「見ること」がこんなにもタイヘンだったとは――実録「眼力」を鍛えてアイツのハートもゲッチュ〜?「見る力を実践で鍛えるDS眼力トレーニング」レビュー(1/2 ページ)

眼の能力の尺度として広く認知されているのは、物体を識別する「視力」だろう。しかしそれだけが「眼」の「力」ではない。「眼」に対する認識をより深め、さらには鍛え上げてしまおうとこの1本を体験してみた。眼力は本当に向上したのだろうか?

» 2007年06月20日 00時00分 公開
[内田志乃,ITmedia]

そもそも「眼力」って?

 俳優をして「目に力がある」などという表現をすることがある。「目で落とす」という恋愛テクニックも古来より広く知られている。古くはとある漫画のバン○ラン、最近だとアント○オ・バンデ○スあたりだろうか。ひとたび見つめられるだけで乙女ゴコロは沸騰し、たちまちのうちに全身の力が抜け、あなたのトリコとなってしまう。また、逆もしかり。女性がひとたび魔性の眼差しを向ければ、対象となった男性は上気した面持ちであなたのしもべと心に誓ってしまう。そう、眼とは最終兵器となりえるものなのだ。

 「見る力を実践で鍛えるDS眼力トレーニング」(以下、眼力トレーニング)は、「視力」ではなく「眼」の「力」をトレーニングで上げてしまおう、というソフトである。少なくとも実際の内容を知るまでではあるが、筆者はこのタイトルを見た瞬間、興奮した。これで意中のアンチクショウも眼力でイチコロなのではないか? そんなものを大々的に売り出してしまって大丈夫なんかい? という懸念すら抱いたくらいだ。誰しもが「目で落とす」なんて事態は、あまりあってほしくないではないか。

毎日の積み重ねこそが大事。ハンコを集めることで新たなトレーニングメニューが登場したりするのだ

 そんな先入観をニコヤカに担当編集に話したところ、実にビミョーな顔をされつつソフトを渡された。おもむろに説明書を開いて見せてくれたのだが、その途端にフリーズしてしまった。“眼力”違い……。これじゃ自分は欲求不満ですと宣言してしまったようなものだ。ひとり赤面する筆者を前に、実に曖昧な笑みを浮かべる担当編集が涼やかな眼で見つめている……。もうどうにでもしてぇ〜。

 そんな与太話はさておき、「眼力トレーニング」である。愛知工業大学の石垣尚男教授監修の元、「動体視力」をはじめとする、視力以外の眼の能力を鍛えようというものだ。これはアクションやシューティングといったゲームは言わずもがな、特にスポーツには欠かせない能力と言えよう。実際、さまざまなスポーツにちなんだトレーニングメニューも収録されている。一世を風靡した「脳トレ」の眼版と考えてよさそうだ。

鍛える“力”の内訳は……

 ひと口に「視力以外の眼の能力」と言っても、「動体視力」くらいしかピンとこない方も多いだろう。まずは、眼力にどのようなものがあるのかと、各々の能力を鍛えるためのトレーニングを紹介しよう。

動体視力動いているものをはっきり見る能力。シューティングゲームでは特に重要といえる
瞬間視一瞬で多くの情報をつかむ能力。これがあることで、例えば新聞や雑誌を開いた時に、どこに何の記事があるかをすぐ把握できたりする
眼球運動すばやく正確に眼を動かす能力。例えばガンシューティングゲームで、次々に現れるターゲットをとらえる際に必要となる
周辺視野広い範囲を見る能力。何事も視野は広い方が良いというものである
眼と手の協応動作すばやく判断し、正確に反応する能力。つまり眼から入った情報を運動につなげる処理能力のこと

 これらの能力が生活の中で発揮されるケースを考えてみると……。例えばパーティの席上にて。大勢の出席者の中にステキなアンチクショウを見出し(周辺視野+瞬間視)、その行動を眼で追い(眼球運動)、そんな中でやっぱりステキなことを再確認し(動体視力……?)、そして一瞬のチャンスを見逃さず声をかける(……「手を出す」という意味で一応「協応動作」ということにしておく)。おお、ステキな出会いをモノにするために、こんなにも「眼力」が試されていたとは! 恐るべし「眼力」、やはりこれは鍛えなくてはならない。

いざトレーニング、の前に

視力には自信があったのだが……やはり「眼力」は尺度そのものが違うのだ。さぁ、若返りするぞっ!

 そんなわけで早速トレーニングを開始してみよう。タイトル画面から「毎日トレーニング」を選択し、まずは現在の「眼年齢」をチェック。日々トレーニングを繰り返して、この「眼年齢」をどんどん若くしていくのが目標だ。ちなみに「眼年齢」は、もっとも若くて20才とのことだ(伝聞形なのは……まぁお察し頂きたい)。

 昔から視力だけは良かった筆者。一日中PCのモニタを眺め続けるような職を長年続けてはいるものの、未だ裸眼でクルマを運転できる程度にはキープしている。そんなわけで「もしこれで『眼年齢20才』なんてことになったら、この記事も企画倒れになっちゃうなぁ」などと思いつつ計測してみると……ホントごめんなさい。実年齢よりも遥かに上の「40代」という残酷な結果を突きつけられたのだ(とはいえ、企画倒れにならずホッとしたのも事実である)。

 ただまあ、「ボクの眼力は20歳レベル!」と言われても、どれくらいの能力なのかイマイチわからないと思う。実際にプレイしている筆者もよく分かっていない。というわけで、客観的にどの程度の「眼力」を持っているかも確認することにした。

これが「リズム天国」の「カラテ家」。お手元にお持ちの方はぜひ一度実際にお試しいただきたい。多分「動体視力」と「眼と手の協応動作」が試されている、ハズ

 ここで登場するのが、同じ任天堂より好評発売中のゲームボーイアドバンス用ソフト「リズム天国」だ。同作に収録されているミニゲーム「カラテ家」をプレイして、そのスコアから眼力を計ってみることにした。

 この「カラテ家」、本来はリズムに合わせてボタンを押し、画面手前から飛んでくる電球や植木鉢なんかをぶっ飛ばすという内容だ。が、そのまま遊んだのでは、普通のリズムアクション。今回は、これを音を消した状態、すなわち「眼力」のみに頼った状態でプレイしてみようというのである。なお筆者が「リズム天国」をプレイするのは、今回が初めて。なんとなく眼力をはかるには良さそうだと、安易に手に取ったのがソフトの選定理由である。

 さて、いざプレイしてみると……これが妙に難しく、ほとんどゲームにならない。結果はもちろん最低の「やりなおし」。これをせめてひとつ上の「平凡」レベルまで上げたいところだ。かくして、10日間という短い期間ではあるが、わが戦いは火蓋を切って落とされたのである。ちなみに、本当にこの方法で比較していいものかといった疑問は置いておく。

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