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» 2006年12月20日 16時39分 公開

声優業界の実状も見え隠れ!? 人気声優・落合祐里香さんの格安オフ会に潜入(1/2 ページ)

人気声優の落合祐里香さんが主催する、超激安の会費1000円オフ会。アニメや声優のファンの方であれば一度は耳にしたことがあるであろうこのオフ会の第2回目が開かれると聞き、本サイトでは取材を敢行。さらに、オフ会後には落合さんにお話もうかがった。

[ひろいち,ITmedia]

会費1000円のオフ会。そんなのってアリ!?

  • 缶コーヒー1本120円
  • 吉○屋の豚丼(並盛り)330円
  • ロー○ンのアルバイト(9時〜21時)時給780円
  • 某マンガ喫茶(3時間パック)1000円
  • 某テニスのプリンスたちのミュージカル(指定席)5600円……

 果たして1000円でどれくらいのことが出来るのだろうかと考えてみる。

 ありきたりだけれど、うまい棒なら100本買える。1日1本ずつ食べていけば、3カ月以上も食べることができるので、当分のあいだはおやつについて悩まなくても良さそうだ。豚丼なら3杯食べてもおつりが来る。よほどの空腹でもないかぎり、1度に注文することはない量だ。サッカーやミュージカルやコンサートや遊園地のチケットなどは、言うに及ばずといったところか。店内での飲食代はおろか、往復の交通費すら足りるかどうか分からないという状況が待っている。

 高いか安いかという話は抜きにして、1000円とはそういう金額と言えそうだ。たとえるなら、1人で食事をするなら十分だけど遊ぶのには工夫が必要な金額。筆者の場合で言うと、給料日まで3日もあるのに残金が1000円しかないとなったら、もう絶望的だ。1000円では急な取材の際にタクシーを使うこともできないし、テープレコーダーやカメラの充電が切れたからと言って、電池を買うこともままならない。十分に食事をとることもできないだろうから、静かな個室で1人だけぐーぐーとお腹を鳴らし、顔を真っ赤にしながら取材をするはめになるだろう。つまりはもう、仕事に支障をきたす状態に追い込まれてしまう。当然、友人と一緒に食事をしようとか有名人の舞台でも見に行こうなんて考えは浮かびもしない。だから、人気声優が会費1000円のオフ会を開いていると聞いたときは、とても大きな衝撃を受けた。

 そのオフ会を主催したのは、落合祐里香さん。「To Heart 2」の柚原このみ役や「THE IDOLM@STER」の萩原雪歩役をはじめとして、アニメやラジオを中心に幅広く活躍する人気声優だ。元々彼女は自らのブログや出演したラジオなどで「うまい棒で食いつないだ」等々の貧乏話を披露し、貧乏キャラとしても知られるところがあった。そんな彼女が今年の10月にオフ会を開いたのだが、その会費が1000円だったのだ。もちろん、そんな激安オフ会が開かれたのは、それは彼女が貧乏キャラだったからというわけではない。ちゃんとした理由がある。

 ネット等々で話題になったのでご存じの方も多いと思うが、元々、オフ会の会費は1000円ではなかった。落合さんの発案段階では、渋谷の某飲食店のパーティコースを利用してファンと親睦を深めようと考えていたため、会費は5900円を予定していた。ところが、その案を自身のブログで発表したところ、BBSの書き込みやメールで、会費や場所についての苦情が出てしまう。この苦情についてはネットでもさまざまな意見が飛び交っていたが、落合さん自身は「私のファンをしてくださる方には学生さんも多いので」と納得していた様子。確かに、中高校生の5000円と言えば簡単な額ではない。結果、落合さんは場所や会費について再考し、手作りの格安オフ会を開くに至ったというわけだ。

 もちろん、この経緯をたどる間には紆余曲折があったのだが、デリケートな問題なので言及することは控えたいと思う。ただ、良くも悪くもこの1件で、落合さんのオフ会は一躍脚光を浴びることとなった。一説には、落合さんのブログに1日10万件のアクセスがあったという話もあるほどである。

 そんな中、10月14日に行われた格安オフ会は成功を収めた。自らの力で格安のオフ会を作り上げ、ファンとの交流を深め、さらに各メディアで話題にもなったのだから、成功ではなく大成功と言ってもいいだろう。

 そして、去る12月某日、そのオフ会の第2回目が開かれた。

 会場となったのは都内の某スタジオ。収容人数が40人前後だというから、なかなかの大きさだ。落合さんをはじめとするスタッフは、その会場に13時に入り、準備を開始した。すでに数日前から打ち合わせは行われており、スタッフはすぐに会場設営と料理担当のふた手に分かれて行動を開始。ファンに振る舞う食料品や会場を装飾するための風船などの材料関係も、すでに99円ショップなどを利用して格安で調達してあったようだ。お金をかけずに、できるだけいい会にしたいという意志がうかがえる。

 会場設営担当のスタッフは、風船を使っての飾り作りからはじめた。12月だということで、ツリーや雪だるまなどのクリスマスを意識した装飾品が多い。雑然としたスタジオが、次第にオフ会の会場らしく変わっていく。実はこのツリー、製作キッドなどがあるわけではなく、天蚕糸(てぐす・釣り糸などに用いる透明な糸)を使ってスタッフがいちから作ったもの。

 一方、落合さんはじめ料理担当のスタッフはサンドイッチから作りはじめた。味はイチゴジャムとハムサンドの2種類。「お金を切りつめているので、種類が少なくてごめんなさい」と落合さんは語る。たしかに40人を集めるオフ会としては少ないかもしれないが……。しかし、幸運な人は落合さんの手作りサンドイッチを食べることができたのだ。ファンにとってみれば、お金や豪勢さには代え難い代物だろう。また、クリスマスも間近ということで、この日はケーキも用意された。こちらはすべて落合さんがデコレーションを担当している。その出来栄えは、下の写真でご確認あれ。

