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薪割り、心霊写真、ボールペン工場…… 電気グルーヴが手掛けたまぎれもない怪作「グルーヴ地獄V」を語ろう どうかしているゲームの世界

薪割りは評価したい。

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 激動の2010年代も終わり、今年はいよいよ2020年。あけましておめでとうございます。去年もさまざまな事件が起こり、中には芸能人の逮捕などの衝撃的なものもありましたが、そんなことは全く関係なく、今回はグルーヴ地獄V(ファイブ)というゲームを紹介させていただこうと思います。

タイトル画面の歌(1:13ごろから)はピエール瀧が歌う

ライター:文章書く彦

主にPCゲームや海外ゲームが好きな陽気で楽しいゲームライター。どこかで美少女ゲームの連載を行ったり「ゲーム占い師」として活躍中。ライター業の傍らインターネットの片隅で「ワニウエイブ」としてラッパー/作曲家としての活動も行っている。ここ一年ぐらいはVTuberに激ハマりし1日に10時間ぐらい「にじさんじ」の配信やアーカイブを見るなどしているよ。 Twitter:@waniwave

 「グルーヴ地獄V」は、石野卓球とピエール瀧、そして砂原良徳(発売当時在籍、1999年脱退)の3人からなるテクノユニット「電気グルーヴ」がプロデュースしたゲームで、ジャンルは自ら「クソゲー」を名乗っています。

 ゲームの進行は非常にシンプルで、アルバイト(ミニゲーム)をこなして稼いだお金でガチャを回し、排出された「音ネタ」をミュージックエディターで組み合わせて演奏する、というのが一連の流れになっています。簡単に言うなら「ミュージックエディタのオマケとしてミニゲーム集がついている」というふうな感じでしょうか。それだけ聞くと「クソ」になる要素が極めて少ないように思えますが、まあそこは電気グルーヴという人たちのことですから、当然一筋縄ではいきません。いくつかバイトの内容を紹介させていただきます。

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 最初に紹介するのが「ボールペン工場」のアルバイトです。「ボールペン工場」は目の前にあるボールペンにキャップをかぶせて次に送る、というアルバイト。時々ボールペンの上下が逆転しているのでひっくり返さなければいけない、という要素があるだけで完全なる単純作業です。

 時間制限やノルマがないので自分で「やめよう」と思うまでは永久に続けることができます。と、聞くと「何が面白いんだそれ」と思うかもしれませんが、面白くはありません。労働とはそういうものですし、なんか妙な中毒性があるので面白くない単純作業であるにもかかわらず人気のあるミニゲームで、本作とその実質的な続編であるバイトヘル2000が語られるときにはまず名前が挙がる、象徴のような存在でもあります。実際、グラフィックに関しては他のどのミニゲームよりも気合が入っています。

 次に紹介するのは「薪割り」のアルバイトです。「薪割り」は老婆が置いた薪をテンポ良く割っていくゲームなのですが、時々薪の代わりに動物が置かれることがあります。そして、誤って動物を割ってしまうと少々グロテスクなことになりゲームオーバーです。「薪に色が似た動物」「一見すると動物だが、よく見ると薪」というような引っ掛け要素もあり、テンポがちょっとでも悪いとすぐにゲームオーバーになってしまうのでかなり難易度が高く、集中力が要求されるミニゲームになっています。

 「老婆がなぜ動物を置いてくるのか」については説明書に「見かけ通りのイジワルなクソババア」「長年のイジワル生活に裏打ちされた絶妙なフェイント」などと書いてあるので、どうやらイジワルのつもりでやっているようです。薪の代わりに生きた動物を置くイジワルってなんなんだ。

YouTubeよりプレイ動画。失敗するとかなりグロいことになるのでやや閲覧注意

 最後に「心霊写真鑑定人」のバイトを紹介します。「心霊写真鑑定人」は画面に表示された写真が心霊写真であるか否かを判定するというミニゲームです。世にも恐ろしい心霊写真が多数収録されているので、一人で遊ぶには恐ろしすぎるかもしれません。一体いつ撮影されたんだか分からない謎の写真ばかりを鑑定することになるので、電気グルーヴファンにはたまらない内容になっています。

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 ミニゲームはどうしようもないもの(言っちゃった)から遊べるものまで全8種類。他にも色と音の順番を記憶するサイモンゲームのゲップバージョン「クサイモン」、なぜかDOOMっぽい見た目の「交通量調査」など電気グルーヴらしいパロディーとユーモアにまみれた気の利いたゲームばかりで、ぶっちゃけ全然クソゲーという感じはしません。

 田中秀幸氏によるデザインも見ようによってはかなりおしゃれですし、スマートにまとまったゲームだと思います。蓋をあければ普通にカッコいいというのも彼ららしさではありますね。

 キモとなっているミュージックエディタも(プレステのゲームとしては)かなり機能が充実したもので、「音ネタ」もかなり種類豊富ですから頑張ればけっこうまともに演奏することができます。あんまりこの辺りを細かく書いてもアレなんですが、エフェクトの種類が豊富だったり、◯ボタンを押すとすぐに頭出しができるところが他の音楽制作ソフトにはあまりなく、疑似的にDJみたいなことができるので優秀ですし、触っていて面白いです。

 今回記事を書くにあたって久しぶりにプレイしたところ、細部のセンスのよさやエディタのしっかりしてる感にかなり驚かされました。もうちょっとミニゲームが多ければ普通に傑作だったんじゃないでしょうか。

 もっとたくさんヘンテコなミニゲームが遊びたい方には「バイトヘル2000」がおすすめです。そちらには残念ながらミュージックエディタはついてないのですが、現在でもそれほど入手性が低くなく、遊びやすいと思います。あと、遅くなりましたが、電気グルーヴ再始動本当におめでとうございます!

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