コラム

“1000回遊べるRPG”を4000回遊んだ男 「SFCトルネコの大冒険」に挑み続けるプレイヤーが語る「不思議のダンジョンには、まだ不思議がある」(4/5 ページ)

求道者のごとく追い求める「トルネコ」の理論的限界。

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 方法論は少しずつ変わっていて、例えば、以前はスモールグール(※)が出現するようになる4階でやられることが多かったんですが、今は対策を取るようにしています。……とはいえ、「歩いているうちにHPが自然回復するから、ダンジョン内にループで歩き回れる場所を見つける」みたいな地味なテクニックですよ。

 「トルネコ」は、「風来のシレン」(※)と違ってアイテムなどの効果が弱いので、革新的な攻略法が生まれにくくて。でも、私には、その地道さが合っている気がします。

※スモールグール:攻撃を受けると、時々分裂するモンスター。トルネコの立ち位置が悪くて挟み撃ちされたり、増えすぎて戦闘が長引いたりとかなり厄介。

※風来のシレン:「不思議のダンジョン」シリーズ第2弾として、チュンソフトから1996年に発売。SFC版「トルネコ」には無かった壺(つぼ)のほか、アイテムの合成、ダンジョン内の店舗などが導入された。

―― 日記の中では、過去の失敗に触れることが多いですよね。2985回目のときに「2711回目や2737回目の反省が生きたぞ」とか。そんなことよく覚えてるなー、と。

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2711回目は、もう少しで奇妙の箱に手が届く29階のモンスターハウスでゲームーオーバー。2714、2737回目にも教訓を得た回として言及されています(トルネコ日記より)

 さすがに「このパターン、○○回目のダンジョンで見たやつだ!」って記憶してるわけではないですけどね(笑)。「前にもこういうこと、あったな」とぼんやり思い出してから、日記で確認して書いたんですよ。何度も読み直しているので。

「トルネコ」の本質は“リソース管理”

―― 「もっと不思議のダンジョン」を攻略するうえで、重要なアイテムってあります?

 うーん……やっぱり「かわのたて」は大きいと思います。

―― 腹減りの速度が半減する防具ですよね。でも、防御力が低くて使いにくくないですか、あれ。

 「トルネコ」で大事なのは、空腹度やレベル、アイテムといったリソースをうまく管理することだと思っています。

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―― リソース管理ですか。

 「普段はかわのたて、戦闘時はもっと防御力の高い盾」と使い分けて腹減りを抑えると、食糧面で楽になります。その余力で経験値稼ぎ、アイテム集めに注力できると楽になるんです。

最も難しいのは、1階

―― 日記を読んで、1階でよく死んでいることに驚いたんですが。

 低層階は難しいですよ。特に1階は、最難関フロアといってもいいと思います。

―― え、誰でも突破できる最初の階じゃないですか!? どろにんぎょうにレベル下げられたり、ドラゴンが火を吹いてきたりもしませんよ。

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 そういったモンスターが出る深い階層なら、装備やアイテムで何とかできる可能性があります。でも、ダンジョンに入った直後の1階は、何も持っていません。

―― でも、1階で出てくるモンスターなんて、せいぜいスライムとかドラキーとか……。

 いえ、ゴーストがめちゃくちゃ強いんです。ダメージなどを計算すると、2体同時に遭遇した場合の生存確率は約50%しかありません。しかも、厄介なことに、1ターンに2回行動する特殊能力があるので、逃げようとすると「移動 → 攻撃」と追い打ちしてHPを削ってきます。

 「トルネコ」のベースになった「Rogue」にも、倍速移動するモンスターが1階から出現しますが、こちらは追い打ちできない設定。プレイヤーが1マス逃げると1マス追ってくるけど、攻撃はしてきません。

 要するに、ゴーストはあえて特殊能力の強化が行われているんですよ。できることが少ない最序盤に、あんなに強いモンスターを出すという判断を下した開発チームはすごいです。ゲームづくりの妙があると思いますよ、ゴーストには。

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―― そういえば、1階で死亡したときの日記は、つらさがにじみでてますよね。嫌な形で現れたゴーストに対処できなかったことに対して「これはしょうがなかったんじゃないかなあ……」「これはどうしようもな……くない」「やはり1階は難しい」など、かなり悩んでいる様子が伺えます。

 1階が抜けられるかどうかには、どうしても運が絡んでくるんですが、それでも、プレイヤー側の工夫で何とかしたいという気持ちがあって……。昔は1階でやられると悔しくて、すぐに再プレイしていたのですが、今はひとまず日記を書いて、自分の考えをかみ砕いて消化するようにしています。

―― ゲームとは思えない真面目さ……!

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