タレントの島田紳助氏が芸能活動を引退――会見全文(2/5 ページ)
自分の中ではセーフだと思っていた
島田 今日をもって芸能界を引退することにしました島田紳助です。もう芸能界からいなくなるわけですから、守るべきものも何もありませんから、吉本興業にもすべて正直に喋りましたし、今日もすべて正直に喋ろうと思っております。ただし、吉本興業から個人のプライバシーに関わることがたくさんあるから、ほかの方に迷惑がかからないように、個人名を出したりしないようにとは言われましたので、僕の言える範囲の中ですべて正直に話したいと思います。
まず最初に、10数年前なのですが、解決できないトラブル※、どうしようもないことが起こったので、事務所を辞めよう、芸能界を去ろうと決意しました。その時、昔からの友人であるAさん※※、ひっきりなしに会っているわけでは全然なく数年に1回会うペースでしたが、僕が非常に悩んでいるという話を聞いて、「どうしたんだ」と自宅に電話してくれました。そしてAさんに話したら、Aさんはヤクザ組織のBさんにその話をして、僕の悩みを解決していただきました。
それで僕は正直言いまして、人として恩を感じました。Bさんからは「お前は芸能界の人間である。我々はこういう組織の人間である。その人間が会うことはいけないし、会うと君にはマイナスだ。だから、君が今後興行の世界で頑張ることが一番の恩返しになるんだから、会わずに頑張ってくれ」という言葉をいただきまして、僕はその組織とかは関係なく、人間として正直言ってありがたい言葉だと思いました。「会うとダメでも、心と心でつながっていればいいんだ。人とはそういうものだ」と言われまして、僕も心から深く、本当に感謝しました。
ですから、個人的にその方と直接お会いすることもなかったです。でも、僕はやはり人として「ありがたいな」という気持ちを持ち続けていましたし、感謝の気持ちはありました。「テレビで頑張ってこれたのは、あの時のあれのおかげだ」という思いがずっとありました。
ですから、「『ありがとうございました。今年も1年頑張れました。本当に心から感謝しています』と心からよろしくお伝えください」とメールをAさんに送って、Aさんを介して伝言をお願いしたことがあります。直接付き合ってはいけないということは分かっていましたので、僕が直接電話することもありませんでしたし、そんな(必要な)時にはAさんを通じて電話していました。
10数年間のお付き合いの中で1回も会っていないかというと、そうではありません。会った回数は自分の記憶の中で4〜5回と思われます。最後にお会いしたのは、今から4年半前にバーをオープンした時のことです。(Bさんが)来られたのですが、会員制で入れなかったので、私の名前を出されたところ、バーの人間から電話がかかってきて、その時に私は寿司屋にいたのですが、すぐに行きました。その時はお祝いなのか良いお酒を飲まれて、お金を置いて帰られました。その4年半前にお会いしたのが、最後にお会いした実績です。
それまでにも大阪のミナミで食事をした時、すぐ近くにおられると聞いて、週刊誌なんかで非常に大変だというのを僕なりに読んでいて、大変な時期なんだなと思っていて、僕もあの時元気がなかったので、個人的にお会いしに行って、「元気そうですね」と顔を見て帰ったことがあります。そして、「今日顔を見ました。非常に元気そうでホッとしました」というメールをAさんに送りました。
また、僕がトラブルを起こして謹慎し、食事ものどを通らず、本当に自分がどうしていいか分からない時がありました。いろんな方から励ましの言葉や電話をいただきました。今日もメールをいただいたのですが、(その時も)芸能界の先輩から電話をいただきました。そして、「ありがとうございます。あなたが励ましてくれるから頑張ります。あなたがいてくれるから心強いです」と芸能界の先輩方にそういう言葉やメールを返したように、Aさんから「Bさんもそうおっしゃっているよ」という電話をいただいていたので、Aさんに対しても「ありがとうございますと。あなたが付いてくれているから、僕は心強いです」というメールを(間接的にBさんに向けて)送りました。
それは(Bさん)1人だけに送ったのではなく、本当にへこんでいる時に数々の先輩から「大丈夫だ。僕は信じているから。僕が付いているから」という温かい言葉や励ましの言葉をいただいた時に、同じような電話やメールをみなさんに返したので、僕は特別お二人(AさんとBさん)に何かを守ってもらっているという意識はありませんでした。
正直言って、僕の中では芸能人はそういう業界の方と付き合ってはいけないということは十分に分かっていましたし、あちらの方も十分理解されていました。だから、普段会うようなことは向こうも絶対に求められませんでしたし、向こうも「会ってはいけないんだ」とおっしゃっていましたし、僕も「会ってはいけない」と思っていました。ですから、Aさんを通じてメールを送ったり、何かあった時にお言葉をいただいたりということを繰り返していました。
