“芝村ゲーム”らしくないが“芝村テイスト”満載のゲーム:「ぷちえう゛ぁ EVANGELION@GAME」インタビュー(3/3 ページ)
――ところで「ぷちえう゛ぁ」のテキストは、ひらがなが多いですよね……。これはニンテンドーDSというハードというか、年齢層も考えたものなんですか?
芝村 いえ、そういったことは全くないですね。わたしの書いた、元のシナリオ通りに漢字が多い言葉を二頭身のキャラがしゃべったら、気持ち悪いとまでは言いませんが、ちょっと(笑)。
岡本 年齢層ではなく、世界観に合わせています。もちろん読みやすさについては気をつけていますが。エヴァンゲリオンは永遠に“中学生”のストーリーなので、コアターゲットは中学生です。しかし、その人たち向けという意識はしていませんし、低年齢層を狙うという意味でもないですね。ゲームの雰囲気に合わせて決めた、ということです。フォントもそうですし。
芝村 1面クリアしたら急に哲学的なことを言い出した、というものを入れたい気持ちもあるんですが(笑)。あとは、揺れる車内での読みやすさを考えたときには、漢字よりもひらがなのほうがいいんですよ。そこから考えても、ある程度は開いた方がいいと思いますね。
この点は、普段からいろいろな環境でゲームをしている人でないと、考えつかないことだと思いますけど、目が疲れて遊べないゲームも意外に多いんですよ。そこには注意したほうがいいと思いますし、何よりも、自分の老いた目を優しくいたわってあげたい(笑))。プレイステーション 3のようなゲームなら、ハイレゾリューションでプレイできるし、小さい文字もきれいに見えますけど。
岡本 文章的な敷居を下げているのも雰囲気合わせですが、(芝村さんを見て)こういう人なので、クイズ番組に出てくるような言葉を入れてくるんですよ。でも、それはたとえ開かなくても、漢字を見ても元の意味をみんな知らないよ、と。逆に言うと、こういうゲームだから、と残している場合も過去にはもちろんあるわけですが、今回は「それは使えないよ」ということを最初に話しています。一般的に使われている四文字熟語だったらいいかもしれませんけどね。そのもう一つ上のレベルの言葉を平気で入れてくるので「あかんよそれは。分からんぞ」と。一番気にするのはそこですね。開いても分からない(笑)。ですので、ゲームによって使い分けはしていますね。
芝村 1日ずっと四文字熟語しかしゃべらない日、とか決めるとすごく楽しいんですけど。「今日は1日、四文字熟語しかしゃべりません」と言ったときの部下の顔が一番楽しい(笑)。「もう少しまともに生きたほうがいいですよ、芝村さん」とか言われますが、遊び心をゲームデザイナーから取ったら、灰と計算能力しか残りませんよ(笑)。
岡本 「ぷちえう゛ぁ」は、ゲームのトータルコーディネートとしては、全部つながっていないといけないということを考えて作っているゲームなんです。文字であっても、音も含めてすべてに統一感が欲しかったんです。青を使って、黄色を使って、赤を使ってではなく、「青で全部やろうよ」というイメージですね。トータルコーディネートとしてそろえてあるんです。もちろん、半分崩してみたり、それこそばらばらに崩してみるというゲームもありますけどね。本作では統一性・継続性を重視しているんです。先ほどお話ししたように、環境がコロコロと変わる中で、どこに行ってもつながっている状態を作らないとダメだと思っていましたから。
――そういう意味では、「ぷちえう゛ぁ」をプレイしていても、芝村さんのテイストを十分に感じるものがありました。
芝村 「すべてのものは造物主に似る」と言いますからね(笑)。わたしがどんなものを作っても芝村味がするんじゃないかと。不意に現れる意地悪さ加減とか、「今日はおれを気持ちよく終わらせないつもりだな」みたいな(笑)。その感覚こそがゲームにおいて重要だと思いますので。
――でも解けたときの爽快感はたまらないですね。
芝村 ゲームというのは征服してナンボですからね。山と同じですよ。クリアしたときに楽しいかどうかというのは重要なファクターですよね。
――最近は征服感がないゲームが多いですし。
芝村 それはまあ、親切になり過ぎちゃったんですよ。もちろん、同じゲームを遊ぶんなら親切のほうが絶対いいじゃないかということもあるんですけど、人間、いつも同じことばっかりを与えられてもしょうがないので、たまにはあいまいなゲームがあったほうがいいと思いますよ。
あまりにもたくさんゲームを作り過ぎちゃったせいもあるかもしれないですが、画一化されている気がしますよね。もっとぶっ飛んだりとか、遊び心というか……。無駄なことを“遊び”と言うこともあるので。もっと遊んでいたほうがいいんですけどね。
――最後に、「ぷちえう゛ぁ」を手に取る人に向けてひと言お願いできますか。
芝村 わたしのファンでいてくださる人に向けては「おれの作ったゲームだとは思うなよ」ということでしょうか。遊ぶと確かに“芝村の子に違いない”と感じていただけるとは思いますが。決して従順でないところも含めて(笑)。普通の“芝村ゲーム”としてではなく、ちょっと時間があったときに遊んでくれるとうれしいな、と思います。
岡本 携帯ゲーム機で、エヴァンゲリオンで、このデザインで、というところでまとめているゲームではありますが、しっかりと作られているので、損はさせません。これまでの「エヴァンゲリオン」ゲームシリーズとはまったく両極端の存在ですが、作り込み度合いも同じボリュームとなっていますので、ぜひ手にとって、プレイしていただきたいな、と思います。
ぷちえう゛ぁ EVANGELION@GAME | |
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発売日 | 3月20日 発売予定 |
価格(税込) | 5040円 |
CERO | A区分(全年齢対象) |
ジャンル | まったりほんわか |
(C)2008 NBGI
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