喪女が国境を越えた 4chan民が愛する漫画「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」:40万部ヒット(2/3 ページ)
次が勝負だった 「私モテ」誕生秘話
――そして次に描くことになったのが「私モテ」ですね。企画は3人で相談して作ったんですか。
編集 はい。次が勝負かなというのがありまして。
原作 「喪女をテーマに描いてみる?」と木内さんから言われて、色々調べてネームをつくりました。
――なぜ喪女をテーマにしたのか気になります!
編集 たまたま某掲示板の喪女板(もてない女板)を見ていて面白いと思い、提案してみました。
――すんなり受け止めたんですか。
原作 そうですね。特に自分たちがやりたいこともなかったんです(笑)。もう1つ、歴史物を描くというアイデアがあったんですが、歴史を調べたりするのは大変そうだなと思っていました。
――物語を作るとき実際に喪女板は参考にしたんですか。
原作 喪女板は見に行きましたが、量が多すぎて……。喪女にはいろいろなタイプがあって、難しいなと思いました。決して一括りにできるものではなく、「これが喪女」というのがないことが分かりました。だったら、あとは自分で描きたいものを描くしかないと。
――喪女がこういうものだと詳しく知った上でキャラを作ったわけではないんですね。
原作 はい。分からないですね。
作画 女の子の話ですし、彼(原作担当)は分かってないと思います。そのうえ2人とも現役の高校生ですらないので、高校生の気持ちも本当のところは分からないです。
印象的なタイトル、その狙いは
――「私モテ」のタイトルは誰が考えたんですか。
原作 僕です。いくつか候補があったんですが、(漫画やライトノベル界で)ちょうど長いタイトルを付ける傾向がやや廃れてきたこともあって、これに決めました。
編集 私からは、タイトルを長いものにして、タイトルだけで漫画の内容が分かるようにして欲しいと要望しました。今思えば、タイトルでどんなストーリーがよく分からなかったことが、「ちょく!」の失敗かもしれません(笑)
――主人公のもこっちを作り上げるにあたって苦労があったと聞いています。
編集 もめたよね。
原作 最初可愛くないのを描いたらボツをくらって……。
編集 折衷案でできたよね。
作画 可愛いさを求められたのですが、あまり描きたくなかったんです。表情の中に1つ可愛いのものを入れることで許してもらいました。
――描くにあたって気をつけていることは。
原作 モテないと言っているのにモテる要素がたくさんあったら嘘くさいので、性格もできるだけ少し変な部分があるような感じにしています。漫画の男性キャラで、自分はモテないと言いつつ、顔がカッコ良かったりするケースがあるんですが、「私モテ」はそういうのではなく、一応ダメな理由が分かるようにしています。
あれでも“痛さ”はマイルドにしています
――突然ですが、ストーリーを考えている時は素面(しらふ)なんですか? それとも、お酒の力に頼るとか……。
原作 ええと、素面です(笑)
――すみません。初めて読んだ時の衝撃が大きかったんです。ストーリーのリアルな痛々しさが印象的で、自分ならとても素面で描けそうにないなと。
原作 (ストーリーの痛い部分は)自分の高校時代よりは全然マシだと思います。
――身を切り売りしてエピソードを作るというよりは楽しんでやっているんですか。
原作 学生時代からだいぶ時が過ぎているということもありますし、「漫画だから」ということで、辛いという感じで描いているわけではないです。
――原作担当から完成したネームを渡されるといつもどんな風に思いますか。
作画 私も基本的に部屋から出ないタイプで人とあまり話さない性格ということもあって、話は読んでて辛くはならないです。もっと笑ってもらえると思っていました。本当は今よりひどいエピソードもあるのですが、それは木内さんが止めてくれて中和されています。
――今よりひどい!? そうなんですか!!
作画 私たちは別に痛々しくしようと思って作っているわけじゃないんです。「ちょく!」の頃と内容は基本的に変わっていないつもりで描いていて、「痛い」と受け取ってくれる人がいたおかげで、救われている感じです。その意味では読者の方にセンスがあると思っています。
――マイルドになる前はどのくらいの“痛さ”だったんですか。
編集 とても載せられないですね。
――第5話の公園で男子と雨宿りする回の痛々しさは、個人的に厳しかったです。緊張して出る手汗に「バスケ漫画か!」と自分でつっこむ姿は直視できませんでした。
編集 人それぞれありますね。エピソードの受け取り方は様々です。
「私モテ」どんな人が読んでいる?
――谷川ニコ作品の読者層は連続しているんですか。
原作 「ちょく!」を読んでいたけど「私モテ」は読んでいない人たちも結構いるみたいです。
――年代や男女比など含めて、どんな人達が読んでいるんですか。
編集 男性が多いですね。男の方が笑って見てくれるのかもしれません。
原作 Twitterでリプライが来るのは男性が多いです。
――「私モテ」はコミックの帯が話題になりました。「海外の2ちゃん的な掲示板で大人気!!」「女子高生よ、喪女であれ」……あれは木内さんが考えたのですか。
編集 はい。1巻については「入れちゃえば」と周りから言われて。2巻の方は漫画「男子高校生の日常」と一緒にフェアをやっていたので、帯も連動したものになっています。「男子高校生の日常」の帯は常に「高校生よ〇〇であれ」なんです。だから「女子高生よ、喪女であれ」に。この2つの作品の読者は結構重なっていますね。
――「私モテ」がライバル作品として想定しているものはあるんでしょうか。
原作 あまりないです。ただ、ちょうど描き始めた時にライトノベル「僕は友達が少ない」が流行っていて、そこから連想して私モテに興味をもつ人がいたかもしれません。
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