タレントの島田紳助氏が芸能活動を引退――会見全文(3/5 ページ)
後輩に示しがつかない
――引退に納得していますか?
島田 いや納得って、「引退して」と言われた覚えはないですし、恐らくこんな言い方をするとアレですが、僕が何も言わなかったら謹慎処分だったと思います。でも、謹慎処分では若い後輩たちに示しがつかんと僕自身が思いました。若い奴らに何かメッセージを与えないといけないし、僕も厳しく言ってきたので、一番重い処罰が引退だと思いましたので、引退することにしました。
――2005年6月ごろから2007年6月ごろのメールということですが、かなり前のメールですよね。吉本興業の方から、メールの文面が写った写真とかを提示されたということですか。
島田 一昨日の夜に「このメールに見覚えがありますか」と、メールの文章を見せられました。「間違いありません。僕がAさんに送ったものです」と(答えました)。ただ、「お二人がいてくれるから、心強いです」というメールは、その時期を見てもらうと、僕が謹慎している時のものです。
そして僕の先輩やいろんな方々からメールされた時も、僕は謹慎してパニクっている状態の中だったので、失礼ですが同じメールを返していました。「あなたがいてくれるから、僕は心の支えになっています」とか「ありがとうございます。感謝しています。その言葉を胸に生きていきます」とか、あの時は心の底から感謝したので、送っていただいた方全員にそんなメールを返させていただきました。僕の中では(AさんやBさんが)特別ではなく、本当に感謝の気持ちで6年前はそうやって返させていただきました。
――なぜ今になって、そのメールが吉本興業側に情報として提示されたかという理由は聞きましたか?
島田 いや、まったく聞いていないですが、「こういうものがあるんだけど、知っているか」といきなり言われました。まあ事実なので、僕も隠す必要もありませんから「すいません」と。僕の中ではさっき言ったように「セーフだ」と(思っていました)。
Aさんに「あなたはヤクザですか」と聞いたら、「僕は違うんだ」と言いました。僕は街場の状態から、その方と20代前半から知り合いでしたから、その方がそうなっている状態も知りませんでした。近年そういうことが噂された時にも僕は確認したのですが、「そんな風に言われるんだ」と言われると、僕自身も付き合いが長いですし、世の中でわけの分からん記事を書かれている自分にとってもその方の気持ちも分かるので、僕は「そういうことはないんだ」と思って、その方を介してメールをしました。
――社長にもお伺いしたいのですが、そのメールは随分前のものなので、写真か何かで撮ったという可能性があるということですか?
水谷 メールについては、写真ではございませんでした。メールですので、文章を確認しました。
――それで送られてきたものを見せて、確認したということですね。
水谷 冒頭で申し上げましたように、8月中旬ごろに外部の方から情報の提供がありまして、その後、信頼性などを確認しまして、本件に至っております。
――通常、携帯電話のメールは自動的に時間が経つと消去されて見えなくなるわけですが、この古いものが今見れたということは、何かの意図を持って、吉本興業に持ち込まれたと考えていますか?
水谷 意図を持って持ち込まれたかどうかということに関しましては、ちょっとこの場では答えかねます。
――持ち込んできた人物が何者かということも難しいですか。
水谷 情報提供者にご迷惑がかかりますので、恐れ入りますがこの場での公表を控えさせていただきます。
――ご自身から引退と言われたということですが、それに至る過程で迷いなどはなかったのでしょうか?
島田 一昨日それを見まして、うちの仲間や芸能関係者には伝えました。全員が一生懸命引き止めてくれましたし、家まで来て引き止めてくれる人もいましたし、中には涙を流して引き止めてくれる人もいましたが、僕の中では揺れることなく、自分で決めた道をちゃんと進もうと思いました。それははっきり言いまして、さっき言ったようにいけないことです。いけないことも十分承知です。だから引退します。
お世話になった方、自分が助けられたと思った方に、僕は「会ったらいかん」と言われていますし、向こうからも「君は会うな」と言われたので、僕も会いませんでした。でも、心の中で感謝する気持ちまで、消したらいかんと思いました。
その方には最初に「会う必要はない、会ってはいけないんだ。人というのは心でつながっていたら、会う必要はないんだ。心でつながったら、心が一つなんだ」と言われたんです。僕の人生の中でも、その言葉は重く残りました。ですから、弱った時にAさんを介して、「心は1つですよね」と送りました。だから、それは「仲間です」という意味、「その組織と付き合っている」という意味ではなくて、そのおっしゃった言葉、「会うことはないけども、遊ぶことはないけども、心は1つですよね」という意味で送ったメールです。
だから本当に頻繁にお会いすることもありませんでした。10数年間で僕がご飯を食べていたら、隣のお店におられると聞いて行ったり、うちのバーのオープンの時に20分だけ顔を出されたりと、偶然近くにいたので会ったというのを合わせて5回程度です。長い期間交流を持ったりとかそんなことはなく、10数年間で偶然含めて5回なので、僕自身には交際とか交流という認識はなかったです。自分はさっき言ったようにセーフだと思っていました。その間、週刊誌にあることないことをいっぱい書かれて、本当に悔しかったので「明日からは遠慮せんと、嘘書かれたら告訴できるな」とちょっとホッとする気分もあります。
――こんな形で引退するということに対して後悔はありますか?
