テレビに代わる、新たな映像メディアを目指す「Wiiの間」……って結局どうなのよ?:日々是遊戯
Wiiの中にある、あなたのお家のもうひとつのお茶の間です――。そう言われても、いまひとつピンとこない「Wiiの間」。これって一体どういうチャンネル?
試みとしては新しいが、まだまだ未知数な部分も
5月1日より、Wiiショッピングチャンネルにて配信が開始された、Wiiの新チャンネル「Wiiの間」。ちょっと遅くなってしまいましたが、ざっくり遊んでみた感想などを。
「Wiiの間」を一言で説明するなら、“無料のオリジナル番組を視聴できる、Wii専用動画配信サービス”といったところ。チャンネルを起動すると、ちゃぶ台や液晶テレビが置かれた「バーチャルお茶の間」とも言うべき空間が現れ、そこへ自分や家族のMiiが続々と集まってくる。Wiiの間では現実と同じように時間が流れていて、放っておけばMiiたちは、時間に応じてごはんを食べたり、部屋のそうじをしたりと、さまざまなふるまいを見せる。まさに「もうひとつのお茶の間」がそこにあるといった感じだ。
そして「Wiiの間」のメインとも言えるのが、テレビをクリックすると見られる「オリジナル番組」の数々。番組の内容は、マジメなドキュメンタリーから、ちょっと笑えるショートドラマ、すぐに役立つ料理番組までさまざまで、いずれも(現時点では)無料で視聴することが可能。これらはすべてテレビや広告の現場に携わるプロが作ったもので、時間はだいたい3分から10分程度と短いものの、クオリティは非常に高い。アフリカに住む動物たちの生態を追った「動物たち」や、歴史に名を残した偉人たちの“スピーチ”に焦点を当てた「The Speech」などは、NHKあたりでそのまま放送されてもおかしくなさそうだった。
番組を見た後は、その内容がおもしろかったかどうかを○、△、×の3段階で評価。このとき、家族や友達と一緒に見ていれば、それぞれ個別に評価を送ることもできる。こういうところでさりげなく「みんなで一緒に見ると楽しいですよ」とアピールしているあたりに、この「Wiiの間」のコンセプトがなんとなく見え隠れする。また、見終わった動画は誰かに「おすすめ」したり、「お気に入り」に入れたりできるほか、DSiウェア「どこでもWiiの間」をインストールしておけば(ニンテンドーDSiショップで配信中・無料)、手持ちのDSiに転送して後から見直したりすることも可能だ。
そのほか、部屋の観葉植物をクリックすると(なぜ観葉植物なのかは謎)、パートナー企業の動画が見られる「会社の間」へ移動することも可能。ここではパートナー企業の新製品やCMをチェックしたり、DSiにダウンロードして使用可能な割引クーポンなどを取得(予定)できたりする。テレビ番組で言うならコマーシャル枠のようなものだが、セブン&アイの「セブンイレブンのヒミツ」や、ホンダのショートドラマ「ある日突然グリーンマシーン」など、ときおり普通に面白いコンテンツもあったりして侮れない。
とまあ、サービスの全容としては大体こんな感じ。まだ始まったばかりのサービスだが、まずは企画ありきで内容を吟味したのち、「1:パートナー企業から広告費を得て」、「2:クオリティの高い番組をプロが制作し」、「3:世帯普及率ナンバーワン&約4割がネット接続中のWiiで配信」と、資金調達から番組制作、配信に至るまでの有機モデルはちゃんとできあがっており、共同でサービスを展開する電通の本気ぶりがうかがえる。確かに、国内普及台数800万台以上、しかもそのうち半分近くがネット接続済みとなれば、昨今落ち込みが激しいテレビ広告に代わって、Wiiが新たな広告メディアに成長する可能性もなくはない。
また、見たい番組がなくても、ときおり「コンシェルジュMii」と呼ばれる、有名人の姿をしたMiiが部屋にやってきてオススメの動画を紹介してくれたり、カレンダーをクリックすると「その日のオススメ動画」を見ることができたりと、うっとうしくない程度に「Wiiの間」側からも動画をプッシュしてくれる作りもうまい。たぶん、リビングのテレビでは常にこの「Wiiの間」が表示されていて、それこそテレビを見る代わりに、家族みんなが「Wiiの間」の番組を自然に楽しんでいる――というのが、このサービスの目指す着地点なのだろう。そもそもWiiの「チャンネル」という概念自体、そうしたコンセプトに基づいて作られたものだが、それを広告屋・テレビ屋の視点から、より具体的なビジネスの形として再構築したのが「Wiiの間」であるとも言える。
ただ、最終的にこれらがうまく回るかどうかは、まだまだ未知数といった印象が強い。単純に番組の「視聴者数」で比べれば、まだまだWiiはテレビにはかなわないし、そんな一部の「Wiiの間」視聴者だけに向けて、これだけ力の入った(金のかかった)コンテンツを、今後安定して供給し続けられるかという心配もある。また何より、現時点ではやや堅苦しい内容の番組が多く、わざわざ「見よう!」と思える番組が少なかったのが気になった。もちろん実際に見れば面白いものも多いのだが、ドラマやバラエティ番組の刺激にどっぷり漬かった身には、ちょっと刺激が弱すぎる気がしなくもない。せっかくWiiという新しいメディアで配信するのだから、「NHKあたりでそのまま放送できそう」な番組ではなくて、もっと「ゲーム機でしか配信できないような番組」を多く提供していってほしい。
――などと、ついつい余計な心配もしてみたりしたものの、その試み自体はゲーム機の可能性を今後大きく広げ得る、ユニークかつ有意義なものだと思う。とりあえず今後の配信内容に期待しつつ、動向を楽しみに見守っていきたいところです。
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