ジョーカー誕生の物語としてめちゃめちゃ好き! 解釈一致! 「ジョーカー」が超超超良かったので勢いで感想を書きました:マシーナリーともコラム
「ジョーカーゲージ」が見える。
バーチャルYouTuber、マシーナリーとも子による不定期コラム第17回(連載一覧)。今回は、「次は『デモンエクスマキナ』の感想を書きたい」と言っていたとも子から、深夜に「『ジョーカー』めちゃめちゃ良かったからともコラムで書いていいですか???」とメッセージが飛んできたので、急きょ予定を変更して、映画「ジョーカー」についてお送りします。なお、ネタバレありなので未見の方はご注意を!
ライター:マシーナリーとも子
徳で動くバーチャルYouTuber(サイボーグ)。「アイドルマスター シンデレラガールズ」の池袋晶葉ちゃんのファンやプロデューサーを増やして投票してもらうために2018年4月に活動開始。前世はプラモ雑誌の編集をしていたとも言われているが定かではない。現在はBOOTHでグッズを売ったりLINEスタンプを売ったりしている。
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/user/barzam154
新しいテーマ曲ができたから聞いて!:https://youtu.be/tEdayh6oEXg
※この記事は一応まだ未視聴の人のためにあらすじとかも書いてますが基本的にネタバレ気にせずに書いてます。オチについてとかも書いてるので「ネタバレを気にしない、むしろ積極的に踏みたい人」「映画を見終わったのでほかの人の感想を読みたい人」向けの記事です。「絶対に見てない映画のネタバレは踏みたくないぜ!」って人はとっととブラウザを閉じて映画館に行きなさい。
想像よりずっと普通に楽しめました
ヤツの名前もマーサだった。マシーナリーとも子よ。
わーい! 話題の「ジョーカー」見てきたよ! すんげ~楽しい映画だったわ。びっくりしたね。私は土曜日に見たんだけど、初日組とか試写会組から「とにかく重い映画です」「影響を受ける人が出てくるかもしれない怖い」「すごい映画だったけど二度とは見たくないです」みたいな感想が見られたので、
「うわ~、怖い映画なのかなあ。バットマン好きだから見たいけど、怖い映画だったら嫌だなあ(怖い映画は嫌なので)」と思ってたんだよね。
でもまあ、なんかそういう映画ではなかったぞ別に。ふつうに楽しいサスペンス映画ですよ。それもスカッとする系のヤツよ! キチンと見ててたまったぶんのストレスをドカーン! と解消させてくれてから終わるのよ。カタルシスある。モヤモヤ~~とかしない。いい映画だよ~。あとそれほどグロくない。割と「これグロいことになってんだろうなあ」ってシーンは隠すし。私の苦手な「骨が折れる効果音」とかも無い。グチャグチャ音とか血が出たりとかはするけどな。
あともう一つ心配だったのが解釈違いね! ジョーカーが生まれた理由とか、けっこう危なげに感じるじゃないすか。なんかわざわざ語られたら興ざめするかもしれんし。あとやっぱコミックの名作として『キリングジョーク』があるわけでさ。
なんか、バットマンも出ない映画だっていうしどうなるのかな~って結構心配だったんだよね。でも見てみたらスンゲーよかったわ。『キリングジョーク』の翻案みたいな話かもなって可能性も考えてたんだけど、全然違う話になってたし、それでいてスゲー好みだわ。ジョーカー誕生の物語としてめちゃめちゃ好き! 解釈一致! 「どうやってこのワルいヤツはワルになってしまったのか!?」という物語としてめちゃめちゃ痛快です! 「アーサー(今回のジョーカーの本名)! 良かったねぇ~~~!!!」とうれしくなってしまいます。いや~~いい映画だった!
アーサーがんばえ~! って応援したくなる映画
で、まあどんな話なのかっつーと売れないコメディアン、っつーかコメディアンを目指してる派遣ピエロ(そんな仕事あるんだ)のアーサー・フレックさんが社会にもまれてもうグチャグチャにひどい目にあって毎日毎日ストレスマッハなんだけど、ある日吹っ切れて極悪ヴィランになってしまうというお話です。どうだ? 予想外だったか?
で、その過程がね~~! いいんだよね。劇中アーサーはとにかくひどい目にあう。ギャグはウケねーしカーチャンは要介護で世話しなきゃなんねーし家はボロアパートだし病気で笑いたくないときに爆笑しちゃうしコメディアンになりたいけどなんか全然周りと笑いのツボちげーし頼りにしてたカウンセリングは打ち切られるし悪ガキにはからかわれるしでもー散々なんだよ。散々。この散々シーンの数々は正直ストレスがたまるだろうし、共感性羞恥とかでダメな人もいるだろうな。
でも! でもだよ。このね、「アーサーがひどい目にあうシーン」たちでね。私には見えたんだ。「ジョーカーゲージ」「ジョーカーポイント」が視えた! これは一定数ポイントがたまったり、ゲージが満タンになるとアーサー・フレックがジョーカーになってしまうというこの映画特有のシステムで、アーサーにストレスがたまると蓄積されはじめる。これらがたまってるときは劇中のBGMが「ズーン……」って響くような暗い、不安を煽るようなBGMに変わるのですぐ分かります。
この映画のすごいところはコレで、本来こういう「主人公がひどい目にあうシーン」ってのはさ、胃がキリキリするじゃん! ストレス源なわけ! でもわれわれはこの映画が「ジョーカー」で、主人公が最終的にジョーカーになるお話なんだって分かってるわけじゃん! だからストレスシーンが全部主人公の成長を促すボーナスステージに見えてくるんだよ! アーサーがひどい目にあえばあうほど「今だ、行けアーサー! もう少しキレればお前はジョーカーになれるぞ! ジョーカーチャンス発動! がんばれ~!」って思えてくるわけ! これはすごいですよ!