島田 いや、芸能界の一員として「芸能界のルールはこれなんだ」と言われれば、明らかに芸能界のルールを間違えているし、間違っていることに気が付きませんでした。ペーペーのタレントではない、吉本興業で大分先輩格になってきた僕がそんなあいまいな判断をしたら、吉本にいる1000人のタレントのうちの800人の後輩たちに本当に示しがつかんと思います。だから、僕が最後にできることは、「ここで示しを付けることやな」と思いました。
だから、もちろん今後はその方とメールもしないし、お会いすることもありません。でも、もし道で会ったら、僕は遠くから頭を下げます。それは人として、あの時の感謝の気持ちを今でも持っているというのを僕の中で誇りとしたいからです。
――レギュラー番組が6つもありますが、共演者や番組関係者のみなさんにはお話はしているんですか?
島田 いや、吉本興業からそれぞれのディレクターに話をしてもらいまして、その方々からは本当に熱いメールをいただき、家に来ていただいて、「何とか引退だけは撤回してもらえないか」と言われました。
今日泣いたら後悔しているみたいですけど、全然後悔の涙じゃないですよ。そのみなさん方の熱い思いが本当にうれしかったからです。でも、ルール違反はルール違反です。ここで何か軽い処分や謹慎というのはやっぱり良くないなと思いますので、悪いことをしたわけですから、自分に一番重い罪を着せようと思いました。
――(熱い)メールをくれたのはどなたでしょうか?
島田 たくさんの方からいっぱいいただきました。ギリギリまで言えなかったこともあり、18時半の段階で吉本興業の全タレントに吉本興業から通達を出したので、吉本興業の後輩からも先ほどメールをたくさんいただきました。前もって教えていたのはダウンタウンの松本(人志)ぐらいです。
――松本さんからは何と言われましたか?
島田 やっぱり「やめないでください」と。18歳で吉本に入りまして、21歳でデビューして、29歳で漫才をやめる時、僕がやめるきっかけを作ったのは松本ですから。ダウンタウンの漫才を見て、「ああ紳竜の漫才ももう終わりだな」と思いました。僕の漫才を終わらせたのがあいつですから、芸能界を終わる時もまずあいつには伝えとかないといかんと思いまして、奴だけには伝えました。
――「やめないでください」というメールに何と答えたんですか。
島田 最後は「自分のわがままを通させてほしい」と、「僕は僕らしく、イカンことをしてやめるから」と。めちゃめちゃかっこ悪い話ですよ。めちゃめちゃ無様な芸能界の終わり方ですわ。最低の終わり方です。僕もその中で「ほんの少しだけ、自分の美学を通させてください」とお願いしました。
――日曜日の会社との話し合いで、メールを見て即答で引退という決断になったのでしょうか。考える時間はあったのでしょうか。
島田 いや、日曜日に(引退と言って)すぐにそれを受けてはいただけなくて、「気持ちは分かりました。預からせていただきます」と言われたのですが、今日までまったく気持ちは揺れることはありませんでした。
逆に言ったら、「引退したらいいよね」と誰も言ってくれずに、いろんな人が聞きつけて、思いとどまらせようと真剣に怒ってくれた人もいました。「ああ、この人こんなに熱く言ってくれるんだなあ」というのをちょっと今思い出して、感動して涙を流してしまったのですが、別にこれは引退に対して後悔して泣いているのではなくて、その優しさを思い出して涙を流しただけで、僕の気持ちの中ではまったく揺れませんでした。
――日曜の夜から今に至るまで、ご家族は何とおっしゃいましたか。
島田 嫁は「自分のやりたいようにやったらいいよ。自分の思うように生きてください」と。長女からは「本当に後悔しないのか。でも、あなたは強運の持ち主だからまた何かを考えるよね」と言われました。
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