 完成したケーキを前に、スタッフは「ユリシィ作のケーキですと言ってみんなに配ろうか」と発言。ところが、落合さん自身は「そんなに大したものじゃないから、何気なくテーブルに置いておいてほしい」と照れた様子を見せる。実際、オフ会がはじまったときには、ケーキはサンドイッチなどに紛れて大きな主張もなく置かれていたが、果たしてファンのみんなは落合さんの手作りだと気づいたのだろうか。心配だ。

ケーキをデコレーションしている落合さんをパチリ。かなり集中しています
これが完成品。マーブルチョコを使って彩りも鮮やか

 オフ会の準備を取材してみて驚いたのは、会のすべてが落合さんのアイディアで作られていたこと。よくあるイベントのようにスタッフが作り上げたモノの中で主役が動いていくのではなく、その主役である落合さん自身が「こうしたらファンの人たちは喜んでくれるのでは?」と考え、それを会に反映させていた。そしてスタッフも落合さんとファンのつながりを優先して考え、よりよい案を出しながらも落合さんの意図をいかに会の中に反映させようかと行動していた。両者の信頼のほどがうかがえる。

 また、このオフ会では出し物のひとつとして、落合さんの朗読が予定されていたため、落合さんは作業の合間を見つけては本読みを繰り返していた。そのあたりはさすがにプロと感じざるを得ない。オフ会の出し物だからといって妥協はないようだ。

率先して小道具を作っていく落合さんと、本読みをする落合さん。あっちへこっちへと大忙しだ

完成したツリーを前に記念撮影。さらに、ブログ用の写メを撮る落合さんを激写!!

 17時30分。4時間以上もかけた設営も終わり、いよいよお客であるファンたちが入ってくる。落合さんはクリスマスを連想させる白いフワフワの衣装に身を包み、ファンのみなさんをお出迎えしていた。そしてこの日は、オフ会の抽選に当たった40人全員がご来場。イベントなどでは通常、仕事の都合などで来られない人もいるものだが、このオフ会では来場率100%ということで、スタッフのみなさんも大喜びだった。

 スタートは、落合さんの出席確認からはじまる。出席者のハンドルネームを落合さんがひとりずつ読み上げ、自分の名を呼ばれた人は返事をしていく。来場者の顔と名前を確認するという意味もあるのだろう。出席確認の後は、来場者の方に事前に書いてもらったアンケートを使って、落合さんのトークがはじまった。

 アンケートの質問内容は「クリスマスの思い出」、「クリスマスにもらったプレゼント」、「最近おこったニュース」の3つ。ところが、「クリスマスにフラレた」話や「クリスマスに男友達と焼肉をしていた」話を筆頭に、なぜだか切ない話が続く。意外にもクリスマスにフラレる人は多いのだろうか……!? 極めつけは、落合さんのクリスマス話。去年のクリスマスは仕事で、おととしのクリスマスは目覚めたらすでに夕方だったとか。その内容に会場は大爆笑だったが、落合さんの笑顔はどこか悲しげ……。

 続いては、クジで当たった来場者の方と落合さんが「黒髭危機一髪」で対戦することに。落合さんに勝った人には、落合さんからサインつきのプレゼントが贈られるのだが、逆に負けた人は、罰ゲームとして落合さんのシッペかデコピンを食らうことに。ところがここで、落合さんが意外な才能を発揮。ファンの人たちを相手に連勝を重ねることに。そして、なぜだか負けた人たちは「ビンタがいい」と意外なMっ気を見せる。会場にアントニオ猪木をほうふつとされるビンタの嵐が巻き起こるのだった。

 そして次は、朗読の時間。タイトルは、落合さんの好物を題材にしたパロディ「うまい棒売りの少女」。不幸で貧しいうまい棒売りの少女が、街に出てうまい棒を売ろうとするのだが、売れずに商品を食べ始めて……という話。途中にコミカルな部分を挟みながらも最後はしっとりと読み上げた。落合さんの生の声で物語を聞くことができるのだから、ファンにとっては一番の催しだったことだろう。

 朗読が終わると、続いてはフリータイム。座席に関係なくファン同士での交流を……という趣向なのだろうが、もはやファンと落合さんのお話の場と化していた。中でも印象的だったのは、落合さんが来場者の1人ひとりをまわって、できるだけ全員と話をしようとしていたところ。最後のほうは落合さんを中心とした巨大な人の輪ができあがっていた。

 その後はお待ちかねの、プレゼントタイム。クジで当選した方々に、落合さんのサイン入りアイテムが贈られた。中でも注目を集めたプレゼントは、なんと当日に落合さんが着ていたフワフワの衣装!! 脱ぎたてホヤホヤの衣装が、本日最大のラッキーマンの物に。ちなみに、このプレゼントに当選したのは、某メーカーの広報さん。このオフ会の参加者がメール先着順だったので、募集開始の午前0時をパソコンの前で数十分も待ち続けたという努力が実ってか、見事に当選した。筆者もいつもお世話になっているメーカーの方だったので、お話をうかがってみると「生まれて初めてプレゼントに当たったかもしれない」と顔を紅潮させて呟いていた。果たしてこの衣装はどのように使用されたのかは、後日個人的に聞いてみたいと思う。

 そしていよいよオフ会もフィナーレを迎える。最後を飾るのは、スタッフによって「スパークタイム」と命名された風船割り。天井に吊るされた巨大な風船を割ると、中から小さなハート型の風船が飛び出すというもの。一本締めのような豪快な音と、相反する華々しい演出の中、大盛況のうちにオフ会は終わりを告げるのだった。

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