China Joyに行ってきた、ついでにパイラシーって何だべ?くねくねハニィの「最近どうよ?」(その43)(3/3 ページ)

» 2011年08月12日 19時10分 公開
[ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

中国のパイラシーの現場を見た!

 PCの自由度から見ると、コンソールの制約は非常にうっとうしいものなのか、アジアではコンソールの出回りがイマイチ。もちろんハードだけでなく、正規版ソフトはまったくと言っていいほど買ってもらえない。いや、本当の理由は正規版を持って行ってもハードは改造されるわ、ソフトはコピーされるわってことで、どこも本気で持っていけないのだ。

 過去にWiiにそっくりな「Vii」というハードを発売した中国ですけど、結局はChina Joyで見られる通り、やっぱりPCがメインのゲーム市場。コンソールはコピー商品ばかりなのかと思い、滞在中に上海の秋葉原のような街と言われる「徐家氾」というところに行ってみたのですが、なにげに正規品もちゃんと売っていました。

 ただ、店の前でWiiの外付けハードディスクが堂々と展示(ソフト100本入り!)なんてことも当然あったりも。中身を確認したところ、あらゆるWiiの代表的なソフトが盛り込まれていました。このHDの価格は言い値で600元(約8500円くらい)。正規が1本5000円としても100本だから50万円分のソフトが入ってるってことになります。ユーザーにとっては相当お得。でもさ、ソフト作った人たちの気持ちはどうなるんでしょう?

 一番驚いたのは、PS3までパイラシーってこと。PS3の外付けHDがこちらも言い値で700元(約1万円)。100本分のソフト入りはWiiと同じなんだけど、クロスメディアバー(XMB)くりそつなメニューが現れて、何と日本語にも対応していたということ! 何てことでしょう。英語版&日本語版の新作ソフトがいろいろと入っておりました……。

 度肝を抜くのは、お店の中でスーパーの袋に大量に入ったDVD-ROM。中を見るとたくさんのXbxo 360向けソフトのコピーが入っており、1枚10元(140円くらい)で販売されていました。手に取ると、それは「Final Fantasy XIII」でした(涙)。



アジアだけではない……パイラシー問題

 大昔、ゲームボーイのソフトが50本入ってるカセットとか香港で見たときに、あーあと思っていたんだけど、まさか現在までこんな状況とはなぁと改めて驚愕した次第です。ネットの安全性もそうだけど、ソフトのコピー対策はいたちごっこ。どんな方策を用いても破って来るヤツがいるのは世の常なんですけどね。

 前述した通り、PSPは欧米でそれなりの台数をさばいているのにソフトが売れないのは違法サイトによるフリーダウンロードが正規購入を阻んでいるからと言われています。韓国でPSPが発売された後、まったく正規品が動かなかったのも同じ理由。もちろんソニーも闘っているけど、消しても消してもまた新しい違法サイトが生まれると言う、まさに悪のスパイラル。

 R4に至っては、スペインでは合法とのこと。メーカー側がスペイン語に訳したらそのままフリーソフトとして扱われるので、翻訳代も回収できないってことになる。そんなこと誰もやりたくなくなっちゃうよね。そんなこんなで、ソフト自体を発売することもままならない状況を招くパイラシー問題なのでした。

 コンソールやハンドヘルドの場合は、やっぱりハードメーカーの責任だとハニィは思うんです。そのハードの制約を守って、そのハードのために頑張って作ったサードパーティは、「コピーされちゃった」じゃ済まないと思う。

 新ハードであるニンテンドー3DS、PS Vitaともにココのところ、よろしくお願いしたいところですね。サードパーティがきちんと開発費を回収できる前提でしかソフトビジネスって成り立たないんですから。

オンラインが救う?

 中古のお話をしたときにも言ったけど、こんなパイラシー問題を解決する手段として、オンライン対戦や追加DLCがあげられるとは思います。パッケージのIDと照合することによって、ネット接続を制約することができるからです。ゲームのスタンドアローン部分はやむを得ないとしても、本来楽しむべきネット部分は正規でないと遊べないって制約をソフト側に仕込むことができるからね。

 例として挙げられるのは、Blizzardの「Diablo3」。シングルプレイであるにもかかわらず、常時ネット接続を要求しているのだ。Blizzard側の説明ではプレイヤー同士がアイテム販売を行うにあたりゲームの改造まで行われない様に監視するため、とのこと。ただし、Blizzardはこのユーザー間の取引に関してネット上で手数料をチャージしている。PtoPであれば見過ごしていたはずの課金を実現しているところも、本来のコンテンツプロバイダーとしては正しいかなとハニィは考えます。

