今度の戦いは仲間たちとともに。孤独な戦士スネークは、絆を得て“BIGBOSS”となる「メタルギア ソリッド ポータブル オプス」レビュー(2/2 ページ)

» 2007年02月14日 11時04分 公開
[鷲尾トモノリ,ITmedia]
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戦場で、友だち100人できるかな?

 この「MPO」がこれまでのシリーズ作品と大きく違うのは、スネークに仲間がいる、という点だ。いや、もちろんこれまでのシリーズ作品にも仲間は登場したが、そのほとんどは後方支援要員で、しかもプレーヤーがその行動に干渉することはできなかった。

 ところが今作には、確たる現場要員としての仲間がおり、プレーヤーが操作することも可能となっているのだ。しかも、この仲間、なんと最大で100人にも達する。なんとも頼もしい限りである。しかし、そこはメタルギア、ストーリーを進めれば自動的に仲間が増えたりはしない。一部のイベントキャラクターを除けば、仲間は自分で“調達”しなければならないのだ。

 では、その方法はというと、ズバリ捕獲。ミッション内でフィールドに配置されている敵キャラを気絶させるなどして、スタート地点まで引きずっていくなどして回収し、その後、時間を置いて「説得」することによって味方に引き込むのだ。しかも、そうやって仲間にしたキャラクターには、ひとりひとり個性があり、能力値やスキルなどに個人差がある。

画像画像画像 過去にクリアしたステージには、その後も潜入することができる。目当ての敵を捕獲しに行こう

 スネークを含めた各キャラクターの要素には、いわゆるHPとなる「ライフ」や、索敵範囲などに影響する「センス」といった基本的な能力値の他、どんな武器を得手不得手とするかなどを表した「スキル(特殊技能)」、そして、キャラクターごとの特性を表す「キャリア(経歴)」がある。そして、そうした個性を把握した上で、それぞれを一定の役割につけることで、仲間たちは初めて有効活用される仕組みとなっている。

 役割は4種類あり、まず、プレーヤーが操作するキャラクターとして直接ミッションに参加するのが「潜入ユニット」。潜入ユニットは、1ミッションに最大4人まで参加でき、その中のひとりを操作しつつ、必要な時に別のキャラクターに交代するという形をとる。この役割に向いているのは、能力値と武器スキルのレベルが高いキャラクターで、よりオススメなのは、移動速度が速くなる「アスリート」や、ストーキング速度が速い「スカウト」などのキャリアを持ったキャラクターだ。また、アイテム回収用員として、アイテムをトラックに送ることができる「配達員」などもいると便利である。

 しかし、何よりも潜入ユニットを選ぶ上で重要になるのが、そのタイプ(外見)だ。なんと、敵と同じタイプのキャラクターには偽装効果があり、ホフク前進などの怪しい行動を取らない限り、視界に入っても反応されないのだ。つまり、単一タイプの敵しか存在しないミッションであれば、同じタイプの仲間を使うことで、楽々クリアできてしまうというわけ。もちろん、そんな風にうまくいくミッションは多くはないのだが……。

画像画像 左上のカメレオンマークが、偽装状態を表すアイコン。うっかり違うタイプの敵の前に出ないように注意

 2つめの役割は「諜報ユニット」だ。これは、ミッションの発生するポイントに潜入させておくことで、その場所の情報を入手してくれるというもの。これによって情報を得ないと、ストーリーが進まない場合もあるので、なかなか重要な役割だ。彼らがもたらしてくれる情報は、ストーリー上必要なもの以外にも、そこにあるアイテムの種類や、仲間になりやすいキャラクターの存在など、いくつかのパターンがある。諜報ユニット向きなのは、なんといってもセンスの値が高いキャラクターだが、マップ表示を詳細にしてくれる「測量士」や、敵のライフを減らしておいてくれる「工作員」などのキャリアを持っているキャラクターをうまく使っていきたい。

「技術ユニット」と「医療ユニット」は、それぞれの部署に配属することで、便利なアイテムを開発してくれたり、ライフなどの回復を早めてくれたりするもの。技術スキルや医療スキルの高いキャラクターは、優先的に配置するべきだろう。銃弾の所持数を増やしてくれる「銃器技師」や、薬品を作ってくれる「薬剤師」などのキャリアを持っていれば、さらに有効だ。

 仲間を多く集め、各キャラクターの個性が活きるように、その使い道を考えていくことで、本来のミッションをより有利に進めていくことができるというのが、今作「MPO」最大の特徴というわけだ。

小さくても魅力は変わらず

 「MPO」は、純粋なメタルギアシリーズ作品として、奇をてらうことなく、基本に忠実に作られた作品となっている。もちろん、仲間の存在をシステム上の新たなアクセントとしつつ、“BIGBOSS”としての側面を描く要素とすることで、メタルギアシリーズとしての物語のリングをつなげている点など、実に粋な作りと言えるだろう。

 ゲーム内容的には、ひとつひとつのミッションをやや小粒にすることで、携帯ゲーム機用ソフトとしての遊びやすさを出しているが、反面、小気味よいテンポでサクサク進むため、むしろ止め時が掴めずにいつまでもプレイしてしまうという罠でもあるような……。

 とにかく、奥深くも遊びやすい作品に仕上がっている、この「MPO」。ぜひ遊んでほしい1本だが、旧来のメタルギアファンは要注意かもしれない。なぜなら、プレイステーション 3用ソフトとして、2007年中に「METAL GEAR SOLID 4」の発売が決定しているからである。メタルギア熱が再燃し、その勢いで高価な買い物をしてしまう可能性を考慮に入れてプレイした方がいいかも……?

画像画像画像 他プレーヤーとの通信対戦もできる。4種類の中から対戦ルールが選べ、最大6人まで参加可能となっている
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