野良猫が窓越しに「保護してください」と圧をかけ続け…… ひしひし感じる強い意志と表情に「かわいすぎるw」「視線がすごい」
  6. /nl/articles/2410/05/news012.jpg 「あのお客さんに幸あれっ!」 小銭の出し方が完璧な“神客”にレジ店員感激 会計がスムーズになる配慮が参考になる
  7. /nl/articles/2410/04/news048.jpg 「こういうの好き」 割れたコップの破片を並べたら…… “まさかの発想”で息を飲むアート作品に 「すごいセンス良い」「前向きな考え」
  8. /nl/articles/2410/04/news040.jpg 50代女性「モンチッチみたいにしてほしい」→美容師がプロのワザを見せ…… 別人級の変身に「めっちゃお洒落」「すごい!」
  9. /nl/articles/2410/04/news025.jpg 「これが免許証の写真???」 コスプレイヤーが公開した“信じられない”免許証が話題 コスプレ姿との比較に「両方とも可愛いすぎる」
  10. /nl/articles/2410/05/news032.jpg 大型犬が18年間、ドアを開け続けた結果……そうはならんやろな驚きの末路に「どうしたらこんな風になるのよ」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. ネットで大絶賛「ブラウニー」にカビ発生 業務スーパーに7万箱出荷…… 運営会社が謝罪
  2. 「全く動けません」清水良太郎がフェスで救急搬送 事故動画で原因が明らかに「独りパイルドライバー」「これは本当に危ない!!」
  3. トラックがあおり運転し車線をふさいで停車…… SNSで拡散の動画、運転手の所属会社が謝罪
  4. 「ヤヴァすぎる!!」黒木啓司、超高級外車の納車を報告 新車価格は5000万円超 2023年にはフェラーリを2台購入
  5. そうはならんやろ “ドクロの絵”を芸術的に描いたら…… “まさかのオチ”に「傑作」の声【海外】
  6. 「ウソだろ?」 ハードオフに3万円で売っていた“衝撃の商品”に思わず二度見 「ヤバいことになってる」
  7. 「結局こういう弁当が一番旨い」 夫が妻に作った弁当に「最強すぎる!」「絶対美味しいビジュアル」
  8. “メンバー全員の契約違反”をライブ後に発表 異例の脱退騒動背景を公式が釈明「繋がり行為などではなく」
  9. 「言われる感覚全く分からない」 宮崎麗果、“第5子抱いた服装”に非難飛び……夫・黒木啓司は「俺が言われてるのかな?」
  10. 大沢たかお、広大プールを独り泳ぐ“バキバキ姿”が絵になり過ぎ 盛り上がる筋肉の上半身に「50代とは思えない」「彫刻みたい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
  2. 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
  3. 友人に「100円でもいらない」と酷評されたビーズ作家、再会して言われたのは…… 批判を糧にした作品が「もはや芸術品」と490万再生
  4. 高校3年生で出会った2人が、15年後…… 世界中が感動した姿に「泣いてしまった」「幸せを分けてくださりありがとう」【タイ】
  5. 「ま、まじか!!」 68歳島田紳助、驚きの最新姿 上地雄輔が2ショット公開 「確実に若返ってる」とネット衝撃
  6. 荒れ放題の庭を、3年間ひたすら草刈りし続けたら…… 感動のビフォーアフターに「劇的に変わってる」「素晴らしい」
  7. 食べた桃の種を土に植え、4年育てたら…… 想像を超える成長→果実を大収穫する様子に「感動しました」「素晴らしい記録」
  8. 「天才!」 人気料理研究家による“目玉焼きの作り方”が目からウロコ 今すぐ試したいライフハックに「初めて知りました!」
  9. 「エグいもん売られてた」 ホビーオフに1万1000円で売られていた“まさかの商品”に「めちゃくちゃ欲しい」
  10. 義母「お米を送りました」→思わず二度見な“手紙”に11万いいね 「憧れる」「こういう大人になりたい」と感嘆の声