で、クライマックスですっかりもうアーサーが吹っ切れてジョーカーになるんだよ。ピエロのお化粧はもちろんとして、紫とオレンジの派手派手なスーツに身を包んで町中で踊りだすわけ! これがもう……キレイなんだなあ。それまでいっつも暗くて、夜だったり天気が悪かったりしたゴッサムシティがよぉ、このシーンは太陽の光をいっぱいに浴びて光り輝いてるんだよ……。
ここで「彼は狂ってしまった……。悪に堕ちたんだ……」と不安に思ったりする人もいるんだろうけど本当にここに至るまでのアーサーは苦難の連続でクソろくでもねえ感じだったので、私は「良かったねアーサー……。君はついに自分が本当に輝けることを見つけたんだな……」ってジーンとしちゃったよ。人には適材適所があるし、得意なこと不得意なことがある。君に言葉で人を笑わせるコメディアンは無理だったんだ。でも……。
そう、この映画は一人のうだつの上がらない不幸な男が、自分にふさわしい仕事を見つけて輝いていくという話なんだよね。みんなが大好きな解放と再起のストーリーだ! 盛り上がらないわけないじゃないですか。まあ、そのへんの市民とか殺しちゃうんだけどさ。それはいいじゃん。ゴッサムシティだし……。
もちろん「ダークナイト ライジング」公開の際の痛ましい事件とかもあったし、ほかにも、まあいろいろみんながそれぞれ心配な社会のこととかがあって、この映画に不安を感じてしまうのは分かる。分からんでもないけど、でももっとアーサーがどうやって立ち上がったのか、くらいの視点でこの映画を楽しんでいいと思うな。そうやって見るとこの映画はすごーくカタルシスがあって、楽しい映画になると思うよ。やっぱ芯が通った悪いヤツって見てて気持ちいいもんな。正義の味方がいいことしてカッコいいな~! こんな人になりたいな~! と思うのはもちろん健全でいいことだけど、悪いやつが悪いことしてるの見て「フヒー! たまんねえぜ」ってなるのもまた良い。「毒も喰らう、栄養も喰らう。両方を共にうまいと感じ、血肉に変える度量こそが食には肝要だ」って勇ちゃんも言ってたもんな。
超美しいシーンの連続だしやっぱりバットマンなので最高
ラスト間近、パトカーで移送されるジョーカーが車窓から燃えるゴッサムシティを満足そうに見つめる。ああ、なんて美しいシーンなんだろうと泣きそうになってしまったよ。
それまで、まるで社会からいないような人間として見られていたアーサー・フレックが、社会的ミームとなって、みんなに影響を与えて、世の中を変えたんだ。それをニコニコしながら見る男を見て美しいと言わずにいられるだろうか。私はこのシーン、世界一美しいエゴサーチだな……と感嘆しました。
そのあとトラックがツッコンだパトカーから救出されるシーンもいいよな! ピエロ野郎どもはみんなジョーカーを崇拝してるんだな。このシーン、私の見てるときの感情のベクトルとしては完全に“「スパイダーマン2」で列車を救って気絶したスパイダーマンの正体を市民が見て「まだ子どもじゃないか……」って驚くけど送り出してくれるシーン”見てるときと同じだった。そういう感慨があるシーンだった。「あぁジョーカー……君は親愛される象徴として認められたんだ……。まあゴッサム市民を殺す暴徒にだけど……」って。
ラストシーンとかほんまほんま最高ですよ。あんな廊下でバタバタ走り回ってTHE END、だぜ! それまで暗く、陰鬱としていたアーサー・フレックの世界ではない、ジョーカーの世界はあんなに光り輝いてる喜劇の世界なんだなあ。まあジョーカーの足跡は血に塗れてるんですが(カウンセラーさん殺しちゃったのかな)。もうホント、美しい。美しいですよ。これまでアーサーの人生はロクでもなかったけどジョーカーに覚醒した彼の人生は右肩上がりなんだよ。これからはハッピーしかないんだ! あーほんとよかったねジョーカー……。
しかも! しかもだよ。ただでさえジョーカーになってハッピーになったのに、彼には彼自身まだ気づいてないお楽しみが残ってるんだよな……。そう、また例によって怪傑ゾロなんか見に行っちまったばっかりに両親が殺されちまったブルース・ウェインとかいうガキがよ! 彼はきっとこれから成長し、10数年後ジョーカーの最高の相方としてゴッサムシティに羽ばたいてくれるはずだ! ああ良かったなジョーカー。君はもう一人じゃないんだ。愛すべき人がいる! 君と同じ狂気に染まりそうになりながら、それでもギリギリ「俺は正気を保ってるんだが?」って体裁を繕おうとしてるコウモリ野郎がよぉ~~! ウワー! 最高!!!!
やっぱ『バットマン』はバットマンとジョーカーの関係性なんだよなァ~~! うぅ~! バットマン一切出てこないのにバットマンにおわせでめちゃめちゃ最高になってしまったな。アー。最高です。
“コレ”なんだよなァ~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!! ハァーッッ ハァーッ いや、やっぱりみんな、別に「ジョーカー」は『キリングジョーク』の実写映画化ではないが、やっぱり読んだことがないなら『キリングジョーク』を読むべきだと思う。だってこの本を読んでおくと「ジョーカー」がジョーカーだけの映画でなくやっぱりこの映画はバットマンなんだよな……。ジョーカーとバットマンは……そう……。うん……。アア~~~……。ってなるから!!! 読もう!!!!!
高騰しとるけど。
原語版なら安く買えるぜ!
この本もいろんな時代のジョーカーが一気に読めるしフルカラー400ページ弱あってボリュームすごいしおすすめ!
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