第24回 Apple Watchを試着することで得られる体験“ウェアラブル”の今

Apple Watchは、今までのアップル製品とは異なり、購入する前に試着することが推奨されている。試着は15分ほどの時間だが、その短い時間でも、より個人的な体験や印象などが、試着した人それぞれに生じるのだ。

» 2015年04月13日 06時00分 公開
[松村太郎ITmedia]
Apple Watchを試着

 2015年4月10日、世界中のアップルストアや主要都市の百貨店などで、「Apple Watch」の展示が始まった。また同日の米国太平洋夏時間0時01分(日本時間では16時01分)から、オンラインでの予約が始まっている。特に人気があるのはApple Watch Sportで、オンラインストアの表示によると、現段階でオーダーしても出荷は6月になる見込みだ。

 今回のApple Watch発売に際して、アップルストア店頭での予約受け付けや販売は行われていない。実際に販売開始となる4月24日以降どうなるかはまだ明らかになっていないが、当面はオンラインストアで予約を受け、発売日以降順次配送するという方式を採っている。

 発売日ではなかったこと、店頭での受け取りができないこともあり、アップルストアの前には、「iPhone」のときのような行列はできていなかった。比較的金額が高い点、ブランドを大切にする点、あるいは行列が必ずしも良いブランドの象徴ではないこともあり、行列ができない対応に切り替えていたのも印象的だった。

Apple Watchを試着 予約の時間になり、スタッフに出迎えられて試着セッションに向かう顧客。約15分の時間を最大限に使ってApple Watchの着け心地を試すことができる

アップルストア店頭で行われる展示と試着

 アップルストア以外でも、百貨店の伊勢丹 新宿店、その他一部のApple正規販売店で、Apple Watchの展示が始まっている。

 展示の方法はどの場所でもほぼ同じで、中央にガラスケースが埋め込まれた専用のテーブルに各モデルが展示されている。ガラス1枚を隔てているが、かなり間近で実物を見ることが可能だ。展示機の電源は入っており、Apple Watchの機能を紹介するデモ画面が再生されている。

 展示と同時に、試着の対応が始まっている。筆者はアップルストア 表参道を取材したが、開店が9時に早められた展示開始当日、7時30分の段階で10人ほどの試着希望の人々が行列を作ったが、すぐにスタッフが「試着予約」を取り、行列は解散された。

 試着予約を行うと、15分程度の予定で試着時間が割り当てられる。時間が近づくと、SMSが届いて案内されるため、Apple Store店内で待たなくてもいい。Apple Storeの入り口までいくと、試着担当のスタッフに出迎えられて、試着セッションが始まる。

Apple Watchを試着 試着のセッションは新たにApple Store内に用意された専用のテーブルで行われる。時計を扱うためのマットと、Apple Watchが収納されている引き出しがあり、好みのモデルを素早く、サイズを合わせながら試すことができる

実際に接客を受けると分かること

 Apple Watchの試着は、「スムーズさ」に気遣われているという印象だった。

 Apple Watchの発売日が発表された3月9日以降、オンラインのApple StoreやApple Storeアプリ上からApple Watchの好みのモデルに「お気に入り」(ハートマークのアイコン)をセットしておけるようになっている。

 Apple Watchの試着予約の際、Apple IDでチェックインすると、店舗のスタッフはこのお気に入りを把握でき、どんなモデルを中心に試着したいか、どんな好みを持っているか、といったニーズに応えながらの接客が行われる。

 また、普段どんな服装をしているのか、Apple Watchをオンタイム、オフタイムのどちらを意識して選ぶのか、といった実際の生活の中でApple Watchのコーディネートについても気遣われているのが印象的だった。

 例えば、スポーツモデルを選ぶ際、男性の場合はブラックモデルを選んでスーツに合わせやすくしたり、通常モデルのメタルやレザーのバンドを選んでおいて、スポーツバンドをプラスしたり。

 まだ試着が始まったばかりなので傾向などはつかめないかもしれないが、それでも試着で男性に人気だったバンドがミラネーゼループであることや、それにとらわれず、どうやって個性的なコーディネートを作り出すかについて、一緒に考える時間でもあった。

 15分のセッションが終わってみると、Apple Watchの試着は、15分間、スタッフの方と「Apple Watchについて深く会話する時間であった」と振り返ることができる。

