地震、その時mixiは 「頑張っぺし」――集まる被災者の声、飛び交う超ローカル情報:今こそIT・ネットの出番(2/2 ページ)
「くよくよしていられない。頑張っぺし」 mixiであふれる被災者の思い
mixi日記の投稿数は3月12日に急増した。とくに東北地方からが多く、普段より44%増えた。震災関連のコミュニティは、各局のニュース番組でGoogleの「Person Finder」などと並んで紹介され、多いものでは約34万6000人が参加している。宮城、福島、岩手など地域ごとのコミュニティには、被災者の書き込みが相次いでいる。
交通に医療、物資提供、仮設住宅など、コミュニティのトピックの種類ややりとりされる情報の粒度はさまざまだ。スーパーの品揃えや行列の待ち時間、個人商店の営業時間といった超ローカルネタも飛び交う。「津波で海水に浸った床を掃除するコツ」「紙おむつを手作りするには」などノウハウの共有もある。
友人や知人の実名や年齢、当日の服装などを詳細に明かして安否確認を求める投稿は、震災から1カ月たった今も後を絶たない。「mixiはカジュアルでライトなコミュニケーションに使われてきた。生死に関わるコミュニケーションに使われているのを見て、ぐーっと背中に緊張が走る思いだ」と原田副社長は明かす。
「愚痴です。スルーしてください」――被災者が思いを吐き出し、共有する場にもなっている。4万2000人が参加しているコミュニティー「◆宮城県◆今、心を一つに……」では、“独り言”をつぶやくトピックに3月11日以降2600件以上の書き込みが。「くよくよしていられない。頑張っぺし」と方言で書いている人もいる。
震災が収まったらやりたいことを被災者が投稿するトピックも。「さあみんなで希望をつぶやくのだっ」とトピック作成者が呼びかけると、「同窓会したい」「すき家のメガ盛りを食べる!」「ハイオク満タン!って言う」「おめかしして駅前歩く」「プロポーズ!」「息子たちを立派に育てる」などとそれぞれの決意があふれた。
18歳未満のユーザーは普段コミュニティーを利用できないが、震災カテゴリーだけは3月23日から全ユーザーに開放している。要望が100件以上寄せられたため、健全なモバイルサイトを認定する民間機関「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構」(EMA)に許可を得て対応した。「彼らが欲しがっている情報は出会い系じゃないと、EMAに掛け合った」という。
交通整理も必要――mixiができること
同社はこれまで「使い方はユーザーの自由」というスタンスでmixiを運営してきた。プラットフォームを提供するという役割に徹し、ユーザーに特定の使い方を訴求することは避けていたという。震災時も、関連コミュニティーの作成や管理などはユーザーの手に委ねている。
だが、災害時に「なんでもかんでもユーザー側で用意して使ってくれだと使いづらくなる場合がある」とも感じている。自治体などと連携し、オフィシャルな災害情報を掲載するなど、「秩序あるゾーン」をmixi側から提供し、ユーザーの情報交換がスムーズに行くよう「交通整理」することも今後検討する。
NTTドコモで災害用伝言板を担当していた経験のある原田副社長。「災害用伝言板を使ったことがない人は多いが、あわてふためいている時に新しいサービスを使いこなせるかというとそうではない」と見る。mixiは、2200万会員が日常的に利用するプラットフォームとしての役割を模索していく。
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