“非情な戦争の中の人間ドラマ”を描くチャレンジタイトル:「戦場のヴァルキュリア」インタビュー(1/4 ページ)
セガから4月24日に発売されるプレイステーション 3「戦場のヴァルキュリア」は、戦場でくり広げられる人間ドラマを描いている作品だ。いわゆる“シリーズもの”とは異なり、1からチャレンジした作品だが、本作の魅力について、プロデューサーを務めた野中竜太郎氏と、チーフプロデューサーの西野陽氏に話を聞いた。
“名作劇場”に戦車が登場するイメージ
――「戦場のヴァルキュリア」は新シリーズとして立ち上げた作品ですね。本作が生まれた背景からお話しいただけますでしょうか。
野中竜太郎氏(以下、敬称略) わたしたちの開発チームは以前から、「サクラ大戦」シリーズや「エターナルアルカディア」など、ドラマ性の強いタイトルを手がけています。ストーリー性の強い作品を作ってきたわけですが、その中で新しい、描くべきドラマはどこにあるのかと考えてきました。
ドラマというのは基本的に、人と人とのつながりであるとか、きずなを描くことだと思うんです。それが最も強く出るのは、“命”がかかった時かなと。ぼんやりとした日常よりも、いつ死んでしまうか分からない時にこそ、より強い感情が出てくると思うんです。その舞台としては戦場がいいのではないか、戦争の中の、それも“顔が見えるレベル”の小さい戦場を描きたいと思ったのがスタートですね。
――本作では架空のヨーロッパが舞台となっていますが、この設定はどこから生まれたのでしょうか。
野中 先ほどお話ししたようなドラマを描くために、どのような背景が適切なのかを考えた時に、ただ単に実在の戦争を描くという手法では難しいですね。我々が知っている歴史の流れや、敵味方といった構図も含めて、すべて了解してしまっているからです。物語を描く時には、こうしたイメージは足かせになってしまいます。テーマをはっきりと打ち出すためにも、いっそのこと架空の世界を作り、その中で再構成した方が描きやすいんです。そこで「ヨーロッパ大戦」や「ガリア公国」、それに「ヴァルキュリア」という設定もそうですが、架空のものを入れることにしました。
西野陽氏(以下、敬称略) それに加えて“戦争そのもの”を持ってくるとハードルが高いというか、苦手に感じる方も多いと思うんです。そこにファンタジー風味を入れたいと思いました。そうなった時には、「戦場のヴァルキュリア」が舞台としている、西ヨーロッパあたりがいいですよね。実際に魔法とかあったかもしれないじゃないですか。ああいう土壌の方が、ファンタジーと戦争がうまく混じり合うということもあって、ヨーロッパを舞台とした、架空の戦争物語が出来上がりました。
――1930年あたりの時代背景、というのもポイントですよね。
西野 そうですね。あまりにも科学が発展しすぎると“ボタン戦争”じゃないですが、人と人とが戦わないじゃないですか。ファンタジー要素が入っていても、ぎりぎり成り立つくらいの戦争ができるのは、あの時代だろうと思って決めました。
野中 こうした時代背景であれば、一人一人の役割の中で、「こいつがいないと死んでしまう」とか、逆に「おれがこいつを助ける」といったところが出やすいかなと思ったんです。スケール感から言っても、1930年代のヨーロッパ戦線は舞台としては最適かなと思っています。
あとはグラフィックを作っていく中で、自分たちが住んでいる今の世界ではないが、どこか郷愁というか、懐かしい感じを入れていくのにも適していますね。僕らは最初“名作劇場に戦車が走っている”ということを言っていたんですが(笑)、あの時代のヨーロッパのような世界観が、僕らの原風景にあるんじゃないかという気もします。そういうところも含めて、1930年代のヨーロッパが舞台設定となっています。
シミュレーションというシステムなら、キャラクターにドラマが生まれる
――システムについてお伺いしたいのですが、シミュレーションというジャンルを選んだのは、お2人が「サクラ大戦」シリーズを手がけていたということもあるような気がするのですが、いかがでしょうか。
西野 実際に「サクラ大戦」で学んだ部分はありますね。シミュレーションでは1ユニットずつ自分で操作しますよね。ですので、ユニットに感情移入しやすいですし、ドラマが生まれます。プレイヤーがドラマを生み出しやすい、キャラクターを描きやすいシステムはシミュレーションだな、というのは、「サクラ大戦」を作っていてつくづく痛感したことなんです。ただし今回は、基本はシミュレーションだけれども、一風変わったシステムを取り入れよう、ということで作っています。
野中 あとは、シミュレーションはゲームシステム的に、突出したキャラクターがいると勝てるというシステムではないですよね。キャラクターごとの得意・不得意をうまく組み合わせて自分が作戦を考えていくゲームですし。
西野 部隊を操るゲームですから。1人のユニットが戦場を突破していく、FPSのようなシステムとは異なります。
