「話し上手」より「聞き上手」! 臨床心理士が教えるコミュニケーションのコツ:臨床心理士みらーのメンタルアドバイス
みなさんは“コミュニケーション上手”と聞いたときにどういう人を思い浮かべますか? 話がうまい人、誰とでも打ち解けて話ができる人といったような、話し方や自分から発信するテクニックがうまい人というイメージはないでしょうか。
確かにコミュニケーションといわれると、自分の意思をいかに伝えるか、人前で自分の気持ちを発言できるようになるかといった“自己主張のための技術”がクローズアップされる傾向にあります。しかし、コミュニケーション上手といわれる人たちが全て話がうまい人かというと、決してそんなことはありません。
では彼らは何をもってコミュニケーション上手といわれるのでしょうか。それは話の聞き方です。実は、コミュニケーションをとる上で聞き方は話し方以上に重要なものなのです。今回はそんな話の聞き方についてです。
臨床心理士みらー プロフィール
大学院修了後、専門学校の非常勤講師および、高校のスクールカウンセラーを勤め、同時期に教育機関での心理相談員および不登校対策事業の心理相談担当を歴任。
現在は悩み相談掲示板サイト「ココオル」で相談員を務めるほか、活動領域を青年期支援に移し、地域若者サポートステーションにて若者支援も行い、年間のカウンセリングは1000件以上行い、相談支援に定評がある。
「コミュニケーションを取りやすい人」って?
突然ですが、コミュニケーションを取りやすい人はどんな人でしょうか?
お笑い芸人のような話がうまい人でしょうか。テレビのコメンテーターのような自分の意思をしっかり伝えられる人でしょうか。コミュニケーションの上手さというのは、こういった要素、つまり“発信のうまさ”に注目されがちですが、実は聞く側の姿勢はそれ以上に重要なことなのです。例えばどんなに話がうまくても、全く話を聞かない人がいたらその人と話すのは嫌になりますよね。
昔のことわざにも「話し上手は聞き上手」というものがあります。これは相手の話をしっかり聞ける人は、相手とうまく会話ができる話し上手だという意味です。逆に「話し上手の聞き下手」というのもあって、これは、どんなに話がうまくても、話すのに夢中で相手の話を聞かないと、会話は一方的になり、うまくいかないという意味です。このように、コミュニケーションが取りやすい人はうまく話を聞ける人ということになります。
聞き上手になるには
では聞き上手になるにはどうすればいいのでしょう。
実は難しい技術的はそんなにありませんので、聞き上手になるために大事な5つのことを紹介したいと思います。
(1)うなずく
みなさんは話をしているとき、相手がどんな態度を取っていると話しやすくなりますか? 例えば無表情で無反応な人と話すことはとてもつらいというのは想像しやすいと思います。ですので、相手が話しているときは、しっかりと肯定的な反応をすることが重要になります。例えば、できるかぎり笑顔で相手の目を見て、うなずきをすることで、相手に関心があること、相手の話をしっかり聞いていますよと言うことを態度で示しましょう。
(2)あいづちをうつ
あいづちとは「うんうん」「それでそれで?」といった言葉の合いの手のことですが、これはそれだけで「あなたの話を理解していますし、興味がありますよ」という意思表示になります。
自分の話に興味関心があり、なおかつ内容を理解をしてくれていることが分かれば、相手は話しやすくなり、より話すことができるようになります。
(3)共感をする
人間は誰しも自分のことを分かって欲しいという気持ちがあります。ですので、相手の気持ちを聞き、その気持ちを分かっていますよという反応をすることは、聞き上手になるために最も大事なことです。例えば相手の話の語尾を繰り返しつつ、共感しているというメッセージを伝えれば、自分が共感していることを相手に伝えられるとともに相手に話を促すこともできます。逆に相手に拒否的な反応をしてしまうのは最も避けるべきことであるといえます。
(4)邪魔をしない
人の話を聴いていていると、助言をしたくなったり、つい自分の話を始めてしまいたくなることは誰でもありますが、これは逆効果になってしまいます。というのは、人間は誰かに話をすることで気持ちをすっきりさせたいという欲求がありますから、話の途中で自分の話をして話の主導権を奪ってしまったり、助言や解決策を提示してしまうと、その邪魔をしてしまうためです。ですので、こういったことは避け、まずは相手の話を最後までしっかり聞きましょう。
(5)質問をする
しっかり話を聞いたあとは、相手が話しやすい質問をしてあげると、相手は話をしやすくなりますし、相手の話に関心があることも示すことができます。相手にうまく質問するだけで、会話は信じられないほどの広がりを見せるものです。ですので、質問はもっとそれについて知りたいという気持ちを示すような質問をすると良いのです。例えば、「それでどうなったの?」とか「そのときどうしたの?」等の質問は答えやすいですし、話を進めたり広げたりできます。
「話し上手」より「聞き上手」に
話をきちんと聞いてくれる人には、話し手は気分良くなりますし、話がうまい人よりも好感を持たれることもとても多いです。
また、聞き上手になるのは話すよりもテクニックは必要なく、誰にでもできることです。とはいえ、人間は自分の話をしたくなる欲を持っているものですから、その欲をどう抑えるかが大事になるかもしれませんね。
話の聞き方と言うのは、臨床心理士がカウンセリングをする上での基本にもなっています。今回紹介した技術を使って、話を聞くということを意識しつつ、コミュニケーション能力の改善を目指してみてください。
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