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米アーティストがStable Diffusionなど画像生成AIに集団訴訟 「作者に無断で作品を学習に使用」と訴え

フェアユースの解釈が注目されます。

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 米国のアーティスト3人が、Stable DiffusionやMidjourneyといった画像生成AIの開発元に対して訴訟を起こしたと発表されました。

AI画像生成ツールを相手に集団訴訟が始まると発表された

 Stable DiffusionやMidjourneyといったAI画像生成ツールは、多数の既存のイラストや絵画を解析・学習し、新しい絵を生成します。AI画像生成ツールが作品を生み出すためには、たくさんの学習が必要となりますが、原告は元の素材が著作権者の許諾なく学習に使用されていると主張し、損害賠償を求めています。

 原告の発表では「(訴訟の対象となった画像生成AIは)アーティストに無断で補償もせずにダウンロードした多数の画像を使って訓練された」として、「新たな技術が現代世界のあらゆる面を変え続ける中で、違法な盗用や詐欺からアーティストの権利を保護することは非常に重要」と述べています。

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 また、原告側の代理人となる弁護士は、AI画像生成ツールについて「21世紀のコラージュツール」と声明文で表現しています(※この弁護士はAI画像生成が「圧縮された画像のコピーを保存して再結合している」と述べていますが、不正確だと指摘されています)。

 海外メディアによると、AI画像生成ツール制作者はおおむね、大量の学習素材(既存のイラストや絵画)をAIツールに学ばせることはフェアユースの原則に当てはまると主張しているとのこと。フェアユースは一定の条件を満たすことで、著作権者の許可なく著作物を再利用できる法原理ですが、米国とヨーロッパで許容範囲が異なります。Stable Diffusionが機械学習に使用したデータは、ドイツの非営利団体が作成したものであるなど、複雑な事情も含まれています。

 原告のアーティストの一人が「AI画像生成の慣習を知るにつれ、(作家が搾取されることを)正す判例がないことに気づきました」と主張するように、AI画像生成のフェアユースについての判例は存在していないようで、今後の展開が注目されます。

 なお原告はStable DiffusionとMidjourneyの開発元の他に、アーティスト向けのコミュニティサイト「DeviantArt」の開発元にも訴訟を起こしています。同サイトは最近、AI画像生成機能「DreamUp」を立ち上げています。

 日本の法律においては、「著作権法第三十条の四」で「情報解析の用に供する場合」著作物を利用できるとあります(参考リンク)。AIモデル開発を目的とした場合、著作物の使用は認められていると解釈されています。

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