プレーヤーを夢中にさせる臨場感、緊張感、そして没入感――あなたはこの誘惑に抵抗(レジスタンス)することができるか:「RESISTANCE(レジスタンス) 〜人類没落の日〜」レビュー(1/2 ページ)
ソニー・コンピュータエンタテインメントがプレイステーション3本体と同時に世に出した「RESISTANCE(レジスタンス) 〜人類没落の日〜」は、独特な世界観と多彩な敵キャラや武器、緻密な演算処理などで魅せるFPS。無料で参加できるオンライン対戦も魅力的な強力ローンチタイトルだ。
プレイステーション 3だから実現した、FPSの新機軸
「RESISTANCE(レジスタンス) 〜人類没落の日〜」は、「スパイロ・ザ・ドラゴン」、「ラチェット&クランク」シリーズのInsomniac Games(インソムニアック・ゲームズ)が制作し、ソニー・コンピュータエンタテインメントから発売されたファーストパーソンシューティング(一人称視点シューティング:略称FPS)だ。2006年11月11日に発売されたプレイステーション 3のローンチタイトルとしては唯一のFPS。海外では人気ジャンルとして大きな市場を確立しており、国内でもそのファンが確かに増えつつあるFPSタイトルがプレイステーション 3と同時発売されるということで、本作に熱い期待を寄せていたFPSファンも多いかと思う。
本作の舞台は、1951年のイギリス。とは言っても史実通りの世界観でリアルな戦争を描くコンバット系のFPSではない。ヨーロッパ全土が「キメラ」という異生物に支配されてしまった、という架空の地球(いわばパラレルワールド)において、今やキメラにその領土を支配されようとしているイギリスが舞台なのだ。
このリアルな舞台設定とアンリアルな敵の存在が、本作の大きな魅力と言っても過言ではない。プレーヤーが目にする光景は、これでもかと言うほどに精緻に描画された50年代のイギリスの街だ。そのリアルなフィールドにキメラというSF的なクリーチャーが登場することで、プレーヤーの脳内は大きく揺さぶられることだろう。純粋なる“戦争モノ”とも純粋なる“SFモノ”とも違う、絶妙な世界の融合が図られていて、それをしっかりと支えているのが、プレイステーション 3の描画能力、演算能力だ。また、敷居の低いオンライン環境における多人数対戦もなかなか楽しい。次世代ハードのクオリティを堪能するに相応しいタイトルだと言えるだろう。
ネイサン・ヘイルとなり、キメラの脅威に立ち向かえ!――シングルプレイ
本作には大きく分けて「シングルプレイ」、「2人協力」、「マルチ対戦」というモードがある。
「シングルプレイ」では、絶望の淵にあるイギリスでキメラの驚異に最後の抵抗(まさしくレジスタンス)を仕掛ける壮絶な物語が語られる。プレーヤーはネイサン・ヘイルとなって、数々のミッションをクリアしていくのだ。
難易度はプレイを開始する段階で「EASY」、「NORMAL」、「HARD」から選べるので、初心者や上級者は、それぞれに合った難易度を選択しよう。左スティックで移動、右スティックで照準および視点の移動、×ボタンでジャンプ、□ボタンでリロード、△ボタンでアクション、R1ボタンで主武装発射、L2ボタンでしゃがむというのが基本操作。FPS好きならおそらくすんなりと理解できるであろう操作体系だ。
その他にも○ボタンで手榴弾を投げる、R2ボタンで武器変更、L1ボタンで副武装(同じ武器でも主武装とは全く違う攻撃)発射、R3ボタンでズームのオンオフなど、とかく覚えなくてはいけない操作が多いのだが、プレイの冒頭部分にガイドが出るようになっているので、全く分からなくて困る、ということはないだろう。慣れてくれば没入感も高まり、かなりハマれることと思う。
操作システムの中で面白いのが、敵などを振り払う時にワイヤレスコントローラを振る、というもの。SIXAXIS(シックスアクシス)と名付けられた6軸検知システム搭載のコントローラの特性を、無理なく操作体系に組み込んでいると言える。
慣れればハマる、と言うものの、慣れない人からすればその“慣れる”までが結構大変だったりするものだ。コントローラの全てのボタンを把握し駆使しなくてはならない本作では、そのハードルはかなり高く設定されているように思う。ただ、序盤で多少きつくても、気合いで何とかステージを進めていってほしいと筆者は切に願う。序盤のあるところまで行けば、主人公ネイサンの体に変化が生じ、多少のダメージなら自然回復できるようになるのだ。体力回復アイテムが簡単に手に入るようになるのも、この変化が生じてからだ。
逆に言えば、そこまでが序盤のかなり大きな壁としてプレーヤーの眼前に立ちはだかっているとも言える。何度かゲームオーバーになるかもしれないが、操作を体に覚えこませる研修期間だと思って、がんばってその壁を乗り越えられることを祈るばかりだ。
感心したのは、本作の敵であるキメラの行動の賢さ。最初にプレーヤーの前に姿を現すハイブリッドからして、なかなかの知能犯だ。ただやみくもに接近して射撃しているだけでは、いずれ体力は削られゲームオーバーになってしまう。武器照準のズームなどを利用して、効率よく根気よく敵を倒していくのが勝利への近道だ。
また、武器の種類の豊富さも感心させられた点。「M5A2カービン銃」、「ロスモア236 コンバット・ショットガン」などの、実在の銃をベースに作られたものに加えて、「ブルズアイ」など本作ならではの銃も数多く存在する。しかも各銃には前述したように主武装と副武装があり、全く異なる攻撃が割り当てられているのだ。武器の使い分けが戦況を変えると言ってもよいほどに、多彩な武器による奥深い戦闘が楽しめる。
加えて個人的にそそられたのは、車両に乗り込んでドッカンドッカンとキメラをなぎ倒しながら進むステージ。「M-12セーバートゥース」という戦車に乗り込み、強力な砲撃をしながら街を進むというプレイは、かなりの爽快感を得ることができ、極めて痛快だった。シビアな銃撃戦もあれば、こういうステージもある、という緩急のつけ方が「ユーザーを楽しませよう」という熱い娯楽精神のもとに作られているように思えて好印象だった。
ちなみに「2人協力」は、「シングルプレイ」と同じストーリーを分割された横長の画面を使って2人でプレイしていくモード。このモードで面白いのは、どちらかのプレーヤーの体力がゼロになった時点で、もう1人のプレーヤーが駆け寄り△ボタンを押すことで、倒れたプレーヤーの復帰が早くなる、という要素。倒れた仲間に心臓マッサージでもしているかのような絵を想像してしまった。なかなか凝った演出である。
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