「徹底した考証と確かな技術に強い情熱」――タミヤが戦艦「大和」フラッグシップモデルを初公開全日本模型ホビーショー

模型ホビーショーで初公開されたタミヤ「1/350艦船シリーズ 日本戦艦 大和」。戦艦に詳しいPC USER編集部の長浜和也が解説する。

» 2011年10月14日 21時48分 公開
[ITmedia]
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 タミヤは10月13日、戦艦「大和」のフラッグシップモデル「1/350艦船シリーズ 日本戦艦 大和」の完成品を全日本模型ホビーショー(幕張メッセ)で初公開。全長約80センチ、350分の1スケールで再現された大和は会場でも多くの参加者の注目を浴びていた。11月下旬発売予定。価格は2万3000円。

「1/350艦船シリーズ 日本戦艦 大和」

 タミヤが「徹底した考証と確かな技術に強い情熱を込めた」という同モデルの魅力はどこにあるのか、アイティメディア社内で“キャプテン”の愛称で呼ばれ、戦艦に詳しいPC USER編集部の長浜和也は以下のように解説している。

“キャプテン”長浜による解説

 軍機扱いだった大和級は、終戦から60年以上が経過した段階でも新しい資料発見され、旧バージョンの開発当時では分からなかった新しい事実が判明しているため、リニューアル版では最新の考証に基づく変更が反映されるのが通例となっている。

 タミヤでは1998年に、700分の1スケールのウォーターラインシリーズで「大和」のリニューアルを行っているが、より細部の再現が可能になる今回の350分の1スケールの大和でも、最上甲板に増設された三連装25ミリ機銃の八角型ブルワークや、後部マスト下部の三脚構造と最終状態における支柱レイアウト、同じく最終状態における前部艦橋基部の兵員待機所と旗甲板の大型化など、最新資料による考証結果が反映された。

 また、最新の金型技術による精度の高いモールドを施すことで、12.7センチ高角砲シールドの観測窓シャッターや高角砲本体側面、主砲射撃指揮所頂部の観測鏡細部をモールドで再現したほか、煙突の蒸気捨管にいたっては1本単位で別パーツにするなど、金型の精度向上による細部再現のほか、金属製のディティールアップパーツを標準で付属することで、クレーンや補強ステー、アンテナ部分で精度が向上している。

 今回リニューアルして登場した350分の1スケール大和は、対空機銃や電探を最も多く増設した、見た目に最も複雑で性能的にも最も強化され、そして、戦史や映画などで悲劇として紹介される機会が多い1945年4月における最終状態を再現している。それ以前の、レイテ海戦や竣工当時の状態を再現したキットの出荷は、今のところ考えていないという。ただ、海戦ファンとしては、レイテ沖海戦における姿や、戦艦としての大和の設計思想が最も忠実に具現化された竣工当時の姿というのも、興味深いのではないだろうか。

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