インタビュー

ゲームの国際戦で高校生が海を越え、時に人力でTASを超え ひたすら最速クリアを目指す“RTA(リアルタイムアタック)の歩き方”(1/3 ページ)

国内最大規模のRTAイベント「RTA in Japan」の主催者・もかさんに、RTAの楽しみ方を伺いました。

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 欧米に遅れながらも、対戦型ゲームを競技のように楽しむeスポーツが普及してきた――。 ここ数年、こんな報道をよく目にするようになりました。その裏側で静かに、しかし、着実に盛り上がりを見せているのが“最速クリアを目指す”RTA(リアルタイムアタック)。もしもeスポーツを「ゲーム界の格闘技」と表現するなら、100メートル走、ハードル走などのように個人の記録を追求する「ゲーム界の陸上競技」と例えられるかもしれません。

 今回は、国内最大規模のRTAイベント「RTA in Japan」の主催者・もかさんに、「TAS顔負けの人間離れしたプレイから、ネタプレイとしか思えないものまで幅広いRTAの楽しみ方」などを伺いました。

国際的に評価される「スーパーマリオ64」の高校生RTAプレイヤー

―― 「RTA in Japan 2019」の口火を切った企画は、「スーパーメトロイド」(SFC)の2人同時RTA。同時にスタートした2つのプレイ画面が並んでいて、“クリアまでのタイムで競うeスポーツ”のような雰囲気でした

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 実際、RTAがeスポーツのように楽しまれることもあって、例えば、「Smash’N’Splash 5」(2019年/米国ウィスコンシン州)というeスポーツイベントでは「スーパーマリオ64」(NINTENDO64)のスピードラン競技が行われました。

 ちなみに、このときは日本の高校生が参戦していたんですよ。「RTA in Japan 2019」でもトリを務めた方なんですけど。

日本の高校生(アッキーさん)が参戦した「Smash'N'Splash 5」
「RTA in Japan 2019」でのプレイ。事前解説によると「『16枚RTAでアッキーに勝てる気はしない』と日本、海外問わず言われるほどの実力者」

―― 「スーパーマリオ64」って20年以上前のタイトル(1996年発売)ですよね。今の高校生は生まれていないのでは?

 RTAの世界では「スーパーマリオ64」が今でも人気なんですよ。Switchで「スーパーマリオ オデッセイ」が出ているのに(笑)。

―― 発売当時からのファンもいるでしょうし、よく海外のイベントに出るほどの実力者にまで成長しましたね

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 RTAの世界には古いタイトルを発売当時からやり込んでいるような猛者もけっこういるんですけど、天才型で1年触っただけでその猛者たちに追い付いてしまうような人もいて。中には彗星のように現れ、記録を残して去っていくRTAプレイヤーもいます。

―― なにそれカッコいい

 僕は「ヴァルキリープロファイル」(PS)のRTAを一番頑張っていて、3つのレギュレーションで世界1位の記録を持っていたのですが……。

 2019年に「クロノクロス」世界一のプレイヤーが乗り込んできて、「Any% Ending A」「Any% Ending B」という2つの記録を更新されてしまいました。

「ヴァルキリープロファイル」の記録が更新されている「Speedrun.com

※Any%:「アイテム取得などに応じて変わるゲームの達成率を問わない」というレギュレーション。「ヴァルキリープロファイル」の場合はさらにそれが細分化されており、出現するエンディングによって「Any% Ending A」「Any% Ending B」に分かれる

―― あ、本当ですね(もかさんの記録を見ながら)。……というか、もかさん、変わった記録もお持ちなんですね。「美味しんぼ 究極のメニュー三本勝負」(FC)の「Ankimo」で世界1位

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 『美味しんぼ』の主人公・山岡さんが「アンキモ、アンキモ、アンキモ!」と叫ぶバッドエンドがあって、「Ankimo」ではそこまでのタイムが記録されます。

もかさんの「Ankimo」世界記録
怪しい振る舞いを警察にとがめられた山岡さん
「じゅもん」というコマンドを選択すると、なぜか「アンキモ、アンキモ、アンキモ!」と叫ぶ
ちなみに、このレギュレーションで挑戦しているのはもかさんだけでなく、記録保持者は3人います(Speedrun.com

―― そういえば、RTAはタイトルの制約がないせいもあると思うのですが、「RTA in Japan 2019」で、「クラッシュ・バンディクー」をプレイした方は「日本人でRTAしてるのは自分だけ」と話していましたね

「クラッシュ・バンディクー ブッとび3段もり!」に収録されたリマスター版の初代作をRTA(Any%)
プレイの巧みさもさることながら、ずっとしゃべっているのがスゴい

 自分の好きなゲームで、RTAしたくなるものなんです。そうすると「走っているのが自分しかいない」ということがよくあります。僕のやっているタイトルも、だいたい誰もいません(笑)。

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