日常生活にも応用できる! スポーツ選手のメンタルトレーニングとは臨床心理士みらーのメンタルアドバイス

リオオリンピック、そしてパラリンピックが閉幕しました。今年もいろいろな選手が活躍しましたね。さて、スポーツの世界でも最近はメンタルの部分が注目されるようになっています。スポーツ選手が行っているメンタルトレーニングとはどんなものなのでしょうか。

» 2016年09月24日 06時00分 公開
[みらーITmedia]
メンタルトレーニング

 スポーツ、特にオリンピックのような大会において、そのプレッシャーやかかるストレスは想像を絶するものがあります。そのため、最近はスポーツ選手のメンタルトレーニングも注目され、かなりの発展をしてきました。そんな今のスポーツ選手のメンタルトレーニングとはどんなものでしょうか。

スポーツ選手のメンタルトレーニングとは?

 いわゆるメンタルトレーニングの研究は、1950年代の旧ソ連の宇宙飛行士の養成カリキュラムから始まって、1960年代には米国などさまざまな国でもスタートしました。それ以来、さまざまな研究が世界各国で行われ、スポーツの世界でもメンタルのトレーニングは常識的な概念になりつつあります。

 海外ではすでに、世界の最前線で活躍するアスリートにはメンタルコーチが同行するのが当たり前になっています。

 例えばゴルフの宮里藍さんやテニスの錦織圭さんがメンタルトレーニングを大事にして、世界の舞台で活躍していることはよく知られています。今回のリオオリンピックでも、卓球の水谷隼さんが銅メダルを獲得した際にも、メンタル面の大切さが語られたりしました。

 このように、メンタルトレーニングはスポーツの世界ではとても大事にされています。そしてその流れを追うように、スポーツ以外の世界でも、メンタルトレーニングの重要性が指摘されるようになってきました。

 ではスポーツ選手のメンタルトレーニングとはどのようなものなのでしょうか。

本番の前に! 日常生活で使えるメンタルトレーニング

 スポーツ選手のメンタルトレーニングは、主にトレーニング効果を高め、よりよいコンディションで競技に臨めるように自分の心を整える方法です。いくつか例を挙げると、選手の自立性やモチベーションを向上させ、目標達成を意識する目標設定法や、成功と自信につながるイメージトレーニング、集中力を向上させる集中力トレーニングなどがあります。

 しかし、自分のメンタルをうまく整えられたとしても、本番の前には緊張しますし、ミスをすることもあります。そのため、メンタルトレーニングの中には、こういった本番前、そして本番中にミスをしてしまった時に行うものもあります。

 この方法の中には、スポーツ選手ではない、普通の人でも使えるものがありますので、それをご紹介したいと思います。

1.本番前の不安や緊張を和らげる

 人間は、緊張する場面では力が発揮しづらくなるものです。会議やプレゼン、発表などに、緊張状態で臨んだ事はありませんか?現在では、こういうときにリラクゼーションが必要だと言われています。

 ある程度緊張をほぐし、リラックスすることによって心身を整え、競技に臨む方が良い結果が出るというのは想像しやすいですよね。それと同じように、スポーツに限らず緊張しそうな場面では、リラクゼーションが活用できます。日常の試験や発表などでも、リラクゼーションを心がけるといいと思います。

 リラクゼーションの一番簡単な方法はストレッチです。ストレッチは筋肉の緊張を和らげ、血流の悪さを改善します。緊張しそうな場面の前に、時間を見付けて首を回したり、少しでも動くようにすると効果的です。

 また、呼吸を整えるのも効果的と言われています。呼吸は人間の緊張や不安と密接な関係があって、不安や緊張状態のときは呼吸が乱れるものです。ですので、呼吸を整えるだけでも、不安や緊張状態は変わってきます。

ストレッチ

2.ミスをしてしまったときに自分の気持ちを整える

 みなさんは仕事でミスをしたり、何気なく言われた一言が気になって、その後の仕事に集中できなかったり、ミスが連鎖してしまったりするような事はありませんか? スポーツの世界でも、ミスをしたときに、自分の気持ちをどう整えてリカバリーをするかはとても大事な問題です。

 サッカー ドイツ代表のメンタルトレーナー、ハンス・ディーター・ハーマンは、「ミスをしたとき、その事は頭の中の駐車場に一時停車しておいて、目の前に集中する。反省や修正は終わった後にする」というやり方を提唱しました。これは「パーキング」と呼ばれるメンタルトレーニングの方法です。

 仕事で、上司や取引先の叱責、思わぬ一言が頭に残ってしまったり、ミスをした事が気になって仕事に集中できなかったりするときには、そういった出来事を頭の中の駐車場へ入れてしまいましょう。

 このときのコツは、なるべく具体的に、駐車場のイメージを作って、ミス等を入れてしまうこと。駐車場がイメージしづらければ、引き出しや押し入れなどの、何かを収納できるものであれば何でもいいそうです。

 また、日常的にこういったイメージの練習をしておくと、効果も高くなります。

 仕事をしていて、自分の心が揺れる場面はどうしても出てきます。こんなときは、こういったメンタルトレーニングの方法を使ってうまく対応していきましょう。

臨床心理士みらー プロフィール

みらー

 大学院修了後、専門学校の非常勤講師および、高校のスクールカウンセラーを勤め、同時期に教育機関での心理相談員および不登校対策事業の心理相談担当を歴任。

 現在は悩み相談掲示板サイト「ココオル」で相談員を務めるほか、活動領域を青年期支援に移し、地域若者サポートステーションにて若者支援も行い、年間のカウンセリングは1000件以上行い、相談支援に定評がある。


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