スマートフォンの普及はゲーム人口を増やすチャンス――田中良和グリー社長講演リポート:TGS2012【基調講演】
昨年に引き続き基調講演に登場したグリーの田中社長。今回は、グリー、そしてソーシャルゲームの未来についてを熱く語った。
通信環境が変化する今年、来年はコンテンツのリッチ化への過渡期となる
「アウェー感がある」と切り出した昨年と違い、誰より注目される立場となった今年の田中良和氏にアウェー感はなかったに違いない。基調講演では「ゲームショウ会場で面白そうなゲームが沢山あるのを見て、ゲームを仕事にすることのうれしさを実感しています」という言葉から、ソーシャルゲームのすすむこれからについてを語り始めた。
田中氏は、まずソーシャルゲームの進化が進む過程ではネットワークと携帯通信機器の進化が大きいことを挙げ、「スマートフォンやLTEの普及が進む今年、来年はソーシャルゲームの過渡期にあたり、ゲームの中身についてもより高性能なハード・ネットワークに対応したものへの進化が求められています」(田中氏)と分析する。その可能性の例として、「Monster Hunter Massive Attack」(カプコン)「METAL GEAR SOCIAL OPS」(KONAMI)を例に挙げ「コンソールのゲームと同じレベルのリッチなグラフィックを実現し、さらにソーシャル性を盛り込まれるタイトルが続々登場するでしょう」(田中氏)と紹介した。
また、田中氏は今後ソーシャルゲームについて求められるものとして「高い物語性」を挙げ、「これまでゲームに留まっていたものをさらに拡げ、ゲームからアニメ、グッズといった展開することで、ゲーム内のキャラクタや世界観を愛していただきたいと考えています」と語った。グリーではIP戦略へのための別会社を設立、第一弾として「探検ドリランド」のアニメ放映を今秋より開始し、「釣り☆スタ」「モンプラ」などのiPhone 4/4S対応カバーを9月20日より販売することを明らかにした(現在、「GREE Shop」に商品カタログが掲載されており、Amazon/Yahoo!ショッピングより購入可能)。
スマートフォンを通じたグローバル化は、新興国を中心に多くの人にゲームを楽しんでいただけるチャンス
さらに、現在大きなテーマとされている「グローバル化」について、田中氏はスマートフォン、そして新興国が鍵となるという。「現在、スマートフォンが爆発的に普及している新興国では、これまでゲームビジネスが進めにくかった地域もあります。スマートフォンを通じこれら新興国でもゲームが普及することで、より多くの人にゲームを楽しんでいただける時代に変わっていくと考えています」(田中氏)。その実現のため、現在グリーが展開するプラットフォーム「GREE Platform」について、プラットフォームの定義の見直しも含め、さらなる進化とサポートを続けていくことを表明した。
また、新興国向けという視点では、開発拠点のグローバル化も同社の目標として挙げていた。現在グリーは10カ国・11地点に拠点を構えているが、開発は日本の2箇所とサンフランシスコ、ソウルで行われている。これは「短期的には日本などでコンテンツを制作した方がクオリティも高い」(田中氏)という理由によるものだが、「中長期的にはその地域ごとローカルで開発した方がよいと思われるので、いずれは開発拠点を増やしていく予定」(田中氏)という。
最後に、田中氏は重ねて「現在は、スマートフォンを通じてより多くの人にゲームを使っていただけるチャンス」と語り、「自分たちの作ったゲームが世界中の人に使っていただける、ということのありがたみ私自身日々感じています。そのことを皆さんとも共有し、ゲームの新しい時代を切り開いていきたいと考えています」と講演を締めくくった。
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