 また、ちょっと前に紹介したEAの「Project Ten Dollars」では、新品を買った人だけがアクティベートされるコードが入っていて、中古購入者がオンラインで遊ぶためには別途オンラインパスを10ドルで購入しなくてはいけないって説明したけど、これは違法コピーした人も同じ。実際には中古もパイラシーも認めてることになるではないか! とも言えるけど、オンラインの際にきちんと課金するって意味では「タダで遊ぶ! は許さない」方策なんですね。

 欧米ではPC市場が昔から大きかったことがあって、中古やパイラシー問題にずっと悩まされてきたわけで、対策の意味でネット戦略が日本より先行してるのもうなづけます。

 ただし、こちらもセキュリティを破られてしまえば元も子もないんだけど、何も手立てをしないよりはリスクが下がるということは間違いないでしょう。

ハニィのあとがき

 China Joyのために7月末から中国に行ってたハニィですが、出発前日にぎっくり腰、出張中は顔面アレルギー(どうやら黄砂アレルギーの模様)に見舞われ、散々な出張になってしまいました。ただ、いろいろと考えることは多かったですね。

 北米市場が縮小して、中国市場が拡大って話になれば、必然的に中国への進出を考えなくちゃいけません。でも、パイラシー問題やインストールベースを考えると、既存のコンソールプラットフォームビジネスは難しいなと思ってしまう。

 そう考えると、PCやスマホなどのプラットフォームへの展開は急務かもしれない……って言うか、そのプラットフォーム議論すらムダかもしれないなと思ったりもします。5月、6月の北米市場ソフトランキングを見てもお分かりの通り、ワンソースマルチユースの観点から考えれば、プラットフォームに依存するソフトの限界を感じます。コンテンツをできるだけ多くのユーザーに! と考えれば、どのハードであろうと遊べるってのがユーザーにとって一番嬉しいことのはずなんですからね。

 そんなこんなで、この夏はドイツのケルン行われるGamesCom(8月17日から開催)に行ってきます! 実はライプチヒのGame Convention以来初めてのヨーロッパ取材なのだ(汗)。こちらも帰国後報告したいと思っています。と、言ってるうちに日本でもCEDEC、東京ゲームショウとイベントが続きますな〜。マーケットも忙しくなってくれることを祈って。ではでは行ってきまーす♪

くねくねハニィのプロフィール

1967年アメリカサウスダコタ生まれの日本人。

小学生からはゲームセンターに通いまくってやたら大きく育つ。

1990年に都内K大学を卒業後、大手ゲーム会社にて海外ソフト担当となり、2001年に退職。それ以降は自称フリーのゲームアナリストとして暗躍。暗躍しすぎたので名前を変えて表舞台に。くねくねと唐突に現れて「親父ギャグ」をかまして周りの人々のレベルを下げまくる。独特の語り口調ですが、もう慣れてくださいとしか言えません。言ってる中身は至極マジメなので。ちなみに「風来のシレン」が好物で、名前もそこから借用。なんだか公認してもらったそうです。


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  2. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. /nl/articles/2411/14/news042.jpg 夫「250円のシャインマスカット買った!」 → 妻が気づいた“まさかの真実”に顔面蒼白 「あるあるすぎる」「マジ分かる」
  4. /nl/articles/2411/14/news090.jpg ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  5. /nl/articles/2411/14/news167.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. /nl/articles/2411/14/news187.jpg 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. /nl/articles/2411/13/news162.jpg 「情報操作されてる」「ぜーんぶ嘘!!」 175R・SHOGO、元妻・今井絵理子ら巡る週刊誌報道を一蹴 “子ども捨てた”の指摘に「皆さん騙されてます」
  9. /nl/articles/2411/14/news035.jpg 160万円のレンズ購入→一瞬で元取れた! グラビアアイドル兼カメラマンの芸術的な写真に反響「高いレンズってすごいんだな……」「いい買い物」
  10. /nl/articles/2411/12/news194.jpg 「予約しました」 サッポロ一番の袋に見せかけた“笑っちゃいそうなグッズ”が話題 「サッポロ一番味噌ラーメン好きがバレちゃう」
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた