「サクラ大戦」シリーズすべてのヒロインを全員登場させた密度の濃い作品「ドラマチックダンジョン サクラ大戦 〜君あるがため〜」インタビュー(1/2 ページ)

シリーズ初のニンテンドーDSソフトとなる「ドラマチックダンジョン サクラ大戦 〜君あるがため〜」。本作の見どころについて、チーフプロデューサーである西野陽氏と、ディレクターの中村圭介氏に話を聞いてみた。

» 2008年03月19日 11時53分 公開
[聞き手:今藤弘一,ITmedia]

 帝国華撃団をはじめオールスターキャストが登場するニンテンドーDSソフト「ドラマチックダンジョン サクラ大戦 〜君あるがため〜」。シリーズ初のニンテンドーDSソフトとなる本作は、ジャンルもこれまでとは違い「ドラマチックダンジョン ダンジョンRPG」。本作が登場した背景について、本作のチーフプロデューサーである西野陽氏と、ディレクターの中村圭介氏に話を聞いた。

画像 セガ 西野陽氏(左)、同 中村圭介氏(右)

――いよいよ「ドラマチックダンジョン サクラ大戦 〜君あるがため〜」が発売になりますね。

西野陽氏(以下、敬称略) 「サクラ大戦」も発売から10年以上が経ち、この先どう展開するかを考えた上で、本作を作った理由は2つあります。まず、シリーズ最初からのファンの方は、例えば当時学生であっても、いまは社会人になっているわけです。このため、テレビの前でじっくりとプレイする時間がなくなってきている人も多いのではないか、と。そういうこともあって、“いつでもどこでも「サクラ大戦」で遊べないか”と考えました。

 あとは、「どんなジャンルの『サクラ大戦』が遊びたいか」とファンの声を聞くと、“RPG”という声が非常に高いんです。ただ、RPGをそのまま作ってしまうと、キャラクターも多いですし、収拾がつかないモノになってしまう恐れがあります。でもダンジョンRPGなら、たくさんいる「サクラ」のキャラを、うまく出すことができるんじゃないか、おもしろく構成できるんじゃないかという思いに至りました。こうして本作は生まれたわけです。

――それもあって“ダンジョン”にはこだわったわけですね。

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西野 「サクラ大戦」シリーズは、それぞれのキャラクターの個性が際だっていて、1人1人がすごく特徴的な性格なり、能力を持っているので、ゲームに反映しやすいんです。従来のシリーズの戦闘パートがシミュレーションスタイルだったのも、1人1人のキャラクターを描くのに適しているゲームシステムだからです。

 企画当初、ジャンルをRPGにしようと決めましたが、いわゆる“大作RPG”を目指してしまうと、システムが大きくなり、時間もかかって気軽にプレイできないかもしれない。それでは、最初に述べた“いつでもどこでも気軽にやろう”というコンセプトから外れてしまいます。しかしダンジョンRPGなら、“行き帰りの電車の中でちょっとだけ「サクラ大戦」”という遊び方ができる。プレイスタイルの変化に合わせて考えたわけです。

――ダンジョンRPGというと、「風来のシレン」シリーズのイメージが強いですよね。

西野 今回、「サクラ大戦」ファンに向けて作ったのはもちろんですが、ダンジョンRPGファンにもプレイして頂きたいと思っています。そういう意味では、大多数のユーザーがプレイしやすいスタイルというのは重要だろう、と。このため、意識してはいますね。

――PSPではなくなぜニンテンドーDSを選ばれたのですか?

西野 正直、どちらにするか悩みましたが、よりたくさんの人に遊んでもらいたいということ、またダブルスクリーンやマイク機能など、ハードウェア面でもおもしろいことが出来ると思い、最終的にニンテンドーDSという判断をしました。

 ニンテンドーDSでは苦労した面もあります。アドベンチャーパートでは、キャラクターのバストアップが表示されて会話をしますが、あの画面を、いままでのシリーズと遜色なく出すのは大変でした。結果としてはいいレベルで表現できたと思っています。最初にあの画面ショットが雑誌に出たときには「これはウソだ」と言われたりしましたよ。「こんな画面、ニンテンドーDSで出るわけがない」、と(笑)。

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 あとは、あれだけ多くのキャラクターの技の効果や能力の設定を考えたり、サクラらしいアイテムの効果を考えたり、すべてにこだわって作るのが大変でした。とにかく物量が半端ではないので……このモンスターにこのキャラクターを連れて行って、この技を発動させるとこうなる、といった組み合わせは無限に近いので、これが成り立つようにするにはかなり苦労しました。キャラクターをここまで出さなきゃよかったと何度も思いましたよ(笑)。

――「サクラ大戦 1&2」がPSPで出ていて、その反響も考えて携帯ゲーム機という選択をした、ということもあるんでしょうか。

西野 今回は新作を作ろうという話が最初にありましたので、「サクラ大戦 1&2」が好評だったから、ということはあまり関係がありません。もっとフラットに、何もないところから“新しい「サクラ大戦」って何だろう”と考えていきましたので。いまの市場にあった、もっともいい形の「サクラ大戦」を考えたときに、このスタイルになりました。

――据え置き機と携帯ゲーム機では作り方って変わるものですか?

西野 いまの据え置き機というのは、ゲームのコア以外に求められるものが多いですね。「サクラ大戦」が始めた部分も若干はあるかと思いますが、美麗なアニメーション映像が一杯入っていてほしいとか、世界観を表すマップがきっちりと入っていてほしいとか……。そういう意味では、作らなければならない要素が、けた違いに多いですね。据え置き機の場合は容量も大きいですし、入れられるだけ入れようという気持ちになります。これに対して携帯ゲーム機には、画面の表示や容量など制限が多いです。その中で、何をどう取捨選択し、やりくりしていいものを選び出して構成していくか、ということが大事です。そういう意味では携帯ゲーム機は“濃い”ものになりますね。

――制限される楽しさですね。

西野 作り手としては、制限されると燃えますね(笑)。据え置き機では“何もかもやってやるぜ”というノリもありますし、どちらも魅力があります。ですので、携帯ゲーム機で「サクラ大戦」を作ったのは、新鮮な体験でした。

――“ニンテンドーDSでは昔のテクニックが生きる”と話していたクリエイターの方もいました。

西野 いまや、ドット絵のテクニックは据え置き機ではほとんど必要ないですからね(笑)。ドットを打てる人自体が希少価値になっている中で、どうやって詰め込んでいくか、ですから。

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――先日の「Sakura Cafe」閉店イベントで、広井王子さんが「隊長プレイを楽しんでほしい」とおっしゃってたんですが、これは最初からテーマにあったんでしょうか(関連記事参照)。

西野 確かに「サクラ大戦」というのは“隊長プレイ”の要素があって、それが今回は際だっています。ユーザーが操作するのは、大神か大河という1人の隊長です。ほかの隊員たちは自分の考えで付いてくるという形ですが、隊員たちに細かな指示をすることもできますので、指示をミスすれば隊員が訳の分からない行動を取るという……。より隊長感が強いゲームになっています。

――わたしも少しプレイさせていただいたんですが、エリカに後ろから撃たれて困りました……。

西野 エリカはそういうキャラクターなんですよ(笑)。誤射したり、コケたり……。「おまえ何やってんだ!」と言いたくなる娘なんです。ただ、エリカは頑張って育てるとものすごく強いキャラになるので、ドジを踏んでも「まあまあ」といいながら大事に育ててあげると、大物になるという(笑)。そこを実感していただければと思いますね。

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