リアルな女性ロボ相手に本番さながらの歯科治療 人型患者ロボット「シムロイド」
人間でしょうか? いいえ、ロボットです――歯科診療シミュレーションロボ「シムロイド」は人間の女性そっくりで、医師の指示に従って口を開けたり、「痛いです」と答えたりする。
「あっ!」「どうなさいました?」「痛いです」――歯科医の問いかけに女性型ロボットが答える。11月9日から開催の「2011国際ロボット展(東京ビッグサイト)」で実演展示されている患者ロボット「シムロイド(SIMROID)」だ。
シムロイドは歯科診療の実習用シミュレータとして作られた、若い女性を模したロボット。少し硬い表情で診療台に座っている様子は、治療を前に緊張している人間の女性に見える。医師が口を開けてくださいと言うとその通りに口を開き、「麻酔は効いてきましたか?」と聞くと、「効いてきました」と答える。麻酔が効いた状態で「大丈夫ですか?」と聞くと「だいひょうふでふ」ともごもごした声で言う。
シムロイドは治療技術の向上ではなく、患者とのコミュニケーション技術の向上を目的として開発されている。見た目や動きは人間そっくりで、口の中も歯や粘膜の柔らかさをリアルに再現している。医師からの指示を認識して口を開けたり顔の向きを変えたり、問いかけに(録音済みのセリフから選んで)答えたりできる。
口の中にはセンサーが内蔵され、本番さながらに治療実習を行うことができる。例えば歯を削る際に神経に触れるなど誤った処置をしてしまうと、人間なら痛みを感じると判断。「あっ!」と叫び、左手を挙げて痛いときの合図をする。
また医師が治療に集中するあまり、うっかり患者の体に触れてしまうのを防ぐため、体にもセンサーが内蔵されている。実演では、医師がシムロイドの肩やわきなど胸の周りを触ると「あっ!」「あっ!」「あっ!」と反応していた。
医師の指示通りに動く
体に触ると「あっ!」「あっ!」「あっ!」
実習が終わると、センサーが測定した結果とカメラで撮影した実習の様子を見ながらフィードバックを受けることができる。シムロイドは日本歯科大学付属病院とロボットメーカーのココロなど数社が共同で研究開発を進めており、同病院で実際に実習用として導入している。
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