超硬派レースゲームの最新作がついに登場──究極のレースゲームを、至高の環境で楽しんでみました:「Forza Motorsport 2」先行リポート(2/3 ページ)
この臨場感、タダモノではない!
まずはゲームに慣れることを兼ねて、さほど馬力が大きくないクルマで、なじみのあるコースを走ってみることにした。筆者がチョイスしたクルマは、HONDA S2000。コースは前作で相当走り込んだ筑波サーキットを選択してみた。エントリー画面からスターティンググリッドへとシーンが切り替わると、前作同様、自車を中心にカメラが移動しながらシグナルが点灯。エンジンの回転数をキープし、ゼロと同時にアクセルペダルを踏み込みスタートする──。
ワイドTV3台が映し出すシーンは、まさしく実車のフロントウインドウ越しの風景である。シートとTVの距離が近いことも影響しているようで、コーナリング時にブレーキングが遅れて前を走る車に追突したときは、恐怖心すら抱いてしまった。欲を言えば、運転席からの視点(ダッシュボードやメーター類が見える画面)も用意されているとうれしかった。
ドルビーデジタル5.1chによるサウンドも、素晴らしいの一言。腹の底に響くエンジン音は、前作からの流用は一切なく、全車録り直しているとのことだ。オーバーレヴ(設定限界値以上にエンジンを回転させること)を繰り返したりして、エンジンがダメージを受けると、音も当然変わってくる。また、砂地にコースアウトした際に小石を巻き上げる音なども、本物っぽくて良い。
さらに、腰の部分に設置された体感音響クッションが、エンジンの音に連動して振動する機能にも驚かされる。しかもこれ、エンジンの回転数に合わせて振動の量が変わるという優れモノだ。アイドリング状態での振動量と、レッドゾーンまでエンジンを回した際の振動量の違いに、思わず感嘆。実は筆者、自宅にバケットシートを設置するほどのクルマゲーマニアなのだが、このクッションはマジで欲しくなりました(編集部注:体感音響振動クッションは、玉川化成が製造・販売する「ファンソニック」を使用しています)。
また、ワイヤレスレーシングホイールの完成度も、かなりのレベルにあると感じた。フォースフィードバック(ゲーム内の環境に応じてハンドルが重くなったり、勝手に動いたりする機能)に対応しているため、クルマの運動状態や路面の状況によってハンドルが小刻みに振動したり、重くなったり軽くなったりするのは当たり前。振動は左右方向だけでなく、前後方向(奥および手前)にも来る。ハンドル裏のバタフライシフトも指の引っかかりがよく、一気にシフトダウンを行っても、ストレスは感じなかった。ついでに言うと、シフトチェンジ時にスピーカーから漏れる「カチッ、カチッ」という音が非常に心地よい。マニュアルシフトにこだわりのある人も、これならば満足するのではないだろうか。
アクセルおよびブレーキペダルも、それなりに重みがあって○。個人的にはもう少し重くてもいいかな、とも思うが、安っぽさはまったく感じないし、値段(税込:1万3650円)相応と言えるだろう。
アシスト機能を切っても普通に走れた!
筑波での試走が終わり、今度は新しいコースを走ってみることにしてみた。セブリングやムジェロもいいのだが、正直馴染みがないので、ここはやはり鈴鹿にしてみた。使用するクルマは一気にクラスを上げ、ルマン仕様のAudi R8をチョイス。
さらに、今回の走行では、コーナリング時の推奨ライン、STM(極限のコーナリング状態でもクルマのコントロールを維持する機能)、TCS(加速時にタイヤが空転しないように調整する機能)といったアシスト機能をOFFにしてチャレンジしてみた。ただし、前作で苦戦したABS(ブレーキング時にタイヤをロックさせない機能)だけは、ONにしておくことにした。
なお、アシスト機能以外に注目される設定として、コンピュータ(A.I.)のレベル変更がある。前作には、コンピュータにドライビングスタイルを学習させる機能(DRIVATAR)が用意されていたが、本作ではA.I.関連のテクノロジーもさらに進化している。
まず、コンピュータドライバーにはそれぞれ名前(人名)が付いていて、ドライビングスタイルに関わる性格付けがなされている。例えば、Aという名のコンピュータはブレーキを遅らせてコーナーに突っ込むのをスタイルとし、Bという名のコンピュータは追い抜きの際に執拗にブロックするスタイル、といった具合にだ。A.I.レベルを上げればこれらの性格がより強調され、ドライビングテクニック自体も底上げされることになる。また、キャリアモードでは、コンピュータがプレーヤーをライバル視する思考も組み込まれており、レース中にそのコンピュータと争うことがあれば、露骨に邪魔してくるようなこともあるのだ。
さて、鈴鹿の話に戻そう。車種をAudi R8にしたことで、S2000とは比べものにならないほどパワーが上がったが、タイヤのグリップ力が高いこともあって、さほど乗りづらさを感じなかった。STMもTCSもOFFにしてる割に、S字〜逆バンク〜デグナーと続く鈴鹿のテクニカル区間を無難にこなせたのは、ひとえにワイヤレスレーシングホイールのおかげだろう。前作でこれらのアシスト機能をOFFにして初めて走った際は、「こりゃあ、慣れるのに相当時間がかかるな」と思ったものだが、レーシングホイールを使えば、小刻みなステアリング&アクセルワークを行いやすいため、かなり早く慣れることができるのだ。
とはいえ、運転に神経を使う点は、コントローラーもレーシングホイールも同じ。ハンドルを握る手からジワジワ汗が出てくるし、スピンしコースアウトでもしようものなら集中力が途切れてしまう。まあ、これも“リアル”ということか。
ちなみに、グランドスタントならびに1コーナーのスタンドにいる観客の描き込みが凄い、というのが鈴鹿の第一印象だった。F1中継の車載カメラから見たシーンとタブる、というのは言い過ぎかもしれないが、とにかくこの臨場感は最高だ。
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