冒険者として生活したい人、この指とーまれっ!:「The Elder Scrolls IV:オブリビオン」レビュー(2/2 ページ)
多彩なクエストをこなしていこう
本作は、クエストをこなすことで物語が進む。クエストとは、それ自体で完結するシナリオのことで、その内容はさまざま。例えば、町の人が困っているようなので詳しく話を聞くと、「もう歳を取って魚の鱗を集めることができなくて困っている」と語られる。彼の依頼を受けるとクエストが発生し、アチコチ歩き回って鱗を集め、彼に渡すと、クエスト完了となる。クエストによっては、報酬がもらえることもある。
ゲーム中では特に区別されないが、メインストーリーを楽しめるメインクエストと、それ以外のサブクエストに分類されることが多い。
「オブリビオン」のオーソドックスな楽しみ方は、このクエストを遊びまくることだろう。メインクエストだけを遊んでもいいし、逆にメインクエストそっちのけでサブクエストだけ楽しむのもアリだ。サブクエストの数は非常に膨大で、何種類あるのか把握できないほど。多分100種類以上はあると思うのだが……。
各クエストは、当然ながら似たようなシナリオが少なく、どれを遊んでも新鮮な気持ちで楽しめる。先ほどの鱗を集めるクエストのほか、あまりに安売りをする商店のヒミツを暴くもの、行方不明の画家を絵画の中の世界から助け出すもの、宝の地図を頼りにシロディール中を探索するもの……などなど、バラエティ豊かだ。
なお各クエストは、進行状況や次の目的がいつでも各員できるため、迷う心配は皆無だ。次の目的地や目標の人物は、矢印で表示されるという親切設計のため、特に攻略本や攻略サイトに頼らなくとも、問題なくクリアーできるだろう。「本当に洋ゲーなのか」と思えるほど全体的に親切設計で、スーパーファミコン時代の超絶難易度の洋ゲーしか知らない人にとっては、かなり驚くハズだ。
細部まで作り込まれた世界を探索する
シロディールは非常に広大な世界だ。それでいて、どの部分も密度がかなり濃い。ここでは、世界の見所というか、楽しめる要素を紹介していこう。
この世界には、無数のダンジョンが存在している。クエストで探索するものもあれば、物語にまったくからまないものも存在する。ゲーム開始時はダンジョンの場所はわからなく、自分で歩いて実際に発見したものが、マップに記載されていくのだ。
まだ見ぬオタカラを求め、新たなダンジョンを捜してシロディールを探索する……そんな遊び方もできるんのだ。
ゲーム中に登場する、書籍も紹介しよう。本作には、本や手紙、巻物といった多彩な書物が、なんと500以上も登場する。スゴイのは、すべての本が実際に読めることだ。
本は実際に文章が記載されており、様々な物語を読んで楽しむことができる。各都市を独自の視点から紹介する本、前作の舞台であるモロウウインド地方について書かれた書物、ある冒険譚……などなど、内容も多彩だ。
書物はクエストにからむものもあれば、全然関係ない物も多数ある。単に読み物として読むだけでも、相当楽しめるはずだ。
また、NPCにも注目したい。本作のNPCは、それぞれ独自のAIで行動している。おなかがへったら酒場へ行き、食事を取る。他のNPCからアイテムを盗むこともある。そのスリが衛兵に見つかり、捕まることを拒否したため町中が大乱闘に発展、なんてことも発生する。
このため、“街が生きている感”は、シングルRPGの中ではダントツだ。同じ街でも、歩くたびに新しい出来事に出会える可能性があるから、ただブラブラ歩くだけでも楽しめるのだ。
薬に魔法、装備品も、自分だけのものを作成可能
「オブリビオン」の世界には、数え切れないほどのアイテムが登場する。このうちネズミの肉やトマト、ジャガイモなど、特殊な効果を持つ材料を使い、錬金術で薬を作成することができるのだ。
各材料には、体力回復やマジカ(MPのこと)回復など、最大で4種類の効果が設定されている。同種の効果を持つ材料を2つ以上組み合わせ、「乳鉢と乳棒」というアイテムですりあわせれば、その効果を持つ薬を作れるのだ。
材料は、敵や野山の草木、錬金術店などから入手できる。作成した薬に名前を付けることもできるので、文字通りオリジナルの薬を作れてしまうのだ。
同様に、独自の魔術も作り出せる。こちらは材料は必要ないのだが、ゲーム中であるクエストをこなし、アルケイン大学に入学していなければ作成できない。
魔術は、効果や対象、威力に効果範囲などを決定して作成する。もちろん名前も自由に決められる。
装備品は、0から作り出すのではなく、既存の装備品に魔術をかけて、マジックアイテムにすることが可能だ。こちらも魔術と同様、アルケイン大学に入学すると行える。
このように、世界で1つだけのオリジナルアイテムを作成できるのも、本作の魅力。性能が一緒であっても、独自の名前が付いていれば、それだけでプレイヤーにとっての価値は大きく跳ね上がるハズだ。
歴史に残る名作だが、ちょっと人を選ぶかも
「オブリビオン」の注目すべき要素を紹介してきたが、いかがだったであろうか。とにかく、このシロディールは尋常ではなく作り込まれており、本当にそこにもう1つの世界が存在している、といっても過言ではないくらいだ。そのため、プレイヤーとキャラクターの一体感がもの凄い。ハイエルフやオークなど、自分とは全然異なる外見のキャラクターであっても、自分が操作しているキャラクターは、間違いなく自分自身といえるはずだ。
そう、本作は、冒険者というもう一つの人生を楽しめるゲームなのだ! ……というのはちょっと大げさかもしれないが、それほどまでにスケール感の大きな作品なのだ。
さて、ここで日本語化についてもちょっと触れておこう。なにぶん文章量が多いため、筆者は「変な訳が多いんじゃないかなー」と不安だった。だが、本作の翻訳は十分及第点といえる。ある人が急にオカマ言葉を話したりして、変な部分も多々あるけれど、個人的にはそれすら楽しめてしまうので、満足できている。
それだけに、一部の文章が文字化けしているのは残念。また、大量の文章が登場する作品であるにもかかわらず、文字がちょっと読みにくいのももったいないように感じた。ただしこれらの問題点は、スパイクがパッチで解決する、と発表しているため、今後改善されるはずだ。マシンスペックの問題などで苦労していると予想されるが、スパイクにはなにとぞ頑張っていただきたい。
本作は自由度が高く、またボリュームも膨大。“でっかい箱庭を作ったので、そこで冒険してね”というゲームなので、何を目的として活動するか、自分自身で見つけ出せる人ならば、長時間楽しめることだろう。
反面、ストーリーを中心に楽しみたい人にとっては、単なる絵がキモいお使いゲームになってしまう可能性もある。個人的には超がつくほど大好きなゲームなので、多くのゲーマーに遊んでもらいたいのだが、合わない人もきっと多くいると思う。要するに、クセの強いゲームなのだ。
というわけで、自分でなんとかやっちゃうよ、って人ならば、まず間違いなく楽しめるであろう本作。9月27日にプレイステーション 3版も発売されるので、PS3だけ所持している人はそちらをチョイスするといいだろう。
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