12年目の「サクラ大戦」ファンに贈る、歴代ヒロイン総出演の超豪華ドラマを満喫せよ!:「ドラマチックダンジョン サクラ大戦 君あるがため」レビュー(1/3 ページ)
久々に姿を現した「サクラ大戦」シリーズ最新作は、これまでとは大きく路線を変更した「ドラマチックダンジョンRPG」。最初は「また安直な……」と警戒心丸出しの筆者だったのだが、実際に遊んでみて、その考えを180度改めるに至った。これまでシリーズを支え続けてきた“ごほうび”として、12年目のシリーズファンにこそ遊んでもらいたい作品だ。
大きく成長した「サクラ大戦」というシリーズ
初代「サクラ大戦」がセガサターンで登場してから、今年でもう12年目になる。最初はわずか6人だった華撃団メンバーも、二度のメンバー交代を経て今や総勢18人の大所帯に。活動拠点も帝都、巴里、紐育の三都市へと広がり、世界観も当初とは比べものにならないほど厚みを増した。「継続は力なり」というが、実際に“継続”を“力”へと変えてきた、数少ないシリーズのひとつだろう。
そんな12年目の「サクラ大戦」最新作は、なんと入るたびに形が変わる“ダンジョンRPG”形式。第一報を聞いた時には「とってつけたようなお手軽企画か!?」と身構えたものの、開発はあのネバーランドカンパニー(「風来のシレン外伝 アスカ見参!」などを開発」)と聞き、「シレン」ファンの筆者としてはここで期待度がギュウーンと上昇。そして実際に出来上がってきたものに触れ、その期待が正しかったことをあらためて確信したのだった。
そこにあったのは、12年目の「サクラ大戦」だから表現できた、新しいダンジョンRPGの形だ。
ダンジョンに降り立った、総勢18人のヒロインたち
まず「サクラ大戦」ファンにとっての最大の目玉は、やはり帝都・巴里・紐育の三華撃団メンバーが総出演する点だろう。これまでにも「サクラ大戦4」で、帝都・巴里のメンバーが共闘することはあったが、シリーズ5作品すべてのメンバーが一堂に会するのは今回が初めてとなる。基本、別個に動いている三華撃団が、どのような経緯で一ヵ所に集結していくことになるのか? あえて詳しくは触れないが、ストーリーの進行に応じて少しずつメンバーが合流していく展開はかなり“燃える”のでお楽しみに。サターン時代からシリーズを見守ってきた身としては、やはり初代メインヒロインのさくらと、最新作のヒロイン・ジェミニがはじめて出会うシーンには、思わずじんと来るものがあった。
で、ゲーム中ではこの中から最大3人を選んでダンジョンへ連れていく形となる。「シレン」で例えるなら、常時ペケジ・お竜・ケチの3人ががっちりサポートしてくれている状態だ――って例えがちょっと古いですか。
当然、隊員たちの性能はそれぞれ異なり、いずれも個性あふれるスキルや必殺攻撃でプレイヤーを援護してくれる。例えばさくらなら強力な近接攻撃でガシガシ敵を倒してくれるし、マリアなら得意の射撃で後方支援、アイリスならスキルで周囲の味方を回復――といった具合。攻撃面以外でも、一定確率で「無礼者!」と反撃するすみれ、ヘビ系モンスターを見ると逃げだしてしまうカンナなど、実に細かいところまでキャラクターの個性づけが行き届いていて感心させられる。しかも、そのすべてがきちんと“ダンジョンRPG”のシステムに落とし込まれているのだからお見事。店のアイテムを勝手に盗んでしまうロベリアなど、最初からダンジョンRPG向けに設定が考えられていたのでは? と思ってしまった。
個人的なツボキャラは、やたらドジっ娘スキルが充実しているエリカ。「何もないところでいきなり転んでダメージを受ける」というのはお約束として、なんとこの子は「うっかり味方を撃つ」という恐ろしいスキル(?)まで持っている。デフォルトで三方向射撃可と攻撃面については申し分ないのだが、おかげで隣にいるとビシビシ流れ弾が飛んできて、見る間にHPが削られていってしまう。そのたびに「またやっちゃいました!」と謝ってくれるのだが……ああもう、かわいいやら腹立たしいやら!! なんだかんだで毎回連れていっているあたり、開発者の仕掛けたワナにどっぷりハマっている気がする。
また、隊員たちは冒険の途中で「ワナ破壊」や「側面支援」といった新しいスキルをひらめくことがあり、これによってワナを見つけて破壊してくれるようになったり、プレイヤーの後ろではなく横に並んで歩くようになったりと、より便利に、賢く成長していくのが面白い。毒攻撃ばかり食らっていると「毒見切り」を覚えるなど、修得条件は仲間の行動や環境に影響されるようなので、どんな条件でどんなスキルを覚えられるのか探してみるのも楽しいだろう。ところで、うちのエリカ君にもいいかげん「仲間越し射撃」くらいは修得してほしいんですが……。
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