ワークアウトの充実と新たなライフスタイルの提案が見えた「Apple Watch Series 2」:“ウェアラブル”の今(1/2 ページ)
Apple Watchの新モデル「Series 2」は、これまでのファッション路線を軌道修正し、スポーツ関連機能の充実にかじを切ってきた点が興味深い。またGPSやFeliCaなど、新たな使い方を提案するデバイスの搭載にも注目だ。
Appleは、9月7日のプレスイベントで、「iPhone 7」シリーズとともに「Apple Watch Series 2」を発表した。今回、発売前の「Apple Watch Series 2 スペースグレイアルミニウムケース 42mm」を試用する機会を得たので、実際に使ってみたインプレッションを一足先にお届けしたい。
まず、Apple Watchのシリーズ展開には若干の変更が加えられた。今回レビューするモデルはアルミニウムケース。このケースに対しては、これまで、「Apple Watch Sport」というカテゴリー名が与えられてきた。
しかし新製品では、アルミニウムもステンレススチールも、Apple Watch Series 2という製品の名称に統合され、ケースの素材は商品名で判別するようになった。
またApple Watch Editionモデルは、Series 2にも用意されているが、100万円を超える18金のモデルなどはなくなり、真っ白なセラミック素材を使ったモデルが用意された。
なお、これまでのApple Watchシリーズについては販売が終了した。そして、Apple Watch Sportだったアルミニウムケースのモデルをベースに、デュアルコアCPU搭載にリニューアルした「Apple Watch Series 1」というモデルが、より安価なApple Watchとしてラインアップされている。価格は2万9424円(税込)と、3万円を切る価格を実現した。
スポーツへのフォーカス
Apple Watchの顧客からのニーズの中心は、コミュニケーションやアプリ利用ではなく、やはりアクティビティトラッキング、スポーツだったようだ。Apple Watch Series 2(以下Apple Watch 2)では、GPS内蔵と防水機能の対応によって、その性格をより強くした。
Apple Watch 2が搭載したGPSは、ワークアウトでの屋外ランニングや屋外ウォーキング、後述の水泳対応のうち、オープンウォータースイミングなどで、正確な距離測定を提供する。同時に、経路の記録を行うことができ、iPhoneのアクティビティアプリでは、ワークアウトで通った場所の地図を表示可能だ。
スポーツウォッチには、これまでもGPSを搭載するモデルは存在してきた。しかし、GPSによる位置情報の取得には時間がかかるという問題点があった。その点、Apple Watch 2では、iPhoneと同じように、Wi-Fiの電波や普段の生活圏内におけるキャッシュを利用し、瞬時に位置情報をつかむことができる。
そのため、iPhoneを家において出かる際、すぐにワークアウトを起動して走り始めても、出発点からの位置情報をきちんと記録してくれた。走った場所や距離などを記録しているユーザーにとっては、Apple Watch 2は、GPS機能だけでも、十分な魅力を話すことになる。
水中への対応
Apple Watchは同じデバイスでアルゴリズムを開発することで、さまざまなスポーツや、車いすでの計測に対応してきた。しかし防沫性能しか備えたなかったため、水の中でのスポーツには踏み込むことができなかった。
Apple Watch Series 2は、50m防水を実現し、水泳中やサーフィン中でも着けっぱなしで楽しめるようになった。ここには、ハードウェア面、そしてソフトウェア面での新たなエンジニアリングが施されている。
防水の腕時計は、外側のケースで水を防ぐ構造が一般的だ。しかしApple Watch 2は、効果音などを鳴らすためのスピーカーを排除することができず、マイクとともに穴を空けておかなければならない。
水に入れば、当然この穴からスピーカーまでが水で満たされる。スリットは細く、振っただけではなかなかスピーカーから水滴が離れない。そこで、水中での使用を終えると、スピーカーからビープ音を鳴らして、水滴を外に排水する仕組みを備えた。
ビープ音が鳴り始めると、数回は水でこもった音が聞こえていたが、やがてその音がクリアになり、効果のほどを体験することができた。
また、水中ではタッチパネルの誤動作が起きる可能性があるため、ウォーターロック機能を用意し、画面が操作できないよう工夫している。デジタルクラウンを回すと、前述のビープ音とともに、操作可能になる仕組みだ。
スイミング向けの新たなアルゴリズム
Appleは新たなワークアウトをApple Watchに導入するたびに、自前のラボでの実験を行い、正確にカロリー計測を行えるアルゴリズムを作り上げてきた。スイミングの場合も例外ではない。
水泳に対応するメニューとしては、屋内での「プールスイミング」と、屋外の海などで泳ぐ「オープンウォータースイミング」の2つのワークアウトが用意される。水泳を計測する際は、このいずれかのワークアウトを始めるだけで良い。
屋外でのスイミングの場合は、GPSを用いて距離を計測するが、屋内スイミングの場合は、プールの長さをあらかじめ設定して、距離を測定する。つまり、プールの端でターンしたことを、Apple Watchはきちんと理解するのだ。
泳ぎ方も自由だ。自由形、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライなどの泳ぎ方をきちんと理解し、そのストローク数から消費カロリーを割り出す。
しかも、フォームの速さや、泳ぎ方のうまさまで判断し、泳ぎが上手いな人ほど、同じストロークや距離でも消費カロリーが少なくなるというから驚かされる。
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