Apple Watchを試着 Apple Watchは、リンクブレスレットも含め、どのモデルでも素早くサイズを調整することができるよう工夫されていた。また、男性向けの場合、多くの一般的な高級腕時計よりも軽い作りになっている

より個人的な体験や印象が生じる「試着」

 確かにこれまでAppleのWebサイトやさまざまなメディアのニュースでApple Watchについて知ることができたし、筆者も原稿を書いてお伝えしてきた。もちろんこれらの情報は有用であったし、そうなるよう努めてきた。

 Apple Watchをアップルストアで試着すると、今まで触れてきたApple Watchに関する情報が、より広範な人々を対象にした、一般的なモノであったことが分かる。つまり、これらとは別に、試着をすると、より個人的な体験や印象などが、試着した人それぞれに生じるということだ。

 AppleはApple Watchについて、非常にていねいに初期の体験から作っていこうとしていることが伝わってくる。Apple Watchほどの丁寧さを他のすべての製品に適用するかどうかは分からないが、例えばiPhone、Mac、Apple Watchをコーディネートして買う人も現れるかもしれない。

 アップルストアで時計を買うという体験は、時計について、あるいは自分がどんなスタイルでテクノロジーを使いたいのか、ということを議論して気づかせる場だった。

 Apple Watchに興味がある人は、Webと実店舗での体験と、それらの連携について、一度経験してみると、今までの製品との違いをより明確に知ることができるだろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  2. 「驚愕の修理代」の金額明かす お見送り芸人しんいち、約2000万円の愛車が故障で「終わった」「お金がないです」
  3. プロ警鐘「エアコン、夏が終わったらコレやらないと……」が530万再生 水漏れや“内部のスライム化”を防ぐコツが目からウロコ
  4. “医療ミス”で両頬に大きな火傷 「鏡見るたび涙が止まらない」フォロワー24万人のモデルが悲痛の声 「周りの目が怖い」
  5. スーパーで買ったニンニクを土に植えると…… ぼこぼこ増える驚きの簡単栽培に「たくさん出来て最高」「植えてみよう」
  6. 「これは合格出せない」 リンガーハットがジョブチューン挑戦→“まさかの不合格メニュー2品”に騒然
  7. 「全く動けません」清水良太郎がフェスで救急搬送 事故動画で原因が明らかに「独りパイルドライバー」「これは本当に危ない!!」
  8. 「本当に56歳…?」 “王騎”大沢たかお、“腕と足の太さがほぼ同じ”の圧倒的肉体を披露 「かっこよすぎる」
  9. モグラに似てる“ヤベぇ虫”を、2カ月育ててみたら…… 感動の展開に「これはマジで凄い」「学術発表レベル」
  10. カインズの「撒くだけで防草できる砂」本当かどうか検証してみたら…… 驚きの結果に「魔法のような砂、買いに行きます!」「これさえあれば」
先月の総合アクセスTOP10
  1. “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
  2. 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
  3. 友人に「100円でもいらない」と酷評されたビーズ作家、再会して言われたのは…… 批判を糧にした作品が「もはや芸術品」と490万再生
  4. 高校3年生で出会った2人が、15年後…… 世界中が感動した姿に「泣いてしまった」「幸せを分けてくださりありがとう」【タイ】
  5. 「ま、まじか!!」 68歳島田紳助、驚きの最新姿 上地雄輔が2ショット公開 「確実に若返ってる」とネット衝撃
  6. 荒れ放題の庭を、3年間ひたすら草刈りし続けたら…… 感動のビフォーアフターに「劇的に変わってる」「素晴らしい」
  7. 食べた桃の種を土に植え、4年育てたら…… 想像を超える成長→果実を大収穫する様子に「感動しました」「素晴らしい記録」
  8. 「天才!」 人気料理研究家による“目玉焼きの作り方”が目からウロコ 今すぐ試したいライフハックに「初めて知りました!」
  9. 「エグいもん売られてた」 ホビーオフに1万1000円で売られていた“まさかの商品”に「めちゃくちゃ欲しい」
  10. 義母「お米を送りました」→思わず二度見な“手紙”に11万いいね 「憧れる」「こういう大人になりたい」と感嘆の声