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» 2012年11月26日 16時16分 公開

“聞こえない音”が情報を届ける 超音波でデジタル情報送る技術「SteganoSonic」SFC ORF 2012 Report

超音波に載せてデジタル情報を伝達する研究が慶応SFCの「ORF2012」で展示された。端末をある場所に持って行くと、スピーカーから受信した情報が画面に表示されるというものだ。

[山本恵太,ITmedia]

 スピーカーから耳には聞こえない情報が発信される――慶応義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)の研究発表イベント「Open Research Forum 2012」(11月22〜23日、東京ミッドタウン)で、指向性スピーカーを用いた情報通信技術「SteganoSonic」が展示されていた。

トランスデューサーと呼ばれる小型の超音波スピーカー。超音波の周波数を可聴領域と不可聴領域に高速で切り替えることで、聞こえる音を出すだけでなくデジタル情報も一緒に出している

 展示ブースに用意されていたのは、複数の小型超音波スピーカーをプレートの上に並べたユニット2つと、専用の受信端末を外付けしたタブレット端末。2つのユニットはスタンドに取り付けられ、ある1点に向けて固定されていた。その場所にタブレット端末を持って行くと、画面に研究内容を紹介するWebページが表示され、近付くとその研究に関するナレーションも聞こえてきた。

 ユニットは超音波を使って指向性を持たせたパラメトリックスピーカーという音響システム。特定の場所に超音波を発信できる。「SteganoSonic」は、その超音波に人の耳に聞こえる音だけでなく、WebサイトのURLなどのデジタル情報を載せて発し、タブレットなどの端末で受信する。

タブレット端末の背面には、マイクとデジタル情報としての超音波を処理するためのマイコンが取り付けられている

 超音波を使った音響システムはすでに実用化されており、例えば暴動や海賊対策として特定の集団に向けて不快な音を出したり、戦闘意欲を失わせる兵器として軍事目的で使われている。日本では京都・清水寺でアナウンスが拝観の邪魔にならないようにという配慮から、入口にだけアナウンスが聞こえるように設置されている。これらは人間が音として認識できる可聴領域の超音波を利用したもので、「SteganoSonic」は人間が音として認識できない不可聴領域も情報通信のために活用している点が特徴だ。

 「SteganoSonic」は情報を受信するために専用端末が必要だが、例えば駅のホームで1番線付近にいる人に可聴領域で1番線の運行情報を流し、不可聴領域を使って行き先の観光情報を携帯端末向けに配信し、反対の2番線付近では2番線の運行情報と観光情報を配信するといった活用が可能となる。場所を大ざっぱにしか限定できない無線技術や、能動的に受信しなくてはいけないQRコードなどの読み取りと違い「SteganoSonic」では限定された場所へ向けて情報を届けることができる。

 開発しているのは同大環境情報学部2年の田中瞳さん。今回の展示では特定の場所に端末を持って来ると、決められたWebサイトが表示されるという仕組みだったが、もっと厳密な設定をすれば、中心より右側ならAというサイトを表示し、左側ならBというサイトを表示することも可能だという。ただ、単に技術を研究していくのではなく「場」のデザインとして「SteganoSonic」を研究していきたいと話していた。

同大環境情報学部2年の田中瞳さん。所属する筧康明研究室の前任者からプロジェクトを引き継ぎ研究している

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