「アホ毛はやめて!」 ネオロマCGデザイナーが語る“美男子”の作り方CEDEC 2010

「もっと器の大きい感じに」「アホ毛はやめて!」――女性向け恋愛ゲーム「ネオロマンスシリーズ」の開発現場では、キャラ制作に関して熱いやりとりが交わされている。魅力的な美男子を描くこだわりをCGデザイナーが語る。

» 2010年09月06日 18時19分 公開
[宮本真希,ITmedia]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
画像 ネオロマンスシリーズ

 「もっと器の大きい感じに」「アホ毛はやめて!」――女性向け恋愛ゲーム「ネオロマンスシリーズ」(ネオロマ)の開発現場では、キャラ制作に関して熱いやりとりが交わされているという。魅力的な美男子を描くためのこだわりを、コーエーテクモゲームスのCGデザイナーが、ゲーム開発者向けイベント「CEDEC 2010」で語った。

 ネオロマンスシリーズは、94年にスタートしたコーエーの女性向け恋愛ゲームの総称。「アンジェリーク」「遙かなる時空の中で」「金色のコルダ」など複数のシリーズを展開している。CEDECで講演したソフトウェア開発本部CG部の大森まゆこシニアリーダーは、10年前からネオロマのキャラCGを制作しているベテラン。「とにかく熱い」というネオロマファンの期待を裏切らないよう奮闘してきた。


画像 大森まゆこシニアリーダー

 ネオロマンスシリーズのキャラデザインは少女漫画家が担当。シナリオ担当者が考えたキャラ設定を漫画家に伝えて描いてもらい、それをもとに大森さんら社内デザイナーがCG化する。漫画家とシナリオ担当者双方の要望を受け止めて調整するのも大森さんの仕事。「威厳がある感じ」など抽象的な設定は具体的な要望に落とし込み、漫画家に伝える。

 高校生が音楽コンクールで勝利を目指すストーリーのゲーム「金色のコルダ3」に八木沢雪広というキャラがいる。吹奏楽部の部長で、おっとりしているが、芯の強さもあり、誠実という設定だ。これを漫画家に伝えたところ、かなり地味なイラストが出来上がったという。CGデザイナーたちは、ほかのキャラに埋もれないよう見た目に特徴が必要だと考えた。

 だがシナリオ担当者は、演出上地味である必要があると主張。意見が対立する中、「アホ毛をつけよう」「アホ毛はやめてください!」「ではマフラーをつけてみては」などと個性を表現するためのアイデアを出し合ったという。芯の強さを表現するため、普段のルックスは地味という結論に落ち着いたところ、ファンからは“ギャップ萌え”と好評だったと振り返る。


画像 八木沢雪広
画像 地味なルックスが……
画像 逆に「ギャップ萌え」と好評

 同作に、管弦楽部の部長の東金千秋というキャラも登場する。派手で尊大という設定を生かし、金髪のキャラCGを作成。シナリオ担当者に見せると「200人の部員を従える彼はいわば伊達政宗なんです。もっと器の大きい感じにしてください」と要望が返ってきたという。そこで、眉毛を釣り上げたり、あごラインをシャープにしたりとニュアンスを調整。器が大きく見えるよう試行錯誤でキャラ設定に近づけた。


画像 東金千秋
画像 原画からキャラCGを制作したところ「もっと器を大きく」と要望が
画像 器が大きく見えるよう修正

 「シナリオ設定と漫画家が描いた原画が絶妙に混ざり合ったCGを作るのが役割」と大森さん。女性向け恋愛ゲームのキャラは「美男子であることが必須」だが、ネオロマンスシリーズではこれまでに100人以上のキャラがおり、「ただ美男子というだけでは埋もれてしまう」ため、「美しいだけではなく、いかに特徴的で、魅力的にしていくかにこれからも挑戦する」と力強く語る。

画像 目パチ口パクアニメ

 ネオロマンスシリーズは、1作で約200点のキャラCGを3〜4カ月かけて制作。それぞれウエストアップ、バストアップなどサイズ別に加工するため、実際の納品数は2倍になるという。全工程でPhotoshopを使い、作業を「下絵」「線画クリンナップ」「目パチ口パクアニメ」など6段階に細分化して進めている。

 線画クリンナップはキャラの下絵を1本線でなぞっていく作業。目パチ口パクアニメは、着色された線画にまばたきや口の動きを加える作業だ。

 全行程をデジタル化することで修正しやすくし、各段階でチェックしながら進めることで、仕上げの段階でミスに気付き、最初の行程まで戻る――といったロスを防ぐ。大量のキャラCGを少ない工数で制作するための工夫だ。

 各工程で求められるスキルが違うため、すべてのスキルを習得するには経験と指導人員の確保が必要。「部下に寄り添い手本を見せながら、人員育成に取り組んでいる」という。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/22/news018.jpg 猫だと思って保護→2年後…… すっかり“別の生き物”に成長した元ボス猫に「フォルムが本当に可愛い」「抱きしめたい」
  2. /nl/articles/2411/22/news184.jpg 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  3. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  4. /nl/articles/2411/23/news025.jpg 「大企業の本気を見た」 明治のアイスにSNSで“改善点”指摘→8カ月後まさかの展開に “神対応”の理由を聞いた
  5. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. /nl/articles/2411/05/news138.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  7. /nl/articles/2411/22/news205.jpg 松田翔太、憧れ続けた“希少な英国製スポーツカー”をついに入手「14歳の僕に見せてあげたい」 過去にはフェラーリやマクラーレンも
  8. /nl/articles/2411/22/news047.jpg 「行きたすぎる」 入場無料の博物館、“宝石展を超えた宝石展”だと40万表示の反響 「寝れなくなっちゃった」【英】
  9. /nl/articles/2411/23/news031.jpg スーパーで売っていた半額のひん死カニを水槽に入れて半年後…… 愛情を感じる結末に「不覚にも泣いてしまいました」
  10. /nl/articles/2411/22/news051.jpg 自動応答だと思って公式LINEに長文を送ったら…… 恥ずかしすぎる内容と公式からの手動返信に爆笑 その後について聞いてみた
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた