【ゲームの日本史】ひたすら最速クリアを目指すRTA(リアルタイムアタック)はどのように生まれたのか(3/3 ページ)
国内最大規模のRTAイベント「RTA in Japan」主催者・もかさんにインタビューしました。
RTAが一般化してきたのはひしひしと感じています。かなりカジュアルに使われる言葉になりましたよね、「退職RTA」とか(笑)。
※退職RTA:「入社から短期間で退職すること」などを指すネットスラング。ググるとすんごい記録保持者が見つかるのはゲームと同じ。違うのは全然楽しくないところ。
―― 期間指定をしてググってみたんですが、2018年4月ごろ、Twitterで「新入社員退職RTA」という表現が流行していたみたいですね
それから、プレイヤーも増えているみたいです。「RTAplay!」ってストップウォッチの使い方とか、一度見たらもう見なくていいようなコンテンツが多いんですけど、アクセスが増加し続けています。
現在、世界中のRTA記録の集積地になっている「speedrun.com」の登録者数も右肩上がりですし。
「RTA in Japan」の現在
―― 「RTA in Japan」は企業ではなく、個人が主催しているイベント。直近の第4回は2019年12月27日から31日まで108時間にわたって行われていましたが、どのような運営体制だったのですか?
運営スタッフは9人です。
―― その人数で、あんな長時間のイベントを回していたんですか
あと、ボランティアの方々がいました。たくさんの人が名乗りをあげてくれたうえに、3、4時間の持ち時間を超えて、手伝ってくれて。ありがたかったですね。
―― 「今後、日本のRTAシーンがこうなったらいいなあ」という、もかさんの希望はありますか?
それよく聞かれるんですけど、特にないんですよ(笑)。国内のRTAプレイヤーを代表するつもりは全くなくて、あくまでも発表の場所を作っただけです。
現在のようにRTAが楽しまれているのは、自由に発展していったからこそだと思うんですよね。これからものびのびと広がってほしい。
―― 逆に言うと、ヘンに手を入れるべきではない分野だ、と
eスポーツが“大会”だとしたら、僕らがやっているのは“お披露目会”。プレイヤーの皆さんに関しては、ガチでやりたい人もワイワイやりたい人も受け入れていて、運営の方で「こうしてください」「ああしてください」とお願いすることは一切していないんですよ。
―― 自由な雰囲気ですよね。個人的には「シルバーサーファー」(FC)のプレイヤーが、全身銀色のコスプレ姿で登場したのが印象的でした。「予定されていた方が急用で来れなくなりました。でも、会場にシルバーサーファーさん本人がいました!」という設定で
担当のEiPさんが善意でやってくださったんです。あの方、本当は世界1位の記録保持者なんですけど。
―― 世界最速が、あんなお戯れを(笑)
そういうことが起こるのも、RTAの面白いところだと思います。他にもプレイ中にバナナを食べて盛り上げてくれる方なんかもいたんですけど、僕らはそういう風に提案してくださるのを「OKです」「お願いします」と言っているだけ。
皆さんの協力のおかげで成り立っているイベントだと思います。
次回:【ゲームの世界史】なぜ米国のゲーマーはRTAで東日本大震災の支援活動ができたのか
- 革命的なRTAで世界的に知られる日本人プレイヤー・蛍火さんとは
- 世界で初めてタイムアタックが競われたゲームタイトルとは
- “ホテル丸ごと借りる”ほどの海外RTAイベントの盛り上がり
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