ウェアラブルデバイス使用に許される“境界”――人間の能力を拡張するためのルールとは
広く「人間の能力を拡張するもの」と解釈できるウェアラブルデバイス。その使用が許される“境界”については、今後必ず激しい議論が起こることだろう。
スポーツメーカーのミズノが先日、ランニング用の眼鏡型ウェアラブルデバイス「SCOUTER」(スカウター)の開発を発表した。専用アプリと連携し、走行中にコースマップや走行距離、走行時間、消費カロリーなどの情報を表示できるようにするものだ。2015年度内の発売を目指しているという。
ウェアラブルデバイスはやはりランニングやジョギングとだいぶ相性が良いようで、ソニーが発売したスマートイヤフォン「Smart B-Trainer」など、数々の意欲的な製品が登場し始めている。未来のランナーは、もしかするとだいぶいろいろなモノを身に着けて街を走ることになるのかもしれない。
こうしたガジェットは、広く「人間の能力を拡張するもの」と解釈できるだろうが、トレーニング時や趣味での利用ならともかく、公式の大会などでどこまで使用を許されるかについては、今後必ず激しい議論が起こることだろう。
例えば同じアイウェア(眼鏡)型でも、こんなものがあった。プロ棋士とコンピュータ将棋ソフトがペアを組んで対戦する「電王戦タッグマッチ」(棋士とコンピュータが対戦するのではなく、棋士とコンピュータが力を合わせて戦う)で使われた、将棋ソフトの読み筋や形勢判断をリアルタイムで確認できるデバイスだ。タッグマッチでは、このソフトの読み筋を棋士側が信用したりしなかったり、あるいは最初からまったく確認しようともしない棋士がいたりと、さまざまな見どころがあって楽しめたのだが、一方で「プロがソフト指し(※)をするなんて……」といった声が一部から上がっていたことも事実だ。
ミズノのスカウターに話を戻すと、このデバイスには、ペースメーカーとして使用者を先導してくれるバーチャルなランナーを表示する機能、いわゆる「ゴーストランナー機能」があるという。コースマップや現在の走行距離を表示できる程度ならともかく、「ゴーストランナーの有無」でペース配分に差がつき、タイムを含めた結果が大きく変わってくるようであれば、大会などでどこまでをルール上“セーフ”と見なしてよいのかはさらに難しくなる。
個人的には、こうしたガジェットで人間がどこまで速く、強く、賢くなれるのかを見てみたい気持ちもあるのだが、一方で早急なルール整備の重要性も容易に想像がつく。現時点でのウェアラブルデバイスは、まだまだ「普通の眼鏡ではない」ことが見た目で簡単に判別できるが、将来的に限りなく通常の眼鏡に近づいたとき、問題は必ず顕在化してくるだろう。たとえば入学試験時などに、空港での持ち物チェックのように身体検査をされるような未来がやってくるのは、そう遠くないことではないはずだ。
我々が夢想した「未来のガジェット」は、決して便利なだけでは普及しない。どこまで既存のルールに沿った形で世の中に浸透していけるか、あるいは既存のルールを破壊して新しいルールを創出していけるかが、こうしたガジェットの将来、ひいては、(少々大げさなようだが)「人類のテクノロジーとの付き合い方」を決定づけていくことになるのだろう。
関連記事
- 排泄予知ウェアラブル「D Free」 超音波で腸内を分析、子育てや介護を支援
“排泄予知ウェアラブル”として先日発表され、Web上で話題を呼んだ「D Free」。“Wi-Fiルーター”にも見えるスタイリッシュなデザインが特徴だが、その正体とは――。 - 「Google Glass」――それはビッグブラザーか、ドラえもんか
スマートフォンでできることをハンズフリーで、声だけで行うことができるメガネ型ウェアラブルの代名詞「Google Glass」。もしGoogle Glassがスマホに置き換わったとき、社会はどのように変わってしまうのだろう? - “肉体というセンサー”をだます装置――「Oculus Rift」
ゴーグルをかけるだけで仮想世界を訪れることができる、仮想現実(VR)ヘッドセット「Oculus Rift」。このSFのような技術は、ただ単にエンターテインメントとして使われるのに留まらない。現実世界の常識をも変えてしまうパワーを持つのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”の家族に反響 ジュノンボーイの幼少期が香取慎吾似?【コンテスト特集2024】
-
「こんなおばあちゃんになりたい」 1人暮らしの93歳が作る“かんたん夕食”がすごい! 「憧れます」「見習わないといけませんね」
-
「やばいやばい」 ブックオフに990円で売っていた“まさかの掘り出し物”に大興奮 「ラッキーすぎる」
-
中2長女“書店で好きなだけ本を買う権”を行使した結果…… “驚愕のレシート”が1300万表示「大物になるぞ!!」「これやってみよう」
-
夫が“23歳年下”の51歳女性、パートナーのため“若々しく激変”した姿にスタジオ驚愕&絶賛の嵐 相手も「マジっすか!?」「めちゃめちゃキレイになって……」
-
西城秀樹さんの21歳長男、「微笑んだ顔がパパとそっくり」「若い頃のパパに似てきた」と話題【注目の“二世タレント”】
-
【ハードオフ】たった“1650円”のジャンク品を持ち帰ったら…… “まさかの結末”に仰天 「中古店は宝の山」
-
「ドラクエ3」を楽しみに帰宅した夫、玄関で見つけたのは…… 妻の粋な計らいに「惚れてまうやろおおおお」
-
ドクダミを抜かずにハサミでカット→1週間後…… 思わぬ発見続々、驚きの結果オンパレードに「これは凄い」
-
犬を乗せてドライブ→病院を通り過ぎると……? “素直すぎる反応”に「かわいすぎるやろがい」「頭いいですね!」
- ryuchellさん姉、母が亡くなったと報告 2024年春に病気発覚 「ママの向かった場所には世界一会いたかった人がいる」
- ハードオフに1650円で売られていた“まさかの掘り出し物”→修理すると…… 見事な復活劇に「相場が上がってしまうw」
- 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに……衝撃の経過報告に大反響 2024年に読まれた生き物記事トップ5
- 北海道の用水路で“巨大な外来魚”を捕獲→さばいてみると…… 中から出てきた“ヤバすぎる物体”に大興奮「ずっと釘付け」
- 【ハードオフ】2750円のジャンク品を持ち帰ったら…… まさかの展開に驚がく「これがジャンクの醍醐味のひとつ」
- 「脳がバグる」 ←昼間の夫婦の姿 夜の夫婦の姿→ あまりの激変ぶりと騙される姿に「三度見くらいした……」「まさか」
- 幼稚園の「名札」を社会人が大量購入→その理由は……斜め上のキュートな活用術に大反響 2024年に読まれた面白記事トップ5
- 米津玄師、紅白で“205万円衣装”着用? 星野源“1270万円ネックレス”も話題…… 「凄いお値段」「びっくりした」
- 【今日の難読漢字】「手水」←何と読む?
- サバの腹に「アニサキス発見ライト」を当てたら……? 衝撃の結果に「ゾワっとした」「泣きそう」と悲鳴 その後の展開を聞いた
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
- 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」