ドット絵職人の技にシビれながら、果てなき数字と思考の旅へ:「ピクロスDS」レビュー(1/2 ページ)
任天堂から「ピクロスDS」が発売された。ニンテンドーDSで新たな局面を見せる「ピクロス」の世界。1人でやるもよし、大勢でやるもよし、全国の誰かと対戦を繰り広げるもよし、ボリューム無限大の楽しさがつまっているタイトルだ。
お久しぶりね――定番パズルがニンテンドーDSに登場
2007年1月25日に発売されたニンテンドーDS用ソフト「ピクロスDS」は、任天堂の「ピクロス」シリーズ最新作だ。「ピクロス」とは「ピクチャークロスワード」の略で、「お絵かきロジック」、「イラストロジック」などとも呼ばれている思考型パズルゲーム。縦と横にずらっと並ぶ数字を頼りに、マスを塗りつぶしていくのみ、というシンプルなルールながら、難易度の高いものはかなり奥が深く、高度な思考が要求される。クロスワードパズルや数独などと並ぶ定番のパズルだと言っていいだろう。
任天堂から世に出た「ピクロス」シリーズの第1弾は、1995年にゲームボーイ用ソフトとして登場した「マリオのピクロス」だ。マリオとパズルと言えば「Dr.マリオ」などを思い出すが、この「マリオのピクロス」も当時はかなりの人気を博し、全世界合計でミリオンタイトルになったヒット作である。
その後スーパーファミコンで「マリオのスーパーピクロス」、ゲームボーイで「ピクロス2」がリリースされた。スーパーファミコンのサテラビューで配信された「タモリのピクロス」やニンテンドーパワー専用タイトルとして発売された「ピクロスNP」というタイトルもあったが、長らく任天堂から「ピクロス」シリーズの新作は出ていなかった。長い年月を経て満を持しての登場となった「ピクロスDS」について、お伝えしていこう。
今日も明日もあさっても――ピクロス三昧になれる豊富な1人用モード
1人で遊べるモードは大きく分けて「ピクロス」、「今日のピクロス」、「マイピクロス」の3つがある。
「ピクロス」は、その名の通りに「ピクロス」を思いっきり楽しめるモードだ。「ピクロス」メニューの中には「イージー」、「ノーマル」、「フリー」の他に「遊び方」という項目がある。チュートリアルに相当するこの「遊び方」を見れば、基本的なプレイ方法は理解できるだろう。
「イージー」と「ノーマル」は、塗りつぶすマスを間違えた場合にペナルティとして経過時間が加算されるノーマルルールが採用されている。間違えるたびに加算されるタイムは増えていくので、慎重かつ迅速にクリアしたいという思いから、ほどよい緊張感が生まれるルールだ。「フリー」では間違えてもペナルティがないフリールールでプレイすることになる。フリールールだとまったりと時間を気にせずにプレイできるが、塗りつぶしを間違えたまま進むとどこかで詰まってしまうこともあるかも。
「ノーマル」、「フリー」の各モードはさらにレベルによって分けられており、最初はレベル1からレベル4までの問題がプレイできるが、問題を解いていくことでより高いレベルの問題も登場する。問題のボリュームは相当なものなので、1日何問と決めて少しずつ遊べばかなり長い間楽しめるはずだ。
毎日本作を遊びたくなる要素として「今日のピクロス」が用意されている。これは簡単なピクロス問題をいかに早く解くかという、いわゆるタイムアタック的なモード。1日に1回しか記録を残せない上に、毎日の記録が折れ線グラフで表示されるので、自分の調子の良し悪しが1カ月単位で見られたりして面白い。しかも最初は「連続早解き」しか選択できないが、継続して何日もプレイしていくと「×なし」(×をつけられないルール)や「間違い探し」(完成図の間違いを指摘して正しい完成図にする)などが追加されていくのだ。
いわゆる“脳トレ”系のアプローチをパズルゲームで応用したと言える「今日のピクロス」は、「今日の自分は昨日の自分に勝てるかな」という継続のモチベーションをうまく促進している。ただ少し残念だったのは、問題がランダムに選ばれるので、問題の難易度でタイムも大きく変わってくるということだ。これはゲームの特性上いたしかたないかとは思うが「たまたま簡単な問題が連続で来たからタイム更新しちゃった」というケースも出てくるので、多少運も作用してくるだろう。それを差し引いても簡単な問題を短い時間で連続で解くという作業には、どこか「メイドインワリオ」シリーズにも似た単純プレイの快感があって、筆者は毎日必ず「今日のピクロス」をプレイしてしまっている。
「マイピクロス」には「エディット」と「クラシック」の2項目がある。「クラシック」はWi-Fi通信でダウンロードした問題が遊べるモード。そして「エディット」では自ら「ピクロス」の問題を作ることができる。タッチペンで直感的に絵を描くようにして問題を作れる上に、色塗り画面ではクリア後に表示される絵を描くこともできてしまう。例えば問題の方は単純な熊の絵が出来上がるようにしておいて、クリアしたらリアルな熊のイラストが上画面に表示されるようにするなど、色々と凝った演出ができるのだ。
これは筆者にとって予想以上に楽しい作業で、自分がドット絵職人になったかのような感覚をお手軽に味わうことができた。1マスずらすだけでもずいぶんと絵の印象が変わることとか、細かい描写をするためには色々計算して描かなくてはならないことなど、改めてドット絵の面白さに気づかされることが多かった。人によっては、本編よりもこのモードで絵を作ることにハマってしまうかもしれない。最大100問まで保存できるのがうれしいところだ。
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