「D1GP Kick Off Drift」で新旧ハチロクがツインドリフト! デモランでドリフトを体験した:ナニコレ
うおおお、車が横に進んでいる! バケットシートと4点ベルトによってガッチリ固定された記者が涙目になりながらプロのドリフト走行を体験した。
東京オートサロン2012(1月13〜15日、幕張メッセ)の屋外会場で1月13日、ドリフト走行の競技大会「D1GP(ディーワングランプリ)」のキックオフイベントが開催され、新旧ハチロクによるツインドリフトやオープンカーバージョンのLFA登場に会場は大いに盛り上がった。観客を乗せたデモランも行われ、記者もドリフトを初体験させてもらった。
車が横に進む!
D1GPは2001年にドリキン(ドリフトキング)の愛称で知られる土屋圭市氏らが中心になってスタートしたドリフト走行の技術や美しさを競う大会。今回のイベントは、4月の「2012 D1GP」第1戦を前にキックオフとして開催された。
会場は幕張メッセの屋外駐車場に作られた幅100メートル、奥行き50メートルほどの特設コース。撮影の準備をしていると、目の前で練習をしている車がドリフトをしてあっという間に駆け抜けていく。うおおお、車が横に進んでいる! なぜこの広いとは言えないスペースであれだけの正確な高速走行ができるのか理解できない。コースには小さな赤いパイロンが置かれているだけなのだ。
1台がドリフトして通り過ぎるとコースには白煙が立ち上り、数台で連なって走行すると会場が真っ白になってしまうほど。路面には黒いタイヤ痕が無数に残り、タイヤの削れたカスがそこら中に散らばってすさまじさを物語っていた。
イベントには川畑真人氏(日産・180SX)、手塚強氏(日産・スカイラインGT-R)、熊久保信重氏(日産・ローレル)などのレーサーが参加。トーナメントの対戦者が交代でドリフト走行し、点数のよかったほうがツインドリフトの先行・後追いを選び、その結果で勝者を決めるという新しい競技スタイルで進められた。途中、競技採点システムが動作しなくなるアクシデントもあったが、川畑真人氏が先行車にギリギリまで近づく“超ビタビタ”ドリフトを見せるなど、他を圧倒し初日の勝者となった。
競技前のデモンストレーションでは、新型ハチロク(FT-86)が登場し、旧モデル(AE-86)とのツインドリフトを見せて観客を沸かせると、今度は白いオープンカーが登場。まさかのレクサス・LFA(オープンカーバージョン)に会場は大きな拍手に包まれた。
同乗走行で初ドリフト
キックオフドリフト終了後は、観客を乗せた出場車がコースを一斉に周るデモランが行われ、記者も体験乗車させてもらった。デモランの時間が近づくにつれて、緊張で何やら気持ち悪く……。お昼に揚げ物中心のお弁当を食べたことを激しく後悔した。
スタッフからヘルメットを渡されると、会場裏のピット代わりになっている道を横切って移動する。道路はコースから戻ってきた車や発進する車、修理の車などがせわしなく動いているため大変危険で、スタッフがキビキビと誘導していく。その緊張感を受けて涙目になる記者。おお、お腹が痛い。
緊張しながらも、どの車に乗せてもらえるのかワクワクしていると、誘導されたのは愛称「クニさん」こと高橋邦明氏がハンドルを握るトヨタ・マークX(GRX130)。「ランエボやRX-7ならともかくマークXがドリフトをするのか!?」と驚いてしまうが、なんとチューンアップされたクニさんのマークXは、推定950馬力というモンスターマシンなのだ。
「よろしくお願いします!」と挨拶をして助手席のバケットシートにすっぽりおさまると、スタッフが素早く4点ベルトで体を固定してくれた。「すっごい緊張してるんですよ」と話すと「ハハハッ」と笑うクニさん。走るとき緊張するか聞いてみたところ、まったくしないという返事。あれだけの走りを毎日していれば当然か……。
車が動き出すと、あっという間の加速に体が座席に押しつけられる。先ほどのレースでも見ていた通り、ものすごいエンジン音が車内にも響き渡り、キュキュっとタイヤを鳴らして、車がコースに突入。すっすごいぞ、これは。
さすがに右に左に動く車内で動画撮影をするのは難しかったが、今回は駐車場を利用しているため高速コースではないということもあり、思っていたよりも過酷な環境ではなかった。もちろん加速度は感じるが、絶叫系のジェットコースターほどではない。何よりバケットシートと4点ベルトの安定感、そしてクニさんの運転テクニックが抜群なのだ。
コースを2周して、体験乗車は終了。ほんの数十秒の間に目の前の景色はぐるんぐるん回り、体はシートに包まれながらも右に左に揺さぶられ、タイヤの音と匂いに五感、もとい四感を刺激された(幸いお弁当をリバースせずに済んだので味覚は体験しなかった)。
何やらすごい体験をしてしまったという高揚感を引きずったまま会場を歩いていると、ドリフト走行レッスンの看板が目に入る。ドリフトの奥深さを体験してしまうと、どうしても気になってしまう。受けてみようかなと思ったのだが、1つ問題があることに気付いた。そう、記者は車を持ってないのだ。
ドリフトキングへの道は険しい。
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