「2016年、いまだ黎明期」のスマートウォッチ市場 Apple Watchのキラーアプリは(1/2 ページ)
2016年のウェアラブル市場は、1位Fitbit、2位Appleという初期の体制が保たれたまま推移してきた。それぞれ、アクティビティートラッカー、スマートウォッチとカテゴリーは違うが、身につけるテクノロジーを代表するメーカーとなった。
今回と次回は、2016年のウェアラブル市場について振り返る。
Apple Watch Series 2に至る2016年の動向
本連載でもApple Watchに関して注意深く触れてきた。
- 2016年、Apple WatchやAndroid Wearはどう変わるか
- 次のApple Watch待ちか 踊り場を迎えつつあるスマートウォッチ市場
- ワークアウトの充実と新たなライフスタイルの提案が見えた「Apple Watch Series 2」
- Appleの“進化のスパイラル”に入ったApple Watch――watchOSらしさを取り入れるiOS
前述の通り、ウェアラブルデバイスとして2位、スマートウォッチとして1位のシェアを獲得しているのがApple Watchであり、スマートフォンと連携し、アプリによってさまざまな機能を獲得する「スマートウォッチのスタンダード」ともいえる存在となった。
2014年9月に発表し、2015年4月に発売したスマートウォッチは、2016年9月にマイナーバージョンアップを迎えた。Apple Watch Series 2だ。
これまでラインアップとして、アルミニウムケースのApple Watch Sport、ステンレススチールケースのApple Watch、ゴールドケースのApple Watch Editionと、ケースの素材ごとに名前が違った。
しかし2016年9月のアップデートでは、ゴールドモデルはラインアップから落とされ、それまでのアルミニウムケースはApple Watch Series 1として、新シリーズはアルミとステンレスともにApple Watch Series 2としてまとめられた。
Apple Watch Series 2の強化ポイントは、デュアルコアとGPUを搭載したS2プロセッサ搭載、GPS搭載、スイミングに対応する50m防水だ。特にデザイン面での変更はないが、より多くのバッテリーを搭載したことから、重量は増加している。
特にGPSと防水機能は、スポーツ機能の強化となり、ウェアラブルデバイス市場を支配するFitbitをはじめとするアクティビティートラッカーを強く意識したものだ。
コラボレーションによるスポーツ機能の強化
Apple Watchはこれまで、高級ファッションブランドHermesとコラボレーションを行ったモデルをリリースし、Hermesのレザーバンドも単体で発売してきた。Hermesモデルには専用の文字盤と刻印がセットされ、Hermes直営店での取り扱いもあった。
こうしたコラボレーションの第2の相手がNikeであったことは、前述の「アクティビティートラッカー対策の強化」を強く意識させるものだ。
Nikeモデルには、4色の専用デザインとなるバンドが組み合わされる。とくに蛍光イエローを用いたデザインは、Nikeモデルらしさをアピールする。加えて、専用デザインの文字盤も、このイエローがテーマカラーとなる。
ソフトウェア面では、Nikeモデルで「ランニングを開始」というと、watchOSではなくNikeアプリでのランニング計測がスタートする仕組みとなっている。Apple Watchのみでランニングに出掛けても、GPSでの計測によって、正確な距離とルートを記録できる。
また防水機能に合わせて、watchOS 3では、スイミング計測機能も用意された。室内プールでは、壁で反転したことを認識して、ラップ数と距離を計測できる。腕の動きから泳法を検出し、カロリー計算も可能となった。
アクティビティートラッカーを意識せざるを得ないのは、やはりFitbitの存在感の強さだ。シンプルで価格の安いアクティビティートラッカー分野は、Misfitもデザイン面で支持を集めており、新興メーカーの参入もしやすい状態だ。
これらはディスプレイをデバイスに持たないため、スマートフォンのアプリや、Webでの情報表示や記録管理を行うことになるが、バッテリーがより長く持つ点や、既存の時計との共存など、デバイスとしてのメリットも多数残されている。
毎晩充電することが前提のApple Watchがカバーできないのが、睡眠計測だ。アクティビティートラッカーはこの分野を広くカバーしてきた。
Appleもこの分野に興味があることは、iOSのヘルスケアアプリからも明らかだが、今後どのように取り込んでいくのか注目している。
販売台数に急ブレーキがかかった2016年第3四半期
さて、Apple Watchはスマートウォッチ市場をけん引する存在であった。しかし2016年第3四半期(7月〜9月期)は、その販売台数が急減している。
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