そして、私のお店にも何度か来られたことはあると報告として後に聞いていますし、聞いていない(時に来た)こともあるかもしれません。頻繁に会おうとは思いませんでしたし、頻繁に会うどころか10数年の中で本当に(会ったのは)数回です。だから正直言いまして、「悪いことをしている」とか「これはいけないんだ」という意識はなかったです。「芸能人と組織の人が付き合ってはいけない」というルールは百も承知でしたが、日曜(8月21日)の夜までは「この付き合いは芸能界のルールとして問題ない、違反じゃないんだ」という認識でいました。
日曜日に『24時間テレビ』が終わった後、一緒にいたよしもとクリエイティブエージェンシーの方からそのメールを見せられて、「これを送りましたか」と聞かれて、「送りました」と答えました。その部分だけを抜粋して見ると、「お二人がいてくれるから心強いです」と送っています。そういうのは普段送ったらおかしいでしょうが、6年前の本当にへこんでいる時にいろんな方からいただいた言葉に対して、みなさんに返した言葉です。
そして、「お会いしていません。10数年間で意図的にお会いしたことと、偶然にお会いしたことで5回くらいです」ということをすべて正直に語りました。出会った経緯もすべて語りました。でも、「それはダメなんだ、紳助君。それは業界のルールとして違反や。法には触れないけど、芸能界のモラルとしてそれはやってはいけないことなんだ」と言われ、自分の認識の甘さを知りました。
バカかもしれませんが、芸能界のそういう方との付き合いのルールの上でも大丈夫だと思っていました。少年時代に友達だった人でその業界に行った人から連絡があった時、「ごめんなさい。芸能界のルールで友達でも会うことはできないんです」と今までにも断ったことがあります。だから、自分の中ではこれはセーフだと思っていたのですが、一昨日、日曜の夜に吉本興業側から「それはダメだ。アウトなんだ」と説明されました。
そして、それだったら僕は間違っていたし、ルールが分かっていなかったんだと心から反省し、その場で「じゃあ責任をとって引退します」と僕は会社にお伝えしました。そして先ほど、今から2時間くらい前ですが、吉本興業から「僕の引退を受け入れる」というお返事をいただきました。
僕も若いタレントではなく、吉本興業でも相当ベテランになり、僕の後輩はこの会社に700人くらいいます。僕がいい加減な処分を申し出たりすると、そんな彼らに示しが付きませんし、「若いやつに普段から厳しいことを言っている僕がそんなあいまいなことではイカン。自分が一番厳しい引退という言葉を使って引退すれば今後、若い人たちもそういう過ちを犯さないんじゃないか」と思い、そういう決断をさせていただきました。
言ってはイカンと言われていることもたくさんあるのですが、僕はここ数年間記事をいっぱい書かれました。本当に悔しかったです。ヤクザを使って競売物件を買っていると。こんな事実なんて絶対命をかけてありません。不法カジノに出入りしているということも、命に賭けてもありません。僕がもしそんなことをしていたら、本当にみなさんの前で腹を切ります。そんなことを何度も週刊誌に書かれたりして、我慢してきました。ただ、僕は明日から一般人ですから、嘘のことを書かれた時には告訴するような決意でいます。そして明日からはタレントではなく、普通の人に戻って、本当に静かに暮らしていきたいと思っています。弁解ではなく、僕のルールの考え方が間違えていました。本当に申しわけないと思っています。そして、後輩たちには二度と僕のような甘い考えで接しないでもらいたいと思います。以上、僕の状況と思いです。
週刊誌にも書かれましたが、僕が喋ったことはすべて事実です。必要以上の接触もありません。週刊誌を読んでいたら、しょっちゅう電話をしていたり、しょっちゅう食事をしているように書かれていましたが、本当にそんなことはまったくありませんし、最後にお会いしたのは4年半前です。それも20分くらいですよ。お店に来られてすぐ帰られました。それが最後にお会いした時のことです。
4年半くらい前から6年くらい前のメールが残っていることは事実です。その組の方に対して、Aさんを介してメールをしたことは事実です。正直、弁解みたいですが、付き合いがないからAさんを介してメールをしていたのであって、僕が本当にその方と付き合いがあるなら、人を介してメールする必要もないし、直接連絡をしたでしょうし、そのような関係だと思っていました。だから、自分の中ではセーフだと思っていましたが、一昨日アウトと知り、引退することになりました。
一番重い処罰を自分で与えましたので、お許し願いたいと思います。どうもすみませんでした。みなさんに謝るべきかどうか分からないですが、テレビ局の関係者の方々、そしてスポンサーの関係者の方々、そしてまだ少しはいるでしょうファンのみなさん、そしてコマーシャルをやらせてもらった三浦工業の奥さんやみなさんには本当に迷惑をかけてしまいました。それだけには申しわけないなと、残念な気持ちでいっぱいです。自分勝手な引退を申して、本当にすみませんでした。
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