エンターテインメントは不要不急なのか? 三谷幸喜と香取慎吾が今、汗をかいて演劇を魅せる意味(3/3 ページ)
三谷さん「ライブじゃないものの演劇って、演劇的ではあるけど、演劇ではない」。
三谷幸喜×香取慎吾、コロナ禍で感じたエンターテインメントの意味
――今作は2019年の秋冬ごろに撮影されたそうですが、コロナ禍でこの作品が届けられることにはどんな気持ちがありますか?
香取: 待ってましたねー、もう。ステイホームが始まって、まだそのころ僕も配信される日がいつごろとか知らなかったので。こんな中でね、皆さんに笑いを届けられるものを昨年撮ったものがあるから、早くみんなに見てほしいし。自分も見たいし。いつなんだろう、いつなんだろう……。でもあんまりしつこく聞くとしつこいヤツに思われる。マネージャーさんとかにあんまり言わないように。だから、配信日が決まったニュースは僕、一番うれしかったかな。
三谷: エンターテインメントって不要不急だとかって、よくいわれてましたよね。確かにそれは否定しないんですけれども。結局、皆さんお家にいて、時間を何かに使わなきゃいけないっていうときに、いつも明るくいられない。そういう中で、皆さんが求めているものって、やっぱりエンターテインメントなんだなって僕はすごく感じたんです。
皆さんがちょっとでも明るくなったりだとか、先に進む勇気をもらったりする力が絶対あると思っていたので。だから僕も「今配信すればいいのに! 何で今じゃないんだ!」ってずっと思いながら、ようやくこの時期を迎えた感じがします。
――そういう葛藤があり、ようやく配信を迎えるんですね。では、こういう社会情勢で、あらためてエンターテインメントの意味や可能性についてはどのように考えていますか?
香取: こんなに難しいことになってしまうとは思ってもみなかったんだけど、やっぱり必要だな、と。あと、新しいやり方がたくさん出てきて、これまでと形が変わってきていて。変わっていくんだろうなとは思うけど、今までのものも、決してなくならないでいてほしいですね。ライブもそうだし、舞台や劇場も。
今は客席がソーシャルディスタンスを取って、お客様をお迎えする形になっているけど、空いた席がない満員御礼での劇場も、演者の人たちの近づきながらのお芝居も、決してこれから先なくなることがないといいなぁと思います。
三谷: 確かに。僕は舞台の人間だから、本当に切実に思うんですけれども、本当に大変なんですよね。演劇が一番痛手をこうむっている感すらある。ライブでやるのが必然だから、ライブじゃないものの演劇って、演劇的ではあるけど、演劇ではない感じがすごくあって。早く元の形に戻ると良いなと思うんですけれども。
香取さんがおっしゃったみたいに、演劇は演劇で頑張っているし、それプラス新しいものがどんどんできていて。そういうものがあるのであれば、僕らはうまく利用するしかないというか。配信もそうだし、利用すべきだと思うし。そこで、一番面白いものを皆さんに提供していくのが、僕の仕事なんだなって切実に感じますね。
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