野中 本作は戦争物と言っても、上から俯瞰して「ああ、1部隊つぶれたな」といったような進め方をするゲームにはしたくありませんでした。普段日常生活を送っているようなところが戦場になってしまって銃撃戦を演じている、また、仲間がいて助け合うといったテーマを描くためには、目線が低くなければいけません。本作での登場人物は「義勇軍」ですので、一般市民なんですね。一般市民が志願して、自分の故郷を守るために戦うというゲームなので、一人一人のキャラクターの特徴が出るようなゲームシステムでなければいけなかったんです。
――わたしも最初、戦車は万能かなと思っていたんです。でも突っ込んでいったらあっさりやられますね(笑)。
西野 戦車がやられるとショックですよね(笑)。突っ込んでいったら対戦車兵がいたりして、「あー、撃たないでくれー」(爆笑)。あれがたまらないんですよ(笑)。
野中 意外とやられるんですよね(笑)。戦車の弱点は後部にあるので、そこを狙われるとやられちゃいますし。そこでチームプレイとして、戦車を出すなら修理できる支援兵を入れるとか、敵が戦車を出してきたら対戦車兵を入れなければいけないとか、そうなると突撃兵も必要だとか、そういうところが楽しい部分ですね。
――それに、キャラクターを使っていくと、メインのウェルキンやアリシア、ロージーといったキャラクター以外の一般兵にも愛着が出てきますね。好きなキャラクターがいたんですが、死亡してしまった時には愕然としました。
野中 それぞれのキャラクターには特徴があるんですけど、囲まれたりしてダメな時にはやられてしまうんで、行動不能の状態でどう助けるかですね。
西野 それに、またやられてしまうかもしれないけど、そこで助けるかどうかという判断もありますね。
野中 助けにいったら逆にやられてしまうかもしれませんし。
西野 そのあたりも、戦場で起こるドラマなんですよ。「もうあいつのことはあきらめろ!」ということはあるわけじゃないですか。
野中 本作では、キャラクターが死亡してしまってもゲームとしては進められるようになっていますし、作戦の途中で1人や2人が行動不能になってもクリアできるので、ゲームとしてはそれほど難しいゲームじゃないんです。
西野 「このキャラクターはあきらめよう」という、結構“ドライ”な指揮官の方が、効率よく進められるかもしれませんね。
野中 ただ、そういう状況の中だからこそ、プレイヤーはどういう行動を取るのか、ということは問われます。
西野 プレイヤーの性格が出ますね。
野中 味方のキャラクターが何人倒されても、最終的な評価には響かないようになっていますし。ターン数がいかに短いかが重要なんです。戦車や敵のエースを倒すとボーナスは入りますが、基本的にはターン数を見ています。
本作のストーリーは、味方を助けよう、仲間で助け合おうという内容ですが、ゲームシステム自体はドライですね。ただその中で、プレイヤーは何を考え、どういう指揮をするのかが問われるわけです。そこを強調したいので、“死亡”ということに対してフラットに作っています。
西野 そこが戦争の非情なところですね。どんなに被害を出そうとも、短い期間に目的を達成することが重要、という評価システムです。そういう意味では、すべてを生かそうとする優しいユーザーほど、隊長としてどう戦うのかを模索することになるでしょうね。
――せっかく育てたキャラクターが死んでしまうのはつらいですよね。覚えた「ポテンシャル」が失われてしまいますし。
西野 兵科のレベルは「訓練場」でアップするので変わりませんが、個人のポテンシャルはそのユニットが死亡してしまうと、それで終わりですからね。
野中 隊長の戦い方次第では、被害を抑えて戦っていくこともできますので、そこはやりこみ要素としてプレイしていただきたいですね。ゲームとしても、「遊撃戦闘」でキャラクターを育て、レベルアップしながらクリアすることもできますし、隊長の作戦によってはレベルが低くても突破することができるでしょう。ブリーフィング段階では状況がすべて分かるわけではないので、どのような戦術で行くのか、というのはプレイヤー次第な部分が大きいですね。
――地図は表示されているんだけど、敵部隊の配置など、ほかの詳しい状況が分からない、というのが微妙なバランスですね。
野中 果たして敵の戦車はいるんだろうか、とか。いるとしても何台いるんだろうか、とか。
西野 それを一発で見破ったら天才軍師ですね(笑)。
野中 行ってみないと分からないことって正直、あると思うんですよ。そういう中でも、なるべく早く状況を把握すれば、そこから戦略を立てられると思いますので。作戦がはまると、すごくうまく行って、簡単にクリアできる時もあります。作戦要素は大きいんですね。
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